各論2章の過去問&予想問題

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過去問を写真とってOCRして、予想問題と解説をClaudeにつくってもらいました。

過去問

平成8年度 宅地の限定賃料の鑑定評価

宅地の限定賃料の鑑定評価について次の問に答えなさい。

(1) 限定賃料の定義を正常賃料と対比して簡潔に述べなさい。

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  • 正常賃料は、正常価格と同一の市場概念の下で、新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料(新規賃料)である(総論第5章第3節Ⅱ1)。
  • 限定賃料は、限定価格と同一の市場概念の下で、新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料(新規賃料)である(同Ⅱ2)。
  • 対比:どちらも新規賃料だが、前提となる市場概念が異なる。限定価格は、不動産の併合又は分割等に基づき市場が相対的に限定される場合の価格であり(同Ⅰ2)、限定賃料はその市場概念の下で成立する賃料である。
  • 限定賃料を求めることができる場合の例示は、①隣接不動産の併合使用を前提とする賃貸借等に関連する場合、②経済合理性に反する不動産の分割使用を前提とする賃貸借等に関連する場合である。
  • 限定賃料は、正常賃料を求めることができる不動産について、依頼目的に対応した条件により求めるものである。

(2) 鑑定評価報告書の中の「鑑定評価額及び価格又は賃料の種類」、「鑑定評価の条件」及び「鑑定評価の依頼目的及び条件と価格又は賃料の種類との関連」の項目に記載する内容について、限定賃料であるために特に留意すべきことを簡潔に述べなさい。

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  • 鑑定評価額及び価格又は賃料の種類:正常賃料を求めることができる不動産について限定賃料を求めた場合は、かっこ書きで正常賃料である旨を付記して、その額を併記しなければならない(総論第9章第2節Ⅰ)。
  • 鑑定評価の条件:限定賃料は不動産の併合使用又は分割使用を前提とするため、その前提(対象確定条件としての併合鑑定評価又は分割鑑定評価)の内容及び評価における取扱いが妥当なものであると判断した根拠を明らかにする。必要があると認められるときは、条件が設定されない場合の賃料等の参考事項も記載する(同Ⅱ。総論第5章第1節Ⅰ)。
  • 依頼目的及び条件と賃料の種類との関連:依頼目的に対応した条件により、限定賃料を求めるべきと判断した理由(併合使用等により市場が相対的に限定されること)を記載する(同Ⅴ)。
  • (※限定賃料の前提を「対象確定条件」として整理するのは、基準の条文を当てはめた解釈である。)

(3) 宅地の限定賃料の鑑定評価額はどのように求めるか述べなさい。

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  • 隣接宅地の併合使用又は宅地の一部の分割使用をする当該宅地の限定価格を基礎価格として求めた積算賃料と、隣接宅地の併合使用又は宅地の一部の分割使用を前提とする賃貸借等の事例に基づく比準賃料を関連づけて決定する(各論第2章第1節Ⅰ3)。
  • この場合、次の事項を総合的に勘案する:①隣接宅地の権利の態様、②当該事例に係る賃貸借等の契約の内容。
  • 積算賃料は、基礎価格に期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して求める(総論第7章第2節Ⅱ1)。

平成29年度 宅地の新規賃料の鑑定評価(積算賃料・比準賃料・賃貸事業分析法)

宅地を新規に賃貸の用に供する場合における賃料の鑑定評価に関する次の各問に答えなさい。

(1) 新規賃料固有の価格形成要因について、その主なものを挙げなさい。

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  • 新規賃料固有の価格形成要因の主なものは次の二つである(各論第2章第1節Ⅰ1)。
  • ①当該地域の賃貸借等の契約慣行。
  • ②賃貸借等の種類・目的、一時金の授受の有無及びその内容並びに特約事項の有無及びその内容等の、新規賃料を求める前提となる契約内容。

(2) 不動産鑑定評価基準においては、宅地の正常賃料の鑑定評価額は、積算賃料、比準賃料及び配分法に準ずる方法に基づく比準賃料を関連づけて決定するものとされている。この点に関し、次の各問に答えなさい。

① 積算賃料を求める場合の留意点について説明しなさい。

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  • 積算賃料は、基礎価格に期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して求める(総論第7章第2節Ⅱ1)。
  • 基礎価格:最有効使用が可能な場合は更地の経済価値に即応した価格とし、契約により敷地の最有効使用が見込めないときは、その契約条件を前提とする建付地としての経済価値に即応した価格とする(留意事項Ⅴ2(1)①)。
  • 賃貸人等の事情によって使用方法が制約され最有効使用の状態を確保できない場合は、制約の程度に応じた経済価値の減分を考慮して求める(留意事項Ⅸ1(1))。
  • 期待利回り:収益還元法における還元利回りを求める方法に準ずるが、賃料の有する特性に留意する。判定に当たっては、地価水準の変動に対する賃料の遅行性及び地価との相関関係の程度を考慮する(総論第7章第2節Ⅱ1、留意事項Ⅸ1(1))。
  • 必要諸経費等:減価償却費、維持管理費、公租公課、損害保険料、貸倒れ準備費、空室等による損失相当額のうち、対象宅地の賃貸借に当たって賃料に含まれるものを適切に計上する。(※宅地では、実際に生じる項目は公租公課など限られるのが通常、というのは一般的理解による補足である。)

② 比準賃料を求める場合の留意点について説明しなさい。

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  • 価格時点に近い時点に新規に締結された賃貸借等の事例から比準する必要があり、立地条件その他の賃料の価格形成要因が類似するものでなければならない(留意事項Ⅸ1(2))。
  • 事例の選択:新規賃料か継続賃料かで賃料水準が異なるのが一般的なので、できる限り対象不動産に類似した事例を選ぶ。契約内容の類似性(賃貸形式、賃貸面積、契約期間、一時金の授受に基づく賃料内容、算定の期間及び支払方法、修理及び現状変更に関する事項、賃貸借等に供される範囲及び使用方法)に留意する(留意事項Ⅴ2(2)①)。
  • 事情補正・時点修正・地域要因の比較・個別的要因の比較を行う。賃料には固有の価格形成要因があるため、価格を求める場合と地域の範囲及び地域の格差が異なることに留意する(総論第7章第2節Ⅱ2、留意事項Ⅴ2(2)②)。

③ 配分法に準ずる方法に基づく比準賃料を求める場合の留意点について説明しなさい。

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  • 配分法に準ずる方法に基づく比準賃料とは、宅地を含む複合不動産の賃貸借等の契約内容が類似している事例に係る実際実質賃料から、宅地以外の部分に対応する実際実質賃料相当額を控除する等により求めた比準賃料をいう(留意事項Ⅸ1(3))。
  • 事例資料の選択に当たっては、賃貸借等の契約内容の類似性及び敷地の最有効使用の程度に留意する(同)。

(3) 不動産鑑定評価基準においては、宅地の正常賃料の鑑定評価額は、建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益を適切に求めることができるときには、賃貸事業分析法で得た宅地の試算賃料も比較考量して決定するものとされている。この点に関し、次の各問に答えなさい。

① 賃貸事業分析法とはどのような方法か説明しなさい。

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  • 建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益をもとに、土地に帰属する部分を査定して宅地の試算賃料を求める方法である(各論第2章第1節Ⅰ2)。
  • (※具体的な手順(賃貸事業の総収益から総費用を控除して純収益を求め、建物に帰属する部分を控除して土地に帰属する純収益を求め、必要諸経費等を加算する流れ)は、一般的な理解による補足であり、基準・留意事項に直接の記載はない。)

② 賃貸事業分析法はどのような場合に適用するのが有効か説明しなさい。

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  • 基準が適用を認める場面は、建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益を適切に求めることができるときである(各論第2章第1節Ⅰ2)。
  • (※「どのような場合に有効か」の具体例(賃貸ビル・賃貸マンション等、収益を生む建物の建築が予定される宅地など)は、この要件から導いた一般的理解による補足である。)

③ 賃貸事業分析法を適用する場合の留意点について説明しなさい。

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  • 新たに締結される土地の賃貸借等の契約内容に基づく予定建物を前提として、土地に帰属する純収益を求める(留意事項Ⅸ1(4))。
  • 基準上、賃貸事業分析法による試算賃料は、積算賃料・比準賃料等と関連づけた上で「比較考量」する位置づけである(各論第2章第1節Ⅰ2)。

令和5年度 スケルトン貸し店舗用ビルの継続賃料の鑑定評価(差額配分法・利回り法)

継続中の建物及びその敷地(商業地域内のスケルトン貸しの店舗用ビル)の普通借家契約に基づく実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価について、次の各設問に答えなさい。なお、現行賃料は、直近合意時点である新規契約締結時における新規賃料(正常賃料)相当額であるが、直近合意時点以降の、一般経済社会における消費者の賃金上昇と消費の活発化を受け、近隣地域の商業収益が向上したことで、対象不動産の価格時点における新規賃料と現行賃料との間に差額が発生しているものとする。また、契約内容は一般的なもので、特筆すべき契約締結の経緯等は無いものとする。

(1) 本問の鑑定評価額はどのように決定するかを簡潔に述べなさい(ただし、総合的に勘案する事項及び賃料の改定が契約期間の満了に伴う更新を契機とする場合において更新料が支払われるときについての記載は不要である)。

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  • 建物及びその敷地の継続賃料の鑑定評価は、宅地の継続賃料を求める場合に準ずる(各論第2章第2節Ⅱ)。
  • 継続中の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価額は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する(各論第2章第1節Ⅱ2)。
  • 継続賃料の鑑定評価額は、現行賃料を前提として、直近合意時点以降の事情を勘案し、契約当事者間の公平に留意の上決定する(総論第7章第2節Ⅰ4)。
  • 本問では、現行賃料が直近合意時点の新規賃料相当額で、その後の商業収益の向上により新規賃料との間に差額が生じている。各手法の試算賃料について再吟味及び説得力に係る判断を行い、関連づける(総論第8章第8節)。基準は手法間の優劣を定めていない。

(2) 差額配分法について、次の各問に答えなさい。

① 差額配分法の定義を述べ、当該手法の適用に当たり、賃料差額のうち賃貸人等に帰属する部分はどのように判断するか簡潔に説明しなさい。

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  • 定義:対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料と実際実質賃料又は実際支払賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち賃貸人等に帰属する部分を適切に判定して得た額を、実際実質賃料又は実際支払賃料に加減して試算賃料を求める手法(各論に先立つ総論第7章第2節Ⅲ1(1))。
  • 帰属部分の判断:継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、一般的要因の分析及び地域要因の分析により差額発生の要因を広域的に分析し、さらに対象不動産について契約内容及び契約締結の経緯等に関する分析を行うことにより、適切に判断する(同Ⅲ1(2)②)。
  • なお、対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料は、価格時点において想定される新規賃料であり、積算法、賃貸事例比較法等により求める(同Ⅲ1(2)①)。

② 本問の近隣地域の地域要因のうち、一般経済社会における消費者の賃金上昇と消費の活発化とを受け変化したと考えられるものを1つ挙げなさい。その上で、その地域要因の変化に触れつつ、どのように近隣地域の商業収益が向上し差額が発生したと考えられるかを、具体的に説明しなさい(ただし、近隣地域及び地域要因の定義についての記載は不要である)。

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  • 挙げる地域要因:「商業背後地及び顧客の質と量」(総論第3章第2節Ⅰ2(2)。商業地域特有の地域要因の例示)。※「繁華性の程度及び盛衰の動向」(同(8))を挙げる構成も考えられる。
  • 変化の内容:消費者の賃金上昇により購買力が高まり(顧客の質の向上)、消費の活発化により来店客数・購買量が増える(顧客の量の増加)。
  • 商業収益の向上:顧客の質と量が向上した結果、近隣地域の店舗の売上・総収益が増加し、店舗営業の収益性が高まる。テナントの支払可能な賃料水準が上がり、近隣地域の商業収益が向上する。
  • 差額の発生:新規賃料の水準は収益性の向上を反映して上昇するが、現行賃料は直近合意時点の新規賃料相当額のままである。そのため、価格時点における新規賃料(対象不動産の経済価値に即応した適正な賃料)と現行賃料との間に差額が発生する。
  • (※地域要因の選定と因果の説明は、基準の例示から当てはめた解答例であり、他の構成も成り立つ。)

(3) 利回り法の定義と、利回り法における基礎価格の定義とをそれぞれ述べなさい。また、本問において対象不動産の基礎価格を求める際の留意点を説明しなさい。

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  • 利回り法の定義:基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法(総論第7章第2節Ⅲ2(1))。
  • 基礎価格の定義:利回り法の基礎価格及び必要諸経費等の求め方は積算法に準ずる(同Ⅲ2(2)①)。積算法でいう基礎価格は「積算賃料を求めるための基礎となる価格」で、原価法及び取引事例比較法により求める(同Ⅱ1(2)①)。利回り法では、これを継続賃料を求めるための基礎となる価格と読み替えて述べる。(※利回り法の基礎価格そのものの定義規定は基準になく、積算法の準用による整理である。)
  • 留意点①:建物及びその敷地の賃料(家賃)の基礎価格は、建物及びその敷地の現状に基づく利用を前提として成り立つ、当該建物及びその敷地の経済価値に即応した価格である(留意事項Ⅴ2(1)②)。
  • 留意点②:店舗用ビルのスケルトン貸しでは、賃貸人は躯体及び一部の建物設備を施工するのみで、内装、外装及び建物設備の一部は賃借人が施工することがある。基礎価格の判定に当たっては、これに留意する(留意事項Ⅸ2)。賃借人が施工した部分は賃貸人等の所有する部分ではないため、その分を基礎価格に含めないよう区分する必要がある。(※後段は趣旨からの当てはめである。)
  • 留意点③:継続賃料利回りは直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえて求める(総論第7章第2節Ⅲ2(2)②)ので、直近合意時点と価格時点の基礎価格を、同じ前提・同じ基準で把握し、整合性を保つ。

予想問題

予想問題1 宅地の継続賃料の鑑定評価(地代増額請求)

予想度:本命 / 狙い:令和5年度は建物及びその敷地の継続賃料だったため、今度は宅地(地代)の継続賃料で総合的勘案事項と価格時点を正面から問う形。賃料増額請求訴訟の増加という実務の流れとも整合する。

継続中の宅地(建物所有を目的とする借地権)の賃貸借契約に基づく実際支払賃料(地代)を改定する場合の鑑定評価について、次の各問に答えなさい。なお、賃貸人から借地借家法第11条第1項に基づく地代の増額請求がなされているものとする。

(1) 本問の鑑定評価額はどのように決定するか述べなさい。また、その際に総合的に勘案する事項を挙げなさい。

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  • 差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する(各論第2章第1節Ⅱ2)。
  • 直近合意時点から価格時点までの期間を中心に、次の事項を総合的に勘案する:①近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料、その改定の程度及びそれらの推移、②土地価格の推移、③賃料に占める純賃料の推移、④底地に対する利回りの推移、⑤公租公課の推移、⑥直近合意時点及び価格時点における新規賃料と現行賃料の乖離の程度、⑦契約の内容及びそれに関する経緯、⑧契約上の経過期間及び直近合意時点から価格時点までの経過期間、⑨賃料改定の経緯。
  • 賃料の改定が更新又は借地権の第三者への譲渡を契機とする場合において、更新料又は名義書替料が支払われるときは、これらの額を総合的に勘案する。

(2) 継続賃料固有の価格形成要因の主なものを挙げなさい。

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  • 継続賃料固有の価格形成要因は、直近合意時点から価格時点までの期間における要因が中心となる(各論第2章第1節Ⅱ1)。
  • ①近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の推移及びその改定の程度、②土地価格の推移、③公租公課の推移、④契約の内容及びそれに関する経緯、⑤賃貸人等又は賃借人等の近隣地域の発展に対する寄与度。

(3) 本問における価格時点の確定について述べなさい。また、直近合意時点とは何か述べなさい。

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  • 借地借家法第11条第1項又は第32条第1項に基づき賃料の増減が請求される場合における価格時点は、賃料増減請求に係る賃料改定の基準日となる(留意事項Ⅲ2(1))。
  • 基準日が過去であれば過去時点の鑑定評価となる。過去時点の評価は、対象不動産の確認等が可能で、かつ、鑑定評価に必要な要因資料及び事例資料の収集が可能な場合に限り行える。時の経過による事情変更がある場合は、価格時点に近い時点の確認資料等をできる限り収集し、それを基礎に判断する(留意事項Ⅲ2(2))。
  • 直近合意時点とは、契約当事者間で現行賃料を合意し、それを適用した時点をいう(総論第7章第2節Ⅰ4)。継続賃料を求めた場合は、報告書に直近合意時点を記載する(総論第9章第2節Ⅶ7)。

予想問題2 継続賃料を求める各手法の適用上の留意点

予想度:有力 / 狙い:差額配分法は令和5年度で出題済み。利回り法・スライド法・賃貸事例比較法という残りの手法の意義と適用方法を問う形。

継続賃料を求める鑑定評価の手法について、次の各問に答えなさい。

(1) スライド法の意義を述べ、変動率はどのように求めるか説明しなさい。

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  • 意義:直近合意時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に、価格時点における必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法。直近合意時点における実際実質賃料又は実際支払賃料に即応する適切な変動率が求められる場合は、その変動率を乗じて得た額を試算賃料として直接求めることができる(総論第7章第2節Ⅲ3(1))。
  • 変動率:直近合意時点から価格時点までの間における経済情勢等の変化に即応する変動分を表すもので、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、土地及び建物価格の変動、物価変動、所得水準の変動等を示す各種指数や整備された不動産インデックス等を総合的に勘案して求める(同Ⅲ3(2)①)。
  • 必要諸経費等の求め方は積算法に準ずる(同Ⅲ3(2)②)。

(2) 利回り法における継続賃料利回りは、どのように求めるか説明しなさい。

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  • 継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、次の事項を総合的に比較考量して求める(総論第7章第2節Ⅲ2(2)②)。
  • ①期待利回り、②契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り、③基礎価格の変動の程度、④近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例、又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回り。

(3) 継続賃料を求める賃貸事例比較法の留意点を説明しなさい。

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  • 新規賃料に係る賃貸事例比較法に準じて試算賃料を求める。その際、継続賃料固有の価格形成要因の比較を適切に行うことに留意しなければならない(総論第7章第2節Ⅲ4)。
  • 事例の選択に当たっては、新規賃料か継続賃料かで賃料水準が異なるのが一般的であることに留意し、できる限り対象不動産に類似した事例を選ぶ。契約内容の類似性にも留意する(留意事項Ⅴ2(2)①)。

予想問題3 継続賃料の意義と鑑定評価報告書の記載事項

予想度:有力 / 狙い:平成8年度型の「定義の対比」と、継続賃料の決定の基本的考え方、報告書の記載事項を組み合わせる形。賃料増額訴訟で鑑定書が争点になる場面を意識した。

継続賃料の鑑定評価について、次の各問に答えなさい。

(1) 継続賃料の定義を正常賃料と対比して簡潔に述べなさい。

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  • 継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいう(総論第5章第3節Ⅱ3)。
  • 正常賃料は、正常価格と同一の市場概念の下で、新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料(新規賃料)である(同Ⅱ1)。
  • 対比:正常賃料は市場概念に基づく新規賃料、継続賃料は特定の当事者間の賃貸借の継続を前提とする賃料。求める手法も、新規賃料は積算法・賃貸事例比較法・収益分析法等、継続賃料は差額配分法・利回り法・スライド法・賃貸事例比較法等と分かれる(総論第7章第2節冒頭)。

(2) 継続賃料の鑑定評価額は、どのような考え方に基づいて決定するか述べなさい。

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  • 現行賃料を前提として、契約当事者間で現行賃料を合意しそれを適用した時点(直近合意時点)以降において、公租公課、土地及び建物価格、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の変動等のほか、賃貸借等の契約の経緯、賃料改定の経緯及び契約内容を総合的に勘案し、契約当事者間の公平に留意の上決定する(総論第7章第2節Ⅰ4)。

(3) 継続賃料を求めた場合の鑑定評価報告書の記載上の留意点を述べなさい。

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  • 継続賃料を求めた場合には、直近合意時点について記載しなければならない(総論第9章第2節Ⅶ7)。
  • 対象不動産に関し、争訟等の当事者間において主張が異なる事項が判明している場合は、当該事項に関する取扱いを記載しなければならない(同Ⅶ6)。
  • 適用した手法と、地域分析・個別分析により把握した市場の特性等との関係(同Ⅶ3)、試算賃料の再吟味及び説得力に係る判断の結果(同Ⅶ4)を記載する。
  • 支払賃料を求めた場合は、その支払賃料と実質賃料との関連も記載する(同Ⅶ7)。

予想問題4 契約上の条件又は使用目的の変更に伴う宅地の賃料改定

予想度:変化球 / 狙い:継続賃料のうち、通常の改定とは別に定められている「条件変更・使用目的変更に伴う改定」。更新料・名義書替料・承諾料の取扱いの違いを問う形。

継続中の宅地の賃貸借契約について、契約上の条件又は使用目的が変更されることに伴い賃料を改定する場合の鑑定評価について、次の各問に答えなさい。

(1) 鑑定評価額はどのように決定するか述べなさい。

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  • 契約上の条件又は使用目的の変更に伴う宅地及び地上建物の経済価値の増分のうち適切な部分に即応する賃料を、実際支払賃料を改定する場合(各論第2章第1節Ⅱ2)を想定した場合における賃料に加算して決定する(同Ⅱ3)。

(2) 総合的に勘案する事項を述べなさい。

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  • 前記Ⅱ2に掲げる事項のほか、特に次の事項を総合的に勘案する(各論第2章第1節Ⅱ3):①賃貸借等の態様、②契約上の条件又は使用目的の変更内容、③条件変更承諾料又は増改築承諾料が支払われるときはこれらの額。

(3) 更新料、名義書替料及び承諾料は、鑑定評価額の決定においてそれぞれどのように取り扱うか述べなさい。

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  • 賃料の改定が契約期間の満了に伴う更新又は借地権の第三者への譲渡を契機とする場合において、更新料又は名義書替料が支払われるときは、これらの額を総合的に勘案して求める(各論第2章第1節Ⅱ2)。
  • 契約上の条件又は使用目的の変更に伴う場合において、条件変更承諾料又は増改築承諾料が支払われるときは、これらの額を総合的に勘案する(同Ⅱ3(3))。

予想問題5 実質賃料と支払賃料(一時金の取扱い)

予想度:変化球 / 狙い:新規・継続を問わず賃料評価の前提となる実質賃料と支払賃料の関係。一時金の運用益・償却額の扱いと、報告書での併記を問う形。

賃料の鑑定評価における実質賃料と支払賃料について、次の各問に答えなさい。

(1) 実質賃料と支払賃料の定義をそれぞれ述べなさい。

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  • 実質賃料:賃料の種類の如何を問わず賃貸人等に支払われる賃料の算定の期間に対応する適正なすべての経済的対価をいい、純賃料及び必要諸経費等から成り立つ(総論第7章第2節Ⅰ1)。
  • 支払賃料:各支払時期に支払われる賃料をいう。契約に当たって権利金、敷金、保証金等の一時金が授受される場合は、一時金の運用益及び償却額と併せて実質賃料を構成する(同)。

(2) 一時金が授受される場合の支払賃料は、どのように求めるか述べなさい。

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  • 実質賃料から、一時金について賃料の前払的性格を有する一時金の運用益及び償却額並びに預り金的性格を有する一時金の運用益を控除して求める(総論第7章第2節Ⅰ2)。
  • 賃料の前払的性格を有する一時金の運用益及び償却額は、対象不動産の賃貸借等の持続する期間の効用の変化等に着目し、実態に応じて適切に求める(同)。

(3) 一時金の運用利回りはどのように決定するか述べなさい。また、鑑定評価額の表示(報告書の記載)上、支払賃料を求めた場合にはどのように記載するか述べなさい。

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  • 運用利回りは、一時金の性格、賃貸借等の契約内容並びに対象不動産の種類及び性格等の相違に応じて、期待利回り、不動産の取引利回り、長期預金の金利、国債及び公社債利回り、金融機関の貸出金利等を比較考量して決定する(総論第7章第2節Ⅰ2)。
  • 支払賃料の鑑定評価を依頼された場合は、支払賃料である旨を付記して支払賃料の額を表示し、支払賃料が実質賃料と異なる場合は、かっこ書きで実質賃料である旨を付記して実質賃料の額を併記する(総論第9章第2節Ⅰ)。
  • あわせて、その支払賃料と実質賃料との関連を記載する(同Ⅶ7)。

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