【令和6年不動産鑑定士試験】民法 過去問解答

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型にあてはめて、といって、Claudeで作成。

問題1 遺産分割と対抗要件・共有物の使用

(1) 遺産分割による権利取得と差押債権者Dへの対抗

関連条文
・遺産分割は相続開始時に遡って効力を生じるが、第三者の権利を害することはできない(909条)
・相続による権利の承継は、遺産分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できない(899条の2第1項)
・不動産に関する物権の得喪・変更は、登記をしなければ第三者に対抗できない(177条)
・相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属し、法定相続分が共有持分となる(898条1項・2項)
・子が数人あるときは、各自の相続分は相等しい(900条4号)

1.原則論
【規範】遺産分割は、相続開始の時に遡って効力を生ずる(909条本文)。したがって、遺産分割で甲土地を取得したBは、相続開始時から甲土地の単独所有者であったことになる。
【あてはめ】本件では、BC間の遺産分割協議(907条1項)で、Bが甲土地の全部を取得した。よって、Cは初めから甲土地の持分を有しなかったことになり、Dが差し押さえたCの持分は、無権利者の持分となる。
【結論】したがって、BはDに対し、甲土地全部の所有権取得を対抗できるのが原則である。

2.論点・例外
【問題提起】しかし、遺産分割による権利承継にも対抗要件が必要ではないか。Bは登記なくしてDに対抗できるかが問題となる。
【規範】この点、相続による権利の承継は、遺産分割によるものであっても、法定相続分を超える部分については、登記等の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないと解される(899条の2第1項、177条)。他方、法定相続分の範囲内の部分は、登記なくして対抗できる。第三者の主観は問わない(背信的悪意者を除く)。
【あてはめ】本件では、Bの法定相続分は2分の1である(900条4号、898条2項)。Bが遺産分割で取得したのは全部であるから、法定相続分を超える2分の1の部分について対抗要件が必要となる。Dは、Cの持分を差し押さえた債権者であり、この部分の第三者に当たる。Bはこの部分の登記を備えていない。Dが遺産分割協議の成立を知らなかったことは問題とならず、Dが背信的悪意者となる事情もない。他方、法定相続分に当たる2分の1の部分は、登記なくして対抗できる。
【全体の結論】よって、Bは甲土地全部の所有権取得をDに対抗できない。ただし、法定相続分に相当する2分の1の持分の取得は対抗できる。


(2)① 共有者間の合意に反する単独使用と明渡請求

関連条文
・各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる(249条1項)
・共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも同様である(252条1項)
・各共有者は、保存行為をすることができる(252条5項)

1.原則論
【規範】各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用ができる(249条1項)。したがって、他の共有者は、共有物を占有する共有者に対し、当然には明渡しを請求できない。
【あてはめ】本件では、X、Y、Zは、遺産分割協議で本件別荘を持分3分の1ずつで共有した。Yも共有者として、別荘の全部を使用できる。
【結論】したがって、Xは、Yが共有者として別荘を占有しているというだけでは、明渡しを請求できないのが原則である。

2.論点・例外
【問題提起】しかし、共有者間で使用方法(利用期間の事前通知、重複時の調整)を合意しているのに、Yがこれに反して単独で使い続けている。この場合、Xは明渡しを請求できるかが問題となる。
【規範】この点、使用方法について共有者間の合意がある場合、これに反する単独占有は、持分に応じた使用の範囲(249条1項)を超え、他の共有者の使用を妨げる。したがって、他の共有者は、保存行為(252条5項)として、その単独占有の排除(明渡し)を請求できると解する。ただし、その共有者の持分に基づく合意に従った利用まで否定されるものではない。
【あてはめ】本件では、X、Y、Zは、事前に利用期間を通知して利用し、希望が重なれば調整する旨を合意した。Yは、通知も調整もせず単独で使い続け、X、Zの使用を妨げている。Yの占有は、合意に反し、持分に応じた使用を超えるものである。
【全体の結論】よって、Xは、Yに対し、保存行為として本件別荘の明渡しを請求できる。ただし、Yの合意に従った利用まで否定するものではない。


(2)② 単独使用と使用対価の償還請求(賃料相当額)

関連条文
・共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う(249条2項)
・各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる(249条1項)

1.原則論
【規範】共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う(249条2項)。
【あてはめ】本件では、Yは別荘を単独で使用しており、自己の持分(3分の1)を超える3分の2の部分を使用している。賃料相当額は月額12万円であるから、持分を超える使用の対価は月額8万円(12万円×3分の2)である。これはXとZの持分(各3分の1)に対応するので、Xの分は月額4万円(12万円×3分の1)となる。
【結論】したがって、XはYに対し、単独使用の開始時以降、月額4万円の償還を請求できるのが原則である。

2.論点・例外
【問題提起】しかし、利用期間を通知すれば各人が別荘を利用できるとの合意がある。これが「別段の合意」に当たり、償還義務が排除されないかが問題となる。
【規範】この点、「別段の合意」とは、使用の対価を償還しない旨(無償使用の合意)など、償還義務を排除・変更する合意をいい、使用の調整を定めるにとどまる合意は含まれないと解する。
【あてはめ】本件では、合意は、利用の通知と重複時の調整を定めるにすぎず、対価の免除には触れていない。しかも、Yはこの合意にも従っていない。したがって、償還義務を排除する別段の合意はない。
【全体の結論】よって、Xは、Yに対し、単独使用の開始時以降、月額4万円の対価の償還を請求できる(249条2項)。


(2)③ 共有状態を維持したまま別荘を利用する方法

関連条文
・各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる(249条1項)
・共有物の管理に関する事項は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも同様である(252条1項)
・各共有者は、保存行為をすることができる(252条5項)

1.原則論
【規範】各共有者は共有物の全部を持分に応じて使用でき(249条1項)、共有者間に使用方法の合意があれば、それに従って使用する。
【あてはめ】本件では、Xは、持分3分の1の共有者として別荘の全部を使用できる。また、X、Y、Zの合意により、利用期間を事前に通知すれば利用できる。
【結論】したがって、Xは、合意に従い、利用期間をY、Zに通知した上で別荘を利用するのが原則である。

2.論点・例外
【問題提起】しかし、Yが単独使用を続けて調整に応じない場合、Xはどのような方法で利用を確保できるかが問題となる。
【規範】この点、共有物の使用方法の決定は管理に関する事項であり、各共有者の持分の価格の過半数で決することができ、共有物を使用する共有者があるときも同様である(252条1項)と解する。また、各共有者は、保存行為として、妨害の排除を請求できる(252条5項)。
【あてはめ】本件では、XとZの持分は合計3分の2で、過半数に当たる。XはZと共同して、利用の順序・期間を決定できる(252条1項)。Yが決定や合意に反して単独占有を続けるときは、Xは保存行為として、Yの単独占有の排除を請求できる(252条5項、①参照)。
【全体の結論】よって、Xは、まず合意に従い利用期間を通知して利用する。調整がつかないときは、Zとともに持分価格の過半数で使用方法を決定し(252条1項)、共有状態のまま利用できる。妨害があれば、保存行為としてYの単独占有の排除を請求できる(252条5項)。


問題2 土壌汚染と売買契約の契約不適合

(1) 契約不適合の判断基準と後発の土壌汚染規制

関連条文
・引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主は履行の追完を請求できる(562条1項)
・追完請求・代金減額請求は、損害賠償請求・解除権の行使を妨げない(564条)

1.原則論
【規範】引き渡された目的物の種類・品質が契約の内容に適合しないときは、契約不適合となる(562条1項)。適合性は、契約の内容、すなわち当事者の合意及び契約の趣旨に照らして判断する。
【あてはめ】本件では、本件土地の土壌にはふっ素が含まれていた。ふっ素を含まない土壌であることが契約の内容であれば、契約不適合となりうる。
【結論】したがって、目的物が契約で予定された品質を欠くときは、契約不適合となるのが原則である。

2.論点・例外
【問題提起】しかし、契約締結時、ふっ素は法令上の規制対象でなく、取引観念上も健康被害のおそれが認識されておらず、X、Yにも認識がなかった。契約後に基準値が定められたことで、契約不適合となるかが問題となる。
【規範】この点、契約不適合かどうかは、契約締結時の当事者の合意・契約の趣旨及び取引観念に照らして判断すると解する。契約後に法令の規制対象となった事情は、それが契約の内容となっていない限り、契約不適合を基礎付けない。
【あてはめ】本件では、契約締結当時、ふっ素は規制対象外で、取引観念上も健康被害のおそれは認識されておらず、X、Yとも認識がなかった。そうすると、ふっ素を含まない土壌であることが、明示又は黙示に契約の内容となっていたとはいえない。平成15年の基準値の制定は、契約の内容を変えるものではない。
【全体の結論】よって、Xの主張は認められない。


(2) 契約不適合が認められる場合のXの請求と期間制限

関連条文
・買主は、目的物の修補・代替物の引渡し・不足分の引渡しによる履行の追完を請求できる。売主は、買主に不相当な負担を課さないときは、別の方法で追完できる(562条1項)
・買主が相当の期間を定めて追完を催告し、その期間内に追完がないときは、不適合の程度に応じて代金の減額を請求できる。追完が不能なときは、催告なく減額を請求できる(563条1項、2項1号)
・債務者が債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は損害賠償を請求できる。ただし、債務者の責めに帰することができない事由によるときは、この限りでない(415条1項)
・相当の期間を定めた催告に応じない場合、債権者は契約を解除できる。ただし、不履行が軽微なときは、この限りでない(541条)。履行が不能であるときなどは、催告なく直ちに解除できる(542条1項)
・買主が不適合を知った時から1年以内に通知しないときは、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除ができない。ただし、売主が引渡し時に不適合を知り、又は重大な過失により知らなかったときは、この限りでない(566条)

1.原則論
【規範】契約不適合があるとき、買主は、①追完請求(562条1項)、②代金減額請求(563条)、③損害賠償請求(564条、415条1項)、④契約の解除(564条、541条、542条)ができる。①②④は売主の帰責事由を要しないが、③は売主の帰責事由が必要である(415条1項ただし書)。②は原則として追完の催告が必要であり(563条1項)、④の催告解除は不履行が軽微でないことを要する(541条)。
【あてはめ】本件では、Xは、①汚染土壌の除去等による追完を請求できる(Yは、不相当な負担を課さない限り別の方法で追完できる。562条1項ただし書)。②追完を催告しても追完がないとき、又は追完が不能なときは、代金減額を請求できる(563条1項、2項1号)。③調査・浄化費用等の損害賠償を請求できる余地がある。④基準値を超えるふっ素の汚染は軽微といえず、追完の催告に応じなければ解除できる(541条)。追完が不能で契約の目的を達成できないときは、催告なく解除できる(542条1項)。
【結論】したがって、契約不適合があれば、原則として上記①〜④の請求ができる。

2.論点・例外

論点① 損害賠償請求とYの帰責事由
【問題提起】しかし、Yは契約締結時にふっ素の危険を認識していなかった。Yに帰責事由があるかが問題となる。
【規範】この点、債務不履行が、契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるときは、損害賠償請求はできないと解する(415条1項ただし書)。
【あてはめ】本件では、契約締結当時、ふっ素は規制対象外で、取引観念上も健康被害のおそれは認識されていなかった。Yも認識しておらず、Yがふっ素の含有を予見して防止することは期待できなかったから、Yの責めに帰することができない事由がある。
【結論】したがって、③損害賠償請求は認められない。

論点② 566条の通知の期間制限
【問題提起】また、Xは、不適合が判明した平成17年11月2日から1年以内にYに通知したかが問題となる。
【規範】この点、買主が不適合を知った時から1年以内に売主に通知しないときは、追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除ができない。ただし、売主が引渡し時に不適合を知り、又は重大な過失により知らなかったときは、この限りでない(566条)と解する。
【あてはめ】本件では、Xは平成17年11月2日に不適合を知った。したがって、通知の期限は平成18年11月2日である。問題文にXが通知した事実は示されていない。Yは、引渡し時にふっ素の含有を知らず、上記のとおり重大な過失もないから、566条ただし書には当たらない。
【全体の結論】よって、Xが平成18年11月2日までにYへ通知していれば、①追完請求、②代金減額請求、④解除が認められる。③損害賠償請求は、Yの帰責事由がなく認められない。通知していなければ、566条により、いずれの請求も認められない。

出題の要旨

【問題1】
設問(1)では、遺産分割によって不動産所有権を取得した相続人が、その全部取得を第三者に対抗するためには登記が必要かについて適切な根拠条文を
挙げるとともに、差押債権者の「第三者」性に関する的確な理解とそれに基づく結論の明示を求めている。
設問(2)では、共有持分権者は、共有物を勝手に単独で使用する他の共有持分権者に対して、明渡請求をすることができるか、また金銭の支払請求をすることができるか、さらに共有状態を続けたまま自らも利用したい場合、いかなる方法を採れるかに関して、関連判例や根拠条文を踏まえて、的確な結論を導くことを求めている。
【問題2】
この問題は、契約不適合責任の要件と効果についての基本的な理解を問うものである。
設問(1)は、要件(562 条 1 項にいう「引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」)についての基本的な理解を問うものである。なお、債権等の消滅時効を用いて論じることもできる。
設問(2)は、効果(買主の追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求及び解除権の行使)についての基本的な理解を問うものである。

この記事を書いた人:藤本紗帆

1992年生まれ。3人目の育休中。

初めて不動産投資をするときにつまづくことが多く、当時知りたかったことをこのブログでまとめています。最近は不動産鑑定士の勉強についての記事ばかりです。ドメイン分ければ良かったか・・・。

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