特定価格の過去問&予想問題

特定価格の留意事項いややなあ・・・。

過去問と予想問題いってみよう!

過去問

平成16年 正常価格の前提となる市場と、証券化対象不動産の特定価格

不動産の鑑定評価によって求める価格の種類について、次の問に答えなさい。

(1) 正常価格の前提となる、「現実の社会情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場」について説明しなさい。また、これが前提とされる理由についても簡潔に述べなさい。

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  • 正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう(総論第5章第3節Ⅰ1)。
  • 現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場とは、次の条件を満たす市場をいう(総論第5章第3節Ⅰ1(1)〜(3))。
    • (1) 市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し、参入、退出が自由であること。市場参加者は、自己の利益を最大化するため、慎重かつ賢明に予測し、行動するとともに、次の要件を満たすものとする。
      • ① 売り急ぎ、買い進み等をもたらす特別な動機のないこと。
      • ② 対象不動産及びその属する市場について、取引成立のために必要となる通常の知識や情報を得ていること。
      • ③ 取引成立のために通常必要と認められる労力、費用を費やしていること。
      • ④ 対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと。
      • ⑤ 買主が通常の資金調達能力を有していること。
    • (2) 取引形態が、市場参加者が制約されたり、売り急ぎ、買い進み等を誘引したりするような特別なものではないこと。
    • (3) 対象不動産が相当の期間市場に公開されていること。
  • 前提とされる理由:鑑定評価は、一連の価格秩序の中で対象不動産の価格が占める適正なあり所を指摘することであり、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を把握する作業に代表される(総論第1章第3節)。不動産の鑑定評価によって求める価格は基本的には正常価格である(総論第5章第3節Ⅰ)。
  • ※ 売り急ぎ・買い進み等の特殊な事情に左右された価格では、一般的な市場価値を示せず、鑑定評価の客観性・社会的信頼性を保てないため、というのが一般的な理解である(基準に直接の記載はなく、一般的理解で補った)。

(2) 不動産鑑定評価基準各論第3章第1節に規定する証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合の価格の種類が特定価格となり得る理由を述べなさい。また、その場合の鑑定評価の基本的な手法についても説明しなさい。

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  • 特定価格となり得る理由(留意事項Ⅲ3(2)②ア)
    • 投資法人等の投資対象資産としての不動産の取得時又は保有期間中の価格として投資家に開示することを目的に、投資家保護の観点から、対象不動産の収益力を適切に反映する収益価格に基づいた投資採算価値を求める必要がある。
    • 資産流動化計画等により投資家に開示される対象不動産の運用方法を所与とするため、その運用方法による使用が対象不動産の最有効使用と異なることとなる場合には、特定価格として求めなければならない。
    • この場合、正常価格の前提となる諸条件(最有効使用を前提とした価値判断:総論第5章第3節Ⅰ1(1)④)を満たさず、正常価格と同一の市場概念の下で形成される市場価値と乖離することとなる(総論第5章第3節Ⅰ3、同Ⅰ3(1))。
    • なお、投資法人等が投資対象資産を譲渡するときに依頼される鑑定評価で求める価格は、正常価格として求める(留意事項Ⅲ3(2)②ア)。
  • 鑑定評価の基本的な手法(各論第1章第4節Ⅰ)
    • 基本的に収益還元法のうちDCF法により求めた試算価格を標準とする。
    • 直接還元法による検証を行って求めた収益価格に基づき、比準価格及び積算価格による検証を行い、鑑定評価額を決定する。
    • 証券化対象不動産の収益価格を求めるにはDCF法を適用しなければならず、あわせて直接還元法を適用して検証を行うことが適切である(各論第3章第5節)。

(一部改題)

平成18年度 特定価格の意義・内容と、特定価格が必要な3つの場合

特定価格について、次の問に答えなさい。

(1) 特定価格について、意義、内容、正常価格との相違点を簡潔に説明しなさい。

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  • 意義(総論第5章第3節Ⅰ3)
    • 特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
  • 内容(総論第5章第3節Ⅰ3(1)〜(3))
    • 特定価格を求める場合の例は、次の三つである。
      • (1) 各論第3章第1節に規定する証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合
      • (2) 民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合
      • (3) 会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合
    • 鑑定評価によって求める価格は基本的には正常価格であるが、評価目的に応じ、特定価格として求めなければならない場合がある(総論第5章第3節Ⅰ)。
  • 正常価格との相違点
    • 正常価格は、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成される市場価値を表示する価格である(総論第5章第3節Ⅰ1)。
    • 特定価格は、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、その条件を満たさないことにより、正常価格と同一の市場概念の下で形成される市場価値と乖離する場合の価格である。
    • 鑑定評価報告書では、正常価格を求めることができる不動産について特定価格を求めた場合、かっこ書きで正常価格である旨を付記して額を併記する(総論第9章第2節Ⅰ)。

(2) 特定価格での鑑定評価が必要とされる場合を3つ説明し、特定価格として求める理由、その場合の鑑定評価の基本的な手法について説明しなさい。

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  • ① 証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合
    • 理由:投資家保護の観点から、収益力を適切に反映する収益価格に基づいた投資採算価値を求める必要があり、投資家に開示される運用方法を所与とするため、その使用が最有効使用と異なる場合には特定価格として求めなければならない(留意事項Ⅲ3(2)②ア)。
    • 手法:基本的にDCF法による試算価格を標準とし、直接還元法による検証を行って求めた収益価格に基づき、比準価格及び積算価格による検証を行って決定する(各論第1章第4節Ⅰ)。
  • ② 民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合
    • 理由:財産を処分するものとしての価格であり、対象不動産の種類、性格、所在地域の実情に応じ、早期の処分可能性を考慮した適正な処分価格として求める必要がある。通常の市場公開期間より短い期間で売却されることを前提とするため、早期売却による減価が生じないと判断される特段の事情がない限り、特定価格として求めなければならない(留意事項Ⅲ3(2)②イ)。
    • 手法:通常の市場公開期間より短い期間で売却されるという前提で、原則として比準価格と収益価格を関連づけ、積算価格による検証を行って決定する。比較可能な事例資料が少ない場合は、通常の方法で正常価格を求めた上で、早期売却に伴う減価を行って求めることもできる(各論第1章第4節Ⅱ)。
  • ③ 会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合
    • 理由:現状の事業が継続されるものとして、当該事業の拘束下にあることを前提とする価格を求めるものであり、対象不動産の利用現況を所与とすることにより、前提とする使用が最有効使用と異なることとなる場合には特定価格として求めなければならない(留意事項Ⅲ3(2)②ウ)。
    • 手法:原則として事業経営に基づく純収益のうち不動産に帰属する純収益に基づく収益価格を標準とし、比準価格を比較考量の上、積算価格による検証を行って決定する(各論第1章第4節Ⅲ)。

平成25年 正常価格・特定価格の成立条件

正常価格と特定価格の成立条件について、次の問に答えなさい。

(1) 正常価格について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる次の条件について、具体的に説明しなさい。

① 「買主が通常の資金調達能力を有していること」について

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  • 総論第5章第3節Ⅰ1(1)⑤に定める市場参加者の要件である。
  • 通常の資金調達能力とは、買主が対象不動産の取得に当たって、市場における標準的な借入条件(借入比率、金利、借入期間等)の下での借入れと自己資金とによって資金調達を行うことができる能力をいう(留意事項Ⅲ3(1)①)。
  • ※ 特別に有利な融資条件や過大な借入れを前提とせず、市場の標準的な水準での資金調達を想定する趣旨と整理できる(基準に直接の記載はなく、一般的理解で補った)。

② 「対象不動産が相当の期間市場に公開されていること」について

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  • 総論第5章第3節Ⅰ1(3)に定める条件である。
  • 相当の期間とは、対象不動産の取得に際し必要となる情報が公開され、需要者層に十分浸透するまでの期間をいう。価格時点における不動産市場の需給動向、対象不動産の種類、性格等によって異なることに留意すべきである(留意事項Ⅲ3(1)②)。
  • 公開されていることとは、価格時点において既に市場で公開されていた状況を想定することをいい、価格時点以降売買成立時まで公開されることではない(留意事項Ⅲ3(1)②)。

(2) 法令等による社会的要請を背景とする評価目的の下で、対象不動産の最有効使用を前提としない評価として特定価格を求めるケースについて、具体例を2つ挙げて説明しなさい。

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  • ① 証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合(総論第5章第3節Ⅰ3(1))
    • 資産流動化計画等により投資家に開示される運用方法を所与とするため、その運用方法による使用が最有効使用と異なることとなる場合には、特定価格として求めなければならない(留意事項Ⅲ3(2)②ア)。
  • ② 会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合(総論第5章第3節Ⅰ3(3))
    • 対象不動産の利用現況を所与とすることにより、前提とする使用が最有効使用と異なることとなる場合には、特定価格として求めなければならない(留意事項Ⅲ3(2)②ウ)。
  • ※ 民事再生法に基づく早期売却を前提とする場合は、通常の市場公開期間より短い期間での売却が問題となる場合であり、最有効使用を前提としない場合の例としては挙げにくいと整理した(留意事項Ⅲ3(2)②イ)。

平成25年 リースバックを前提とする売却と鑑定評価の基本的事項

現在、自社利用中の大型オフィスビル一棟について、リースバックを前提とする売却交渉が進展している。かかる物件について、売買の参考に供するための鑑定評価の依頼を購入希望者である投資法人から受託した。この場合における、鑑定評価の基本的事項に関して留意すべき点を述べなさい。

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  • 基本的事項確定の必要性
    • 鑑定評価に当たっては、対象不動産、価格時点及び価格の種類を確定しなければならない(総論第5章柱書)。そのため、依頼目的、条件及び依頼が必要となった背景を依頼者に明瞭に確認する(総論第8章第1節)。
    • 条件設定は、鑑定評価の妥当する範囲及び不動産鑑定士の責任の範囲を示す意義を持つ(留意事項Ⅲ1(1))。
  • 依頼者・利害関係等の確認
    • 依頼者は購入希望者の投資法人であり、提出先等、関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者との利害関係、鑑定評価額の公表の有無を確認する(総論第8章第2節)。
    • 投資法人は証券化関係者にあたり、依頼者と証券化関係者との関係等を報告書に記載する(各論第3章第3節Ⅲ)。
    • ※ 売主が賃借人となるため、売主側との利害関係の有無にも留意する。
  • 証券化対象不動産に該当すること
    • 投資法人が行う不動産取引の目的となる不動産であり、証券化対象不動産にあたる(各論第3章第1節Ⅰ(1))。各論第3章に従って鑑定評価を行い、報告書にその旨を記載する。
  • 対象不動産の確定と条件設定
    • 現況は自用の建物及びその敷地であるが、リースバックを前提とすると、売却後は貸家及びその敷地となる。価格時点と異なる権利関係を前提とするため、対象確定条件の設定が問題となる(総論第5章第1節Ⅰ1なお書き)。
    • 証券化対象不動産では、原則として、現実の利用状況と異なる対象確定条件の設定をしてはならない(総論第5章第1節Ⅳ)。
    • 設定する場合は、依頼目的に照らし、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないか、条件設定の妥当性を確認する(総論第5章第1節Ⅰ2)。利益を害するおそれとは、現況との相違が価格に与える影響を利用者が自ら判断することが困難な場合をいう(留意事項Ⅲ1(2)①ウ)。依頼者との合意も必要である(総論第5章第1節Ⅴ1)。
    • ※ リースバック契約の内容(賃料、期間、契約形態等)が確定し、利用者が影響を判断できる状態であることが前提になると整理した(上記制限の趣旨からの整理であり、基準に直接の記載はない)。
    • 条件の内容及び評価における取扱いが妥当と判断した根拠は、報告書に記載する(総論第9章第2節Ⅱ)。
  • 価格時点
    • ※ 売買交渉の参考であるため、鑑定評価を行う時点の現在時点とするのが通常と考えられる(総論第5章第2節)。
  • 価格の種類
    • 投資法人による取得時の価格であり、運用方法を所与とする。その運用方法による使用が最有効使用と異なることとなる場合には、特定価格として求めなければならない(留意事項Ⅲ3(2)②ア、総論第5章第3節Ⅰ3(1))。
    • ※ 運用方法による使用が最有効使用と一致する場合は、乖離が生じないため正常価格となる。
    • 特定価格を求める場合は、正常価格をかっこ書きで併記し、法令等による社会的要請の根拠を記載する(総論第9章第2節Ⅰ、Ⅴ)。
  • 手法面の留意点
    • 貸家及びその敷地は、実際実質賃料に基づく純収益等の現在価値の総和を求めることにより得た収益価格を標準とし、積算価格及び比準価格を比較考量して決定する。賃料改定の実現性、契約締結の経緯、残存期間、定期建物賃貸借か否か等を総合的に勘案する(各論第1章第2節Ⅱ1〜7)。
    • ※ 売主が賃借人となるため、約定賃料が市場水準と乖離していないかの検証が重要になる。
    • 収益価格はDCF法を適用して求め、直接還元法による検証を行う(各論第3章第5節)。特定価格の場合は各論第1章第4節Ⅰによる。

平成28年 民事再生法に基づく特定価格

民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、特定価格を求める場合の鑑定評価について、次の各問に答えなさい。

(1) 特定価格とはどのような価格か、定義について説明しなさい。

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  • 特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう(総論第5章第3節Ⅰ3)。
  • 民事再生法に基づく鑑定評価目的は、この例示にあたる(総論第5章第3節Ⅰ3(2)(3))。法令等には法律が含まれる(留意事項Ⅲ3(2)①)。

(2) 早期売却を前提とした価格を求める場合に特定価格を求める理由と、適用する鑑定評価の手法について説明しなさい。

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  • 特定価格を求める理由(留意事項Ⅲ3(2)②イ)
    • 民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、財産を処分するものとしての価格を求めるものであり、対象不動産の種類、性格、所在地域の実情に応じ、早期の処分可能性を考慮した適正な処分価格として求める必要がある。
    • 通常の市場公開期間より短い期間で売却されることを前提とするため、早期売却による減価が生じないと判断される特段の事情がない限り、特定価格として求めなければならない。
    • ※ 正常価格の条件である「相当の期間市場に公開されていること」(総論第5章第3節Ⅰ1(3))を満たさない場合の整理である(基準に条番号での明記はない)。
  • 鑑定評価の手法(各論第1章第4節Ⅱ)
    • 通常の市場公開期間より短い期間で売却されるという前提で、原則として比準価格と収益価格を関連づけ、積算価格による検証を行って鑑定評価額を決定する。
    • 比較可能な事例資料が少ない場合は、通常の方法で正常価格を求めた上で、早期売却に伴う減価を行って鑑定評価額を求めることもできる。

(3) 事業の継続を前提とした価格を求める場合に特定価格を求める理由と、適用する鑑定評価の手法について説明しなさい。

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  • 特定価格を求める理由(留意事項Ⅲ3(2)②ウ)
    • 会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、現状の事業が継続されるものとして当該事業の拘束下にあることを前提とする価格を求めるものである。
    • 対象不動産の利用現況を所与とすることにより、前提とする使用が最有効使用と異なることとなる場合には、特定価格として求めなければならない。
  • 鑑定評価の手法(各論第1章第4節Ⅲ)
    • 原則として、事業経営に基づく純収益のうち不動産に帰属する純収益に基づく収益価格を標準とする。
    • 比準価格を比較考量の上、積算価格による検証を行って鑑定評価額を決定する。

予想問題

価格の種類(正常価格・限定価格・特定価格・特殊価格)

予想度:本命
狙い:価格の種類の基本事項。特定価格は出題済みだが、限定価格・特殊価格との比較は未出題で、総論の価格の種類をまとめて問う形を狙う。

不動産の鑑定評価によって求める価格の種類について、次の問に答えなさい。

(1) 限定価格と特定価格について、それぞれの定義を述べ、正常価格と乖離する原因の違いを説明しなさい。

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  • 限定価格(総論第5章第3節Ⅰ2)
    • 市場性を有する不動産について、不動産と取得する他の不動産との併合又は不動産の一部を取得する際の分割等に基づき、正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することにより、市場が相対的に限定される場合における取得部分の当該市場限定に基づく市場価値を適正に表示する価格をいう。
  • 特定価格(総論第5章第3節Ⅰ3)
    • 市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより、正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
  • 乖離原因の違い
    • 限定価格は、併合・分割等により市場が相対的に限定されることが原因である。
    • 特定価格は、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことが原因である。

(2) 限定価格を求める場合の例を挙げ、特定価格を求める場合の例のうち一つについて、特定価格を求める理由を述べなさい。

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  • 限定価格を求める場合の例(総論第5章第3節Ⅰ2(1)〜(3))
    • 借地権者が底地の併合を目的とする売買に関連する場合
    • 隣接不動産の併合を目的とする売買に関連する場合
    • 経済合理性に反する不動産の分割を前提とする売買に関連する場合
  • 特定価格の例:証券化対象不動産の場合(留意事項Ⅲ3(2)②ア)
    • 投資家保護の観点から収益力を適切に反映する収益価格に基づく投資採算価値を求める必要がある。運用方法を所与とするため、その使用が最有効使用と異なる場合は特定価格として求める。
    • ※ 他の例(民事再生法に基づく早期売却、事業継続)を選んでもよい(留意事項Ⅲ3(2)②イ・ウ)。

(3) 特殊価格について述べ、特定価格との相違点を説明しなさい。

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  • 特殊価格(総論第5章第3節Ⅰ4)
    • 文化財等の一般的に市場性を有しない不動産について、その利用現況等を前提とした不動産の経済価値を適正に表示する価格をいう。
    • 例:文化財の指定を受けた建造物、宗教建築物、現況による管理を継続する公共公益施設の用に供されている不動産について、保存等に主眼をおいた鑑定評価を行う場合。
  • 特定価格との相違点
    • 特定価格は「市場性を有する不動産」を対象とするが、特殊価格は一般的に市場性を有しない不動産を対象とする。
    • 特殊価格を求めた場合は報告書に文化財の指定の事実等を、特定価格を求めた場合は法令等による社会的要請の根拠を明らかにする(総論第9章第2節Ⅴ)。

特定価格を求める場合と正常価格の前提条件との関係

予想度:有力
狙い:平成25年(正常価格の成立条件)と平成18年度・平成28年(特定価格の三つの場合)の組み合わせ。条件の欠落と手法の違いを横断的に問う形を狙う。

特定価格を求める場合と、正常価格の前提となる条件との関係について、次の問に答えなさい。

(1) 特定価格を求める三つの場合について、正常価格の前提となる条件のうち満たされなくなる条件を、場合ごとに説明しなさい。

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  • 証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資採算価値を表す価格を求める場合
    • 運用方法を所与とするため、その使用が最有効使用と異なる場合がある。市場参加者が対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行うこと(総論第5章第3節Ⅰ1(1)④)を満たさない(留意事項Ⅲ3(2)②ア)。
  • 民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合
    • 通常の市場公開期間より短い期間で売却されることを前提とする(留意事項Ⅲ3(2)②イ)。対象不動産が相当の期間市場に公開されていること(総論第5章第3節Ⅰ1(3))を満たさない。
  • 会社更生法又は民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、事業の継続を前提とした価格を求める場合
    • 対象不動産の利用現況を所与とするため、前提とする使用が最有効使用と異なる場合がある(留意事項Ⅲ3(2)②ウ)。最有効使用を前提とした価値判断を行うこと(総論第5章第3節Ⅰ1(1)④)を満たさない。
  • ※ 留意事項は、最有効使用との相違(②ア・ウ)と市場公開期間(②イ)の限度で理由を示している。「どの条件に対応するか」の条番号での整理は、基準に明記がなく、一般的理解で補った。

(2) 三つの場合における鑑定評価の手法の違いを、標準とする試算価格に着目して説明しなさい。

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  • 証券化対象不動産:DCF法による試算価格を標準とし、直接還元法による検証を行って求めた収益価格に基づき、比準価格及び積算価格による検証を行う(各論第1章第4節Ⅰ)。
  • 早期売却:原則として比準価格と収益価格を関連づけ、積算価格による検証を行う。事例資料が少ない場合は、正常価格を求めた上で早期売却に伴う減価を行うこともできる(各論第1章第4節Ⅱ)。
  • 事業の継続:事業経営に基づく純収益のうち不動産に帰属する純収益に基づく収益価格を標準とし、比準価格を比較考量の上、積算価格による検証を行う(各論第1章第4節Ⅲ)。

証券化対象不動産の特定価格とDCF法

予想度:有力
狙い:平成16年(証券化の特定価格と手法)と平成25年(リースバック、投資法人)の流れ。取得時・譲渡時の価格の種類の違いと、DCF法の適用上の要請を狙う。

証券化対象不動産の鑑定評価について、次の問に答えなさい。

(1) 投資法人等が投資対象資産を取得する場合と譲渡する場合とで、鑑定評価によって求める価格の種類がどのように異なるか、説明しなさい。

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  • 取得時又は保有期間中(留意事項Ⅲ3(2)②ア)
    • 投資家に開示するため、収益力を適切に反映する収益価格に基づく投資採算価値を求める必要がある。
    • 投資家に開示される運用方法を所与とし、その使用が最有効使用と異なる場合には特定価格として求めなければならない。
    • ※ 運用方法による使用が最有効使用と一致する場合は、乖離が生じず正常価格となる(上記の反対解釈)。
  • 譲渡時(留意事項Ⅲ3(2)②ア)
    • 投資法人等が投資対象資産を譲渡するときに依頼される鑑定評価で求める価格は、正常価格として求める。

(2) 証券化対象不動産の鑑定評価における収益価格の求め方について、DCF法の適用に関する基準上の要請を述べなさい。

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  • 収益価格を求めるに当たっては、DCF法を適用しなければならず、あわせて直接還元法を適用して検証を行うことが適切である(各論第3章第5節)。
  • DCF法の適用に当たっては、活用する資料の区分(依頼者から入手した資料をそのまま活用、修正等を加えて活用、自ら入手した資料を活用)に応じて、その妥当性や判断の根拠等を報告書に記載する(各論第3章第5節Ⅰ(1))。
  • 最終還元利回り、割引率、収益及び費用の将来予測等の査定項目の説明に加え、収益価格を求める過程及びその理由について、経済事情の変動の可能性、具体的に検証した事例、論理的な整合性等を明確にして記載する(各論第3章第5節Ⅰ(2))。
  • DCF法で査定した収益価格と、原価法及び取引事例比較法等で求めた試算価格との関連を明確にして、鑑定評価額を決定した理由を記載する(各論第3章第5節Ⅰ(3))。
  • 収益費用項目を統一する(各論第3章第5節Ⅱ)。証券化関連費用は含めず、減価償却費は計上しない(留意事項Ⅹ4(2))。

民事再生法に基づく早期売却と正常価格との関係

予想度:変化球
狙い:平成28年で定義と手法は問われたため、留意事項の「特段の事情」と、事例が少ない場合の補完的な手法という細部を狙う。

民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で、早期売却を前提とした価格を求める場合について、次の問に答えなさい。

(1) 民事再生法に基づく鑑定評価目的の下で早期売却を前提とした価格を求める場合であっても、特定価格として求めなくてよい場合について、説明しなさい。

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  • 早期売却を前提とした価格は、早期売却による減価が生じないと判断される特段の事情がない限り、特定価格として求めなければならない(留意事項Ⅲ3(2)②イ)。
  • したがって、早期売却による減価が生じないと判断される特段の事情がある場合は、特定価格として求めなくてよい。
  • ※ この場合は、正常価格との乖離が生じないため、正常価格として求めることになると整理した。具体的にどのような場合が特段の事情にあたるかは、基準に記載がなく、一般的理解による(例:需給が逼迫し、短期間でも通常の市場公開期間と同水準で売却できる場合)。

(2) 早期売却を前提とした特定価格を求める場合において、比較可能な事例資料が少ないときの鑑定評価の手法を述べなさい。

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  • 通常の方法で正常価格を求めた上で、早期売却に伴う減価を行って鑑定評価額を求めることもできる(各論第1章第4節Ⅱ)。
  • 原則は、通常の市場公開期間より短い期間で売却されるという前提で、比準価格と収益価格を関連づけ、積算価格による検証を行って決定する方法である(各論第1章第4節Ⅱ)。
  • ※ 減価の査定方法は基準に具体的な記載がない。通常の市場公開期間より短い期間での売却による市場性の減退等を反映するのが一般的な理解である。

特定価格における「法令等」と鑑定評価報告書の記載

予想度:変化球
狙い:これまで正面から問われていない「法令等」の範囲と、報告書の記載事項。留意事項と総論第9章の条文知識を狙う。

特定価格について、次の問に答えなさい。

(1) 特定価格の定義にいう「法令等」の範囲について、説明しなさい。

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  • 法令等とは(留意事項Ⅲ3(2)①)
    • 法律、政令、内閣府令、省令、その他国の行政機関の規則、告示、訓令、通達等をいう。
    • 最高裁判所規則、条例、地方公共団体の規則も含む。
    • 不動産鑑定士等の団体が定める指針(不動産の鑑定評価に関する法律第48条の規定により国土交通大臣に届出をした社団又は財団が定める指針で、国土交通省との協議を経て当該団体において合意形成がなされたもの)も含む。
    • 企業会計の基準、監査基準も含む。

(2) 特定価格を求めた場合の鑑定評価報告書の記載事項について、述べなさい。

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  • 鑑定評価額及び価格の種類:正常価格を求めることができる不動産について特定価格を求めた場合は、かっこ書きで正常価格である旨を付記して、それらの額を併記する(総論第9章第2節Ⅰ)。
  • 依頼目的及び依頼目的に対応した条件と価格の種類との関連:特定価格を求めるべきと判断した理由を記載し、特に法令等による社会的要請の根拠を明らかにする(総論第9章第2節Ⅴ)。
  • 鑑定評価の条件:設定した条件の内容及び評価における取扱いが妥当と判断した根拠を明らかにする(総論第9章第2節Ⅱ)。
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