結局民法ってどこ覚えたらええねん、と思いClaudeにつくらせてみました。
完成度低め、いつかなおす予定。(そんなんばっかやな)
はじめに
平成29年度から令和8年度までの10年分(49小問)の論文式過去問から、答案に書く文言のうち、条文(参考条文)に載っていないものだけを集めました。条文の文言は問題用紙に書いてあるので、覚える必要はありません。覚えるのは、判例・学説で決まっている解釈の言い回しです。
総則(意思表示・制限行為能力・代理・時効)
錯誤・詐欺による取消し(95条・96条)
★★ 頻出・3年出題:令和4年・令和2年・平成30年
【条文】
95条1項 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。①意思表示に対応する意思を欠く錯誤 ②表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
95条2項 前項第2号の錯誤による取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
95条3項 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、①相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき、②相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき、を除き、取り消すことができない。
95条4項 錯誤による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
96条1項 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
96条2項 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
96条3項 詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
重大な過失
「重大な過失とは、通常人に期待される注意を著しく欠くことをいう」詐欺
「詐欺とは、人を欺罔して錯誤に陥らせ、その錯誤に基づいて意思表示をさせる行為をいい、欺罔の故意と、錯誤に陥らせて意思表示をさせる故意(二段の故意)が必要」第三者(96条3項)
「第三者とは、取消しの意思表示の前に、詐欺による意思表示によって生じた法律関係に基づき、新たに利害関係を持った者をいう」取消後の第三者
「取消後の第三者であれば、対抗関係(177条)になる」
94条2項の類推適用
出題:令和4年
【条文】
94条2項 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
110条(参考) 代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときは、本人は責任を負う(表見代理)。94条2項の類推適用では、この110条の考え方を借りて、第三者に善意無過失を求める場面がある。
類推適用の要件
「権利者が、虚偽の外観の存在を知りながらこれを放置し、明示又は黙示に承認していた」類推適用の根拠
「外観を作出又は承認した本人の帰責性と、外観を信頼した第三者の保護(取引の安全)」第三者の主観
「外観の作出に関与した本人との関係では、第三者は善意であれば足りる。外観を放置・承認していたにとどまる本人は、帰責性が小さい。そこで、権限外の行為の表見代理(110条)が、相手方に代理権があると信ずる正当な理由(善意無過失)を求めていることとのバランスから、第三者は善意無過失であることを要する」
虚偽表示と転得者(94条)
出題:令和8年
【条文】
94条1項 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
94条2項 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
94条2項の第三者
「94条2項の第三者とは、虚偽表示の当事者及び一般承継人以外の者で、虚偽表示により作られた外形を基礎として、新たに独立の法律上の利害関係を有するに至った者をいう」転得者
「転得者も第三者にあたる」善意で足りる
「第三者は善意であればよく、無過失や登記は要らない」絶対的構成
「善意の第三者が現れた後は、権利関係が確定し、その後の転得者は悪意でも保護される(絶対的構成)」法的安定性
「法律関係の早期安定(法的安定性)を図る」
制限行為能力者の詐術(21条)
出題:令和8年
【条文】
21条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。
黙秘と詐術
「単に制限行為能力者であることを黙秘しているだけでは、詐術にあたらない」黙秘+言動
「黙秘が、他の言動と相まって、相手方を誤信させ、又は誤信を強めたものであれば、詐術にあたる」21条の趣旨
「21条の趣旨は、詐術を用いた者は保護に値せず、相手方の信頼と取引の安全(法的安定性)を守る点にある」
表見代理(110条・761条)
★★ 頻出・3年出題:令和5年・令和2年・平成29年
【条文】
110条 前条第1項本文の規定(代理権授与の表示による表見代理)は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。
761条 夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対して責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
基本代理権
「基本代理権とは、権限外の行為の前提となる代理権をいう」正当な理由
「正当な理由とは、代理権があると信ずることについて、善意無過失であることをいう」110条の趣旨
「110条の趣旨は、代理権を与えた本人の帰責性と、相手方の信頼の保護(取引の安全)にある」761条
「761条は、夫婦が日常家事について相互に代理権を有することを含む」日常の家事の範囲
「日常の家事の範囲は、夫婦の社会的地位・職業・資産・収入等と、行為の目的・性質から客観的に判断する」110条の類推適用
「夫婦の一方が日常の家事の範囲を超える行為をした場合でも、相手方がその行為を日常の家事の範囲内と信ずるについて正当な理由があるときは、110条の趣旨を類推適用する」
本人が無権代理人を単独相続(113条・117条)
出題:令和5年
【条文】
113条1項 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
117条1項 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
包括承継
「相続により、本人は無権代理人の地位を包括承継する」無権代理の効力
「無権代理行為は、相続によって当然に有効になるわけではない」追認拒絶権
「本人の追認拒絶権は、相続によって失われない」無権代理人の責任
「もっとも、相続した無権代理人の責任(履行又は損害賠償)を免れない」追認拒絶と信義則
「本人が無権代理人を相続しても、追認を拒絶することは信義則に反しない」
消滅時効の完成と承認(166条・152条)
出題:令和7年
【条文】
166条1項 債権は、①債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、②権利を行使することができる時から10年間行使しないとき、は時効によって消滅する。
152条1項 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
145条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
起算点
「弁済期の定めがあるときは、客観的起算点と主観的起算点は、いずれも弁済期である」一部弁済
「一部弁済は、債務の存在を認識していることを表示する行為として、承認にあたる」時効完成後の承認
「時効完成後の承認は、信義則上、時効を援用できなくなる」
物権(物権変動・相続と共有・担保物権)
所有権に基づく請求
★★★ 最頻出・7年出題:令和8年・令和7年・令和5年・令和3年・令和2年・令和元年・平成29年
【条文】
206条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。(所有権に基づく妨害排除請求などの根拠となる請求権そのものは、条文に書かれていない。)
所有権に基づく請求
「所有権に基づく妨害排除請求権は、条文に定めはないが、所有権の円満な支配を妨げる者に対し、妨害の排除を請求できる物権的請求権として認められる。要件は、①請求者が目的物を所有していること、②相手方が妨害状態(占有・登記名義など)を生じさせていること。相手方は、占有権原などを抗弁として主張できる」請求の種類
「返還請求は、占有を奪われているとき。妨害排除請求は、占有以外の方法で妨害されているとき(建物収去土地明渡請求・抹消登記請求・移転登記請求など)。妨害予防請求は、妨害のおそれがあるとき」
二重譲渡と登記(177条)
★ 複数年・2年出題:令和3年・平成30年
【条文】
176条 物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる。
177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
二重譲渡
「二重譲渡の関係は対抗関係にあり、先に登記を備えた者が優先する」177条の第三者
「177条の第三者とは、当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう」
背信的悪意者と転得者(177条・不動産登記法5条)
★★ 頻出・4年出題:令和3年・平成30年・令和元年・平成29年
【条文】
177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
不動産登記法5条 1項 詐欺又は強迫によって登記の申請を妨げた第三者は、その登記がないことを主張することができない。2項 他人のために登記を申請する義務を負う第三者は、その登記がないことを主張することができない。ただし、その登記の登記原因が自己の登記の登記原因の後に生じたときは、この限りでない。
単なる悪意者
「単なる悪意者は、自由競争の範囲内であれば、177条の第三者にあたる」不動産登記法5条の趣旨
「不動産登記法5条の趣旨は、登記の欠缺を主張することが信義に反する第三者を、登記がないことを主張できる者から除外する点にある」列挙以外の者
「5条に列挙された者に限らず、背信的悪意者も、登記の欠缺を主張する正当な利益を有しない」背信的悪意者
「背信的悪意者とは、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事情のある者をいう」背信的悪意者からの転得者
「背信的悪意者から譲り受けた者は、自らが背信的悪意者と評価されない限り、所有権の取得を対抗できる(相対的構成)」善意の第三者の後の転得者
「善意の第三者が現れた後は、その後の転得者が背信的悪意者でも、権利関係は確定している(絶対的構成)」
取得時効と登記(162条・186条)
★ 複数年・2年出題:令和元年・平成29年
【条文】
162条 1項 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。2項 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の不動産を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
186条1項 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
144条 時効の効力は、その起算日にさかのぼる。
177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
所有の意思
「所有の意思(自主占有)は、占有取得の原因となった事実から客観的に判断し、他人の所有と知っていても認められる」無過失
「無過失とは、自己の所有と信ずることに過失がないことをいう」推定
「所有の意思・善意・平穏・公然は推定されるが、無過失は推定されない(占有者が立証する)」援用と原始取得
「時効の完成には、援用が必要であり、援用により所有権を原始取得する」時効完成前の第三者
「時効完成前に所有権を取得した第三者は、時効完成時の所有者として当事者の関係に立つので、時効取得者は登記なくして対抗できる」時効完成後の第三者
「時効完成後の第三者との関係は、対抗関係として、登記の先後で決する」
建物収去土地明渡請求(177条)
出題:令和元年
【条文】
206条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。(所有権に基づく妨害排除請求などの根拠となる請求権そのものは、条文に書かれていない。)
177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
建物収去土地明渡請求の相手方
「建物収去土地明渡請求の相手方は、現に建物を所有して土地を占拠している実質的所有者である」登記名義人
「登記名義人も、登記を保有する限り、土地所有者に対し収去義務を免れない」土地所有者の地位
「土地所有者は、建物の所有権の移転について、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者にあたる。そのため、建物の譲渡人は、登記名義を有する限り、所有権の喪失を土地所有者に主張できない」
相続と登記(899条の2)
出題:令和6年
【条文】
899条の2第1項 相続による権利の承継は、遺産の分割によるものかどうかにかかわらず、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができない。
差押債権者
「差押債権者(債権者代位で登記をした者)は第三者にあたる」第三者の主観(相続)
「第三者の善意・悪意は問わない」
共有物の使用と管理(249条・252条)
出題:令和6年
【条文】
249条1項 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
249条2項 共有物を使用する共有者は、別段の合意がある場合を除き、他の共有者に対し、自己の持分を超える使用の対価を償還する義務を負う。
252条1項 共有物の管理に関する事項(変更を除く。)は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。共有物を使用する共有者があるときも、同様とする。
持分に基づく使用権
「各共有者は、持分に基づく使用権を有するので、単独で占有する共有者に対しても、当然には明渡しを請求できない(原則)」共有者間の合意
「共有者間の合意(使用方法の定め)に反する占有は、持分権の行使として許されない」使用方法
「共有物の使用方法も管理事項にあたる」償還額
「償還額は、賃料相当額に、他の共有者の持分割合を掛けて計算する」別段の合意
「別段の合意とは、対価を支払わない旨の合意をいう」
物上保証人と抵当権の消滅(145条・396条)
出題:令和7年
【条文】
396条 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
152条1項 時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
145条 時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
153条1項 時効の完成猶予又は更新は、完成猶予又は更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。
付従性
「抵当権は付従性により、被担保債権が消滅すれば消滅する」承認の効力
「時効の更新は、更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間でのみ効力を有する(相対効・153条1項)」更新の効力
「更新の効力は、承認した者との間で生ずるのが原則」
債権(債務不履行・解除・保証)
履行不能と損害賠償(415条・416条)
出題:平成30年
【条文】
412条の2第1項 債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
415条1項 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
416条 1項 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。2項 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
履行不能
「履行不能かどうかは、契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして判断する」損害賠償の範囲
「損害賠償の範囲は、履行利益(得べかりし利益)であり、目的物の価値と代金との差額が基本となる」
危険負担と請負報酬(536条)
出題:平成29年
【条文】
536条1項 当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができる。
536条2項 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。
債権者の責めに帰すべき事由
「債権者の責めに帰すべき事由とは、債権者の故意・過失又はこれと同視すべき事由をいう」利益の控除
「請負人が自己の債務を免れて得た利益(支出を免れた費用)は、報酬から控除する」
同時履行の関係にある債務の遅滞と催告解除(533条・541条)
出題:令和元年
【条文】
533条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
492条 債務者は、弁済の提供の時から、債務を履行しないことによって生ずべき責任を免れる。
493条 弁済の提供は、債務の本旨に従って現実にしなければならない。ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足りる。
541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
同時履行の抗弁権
「同時履行の抗弁権を有する当事者は、相手方が履行の提供をするまでは、履行遅滞の責任を負わない」解除の前提
「同時履行の関係にある債務の債権者が解除するには、自己の債務の履行の提供をして、相手方の同時履行の抗弁権を失わせたうえで、催告しなければならない」履行の提供
「履行の提供は、債務の本旨に従って行う(登記手続に必要な書類を準備して、受領を催告する)」
催告の相当期間と過大な催告(541条)
★★ 頻出・4年出題:令和4年・令和3年・令和元年・平成29年
【条文】
541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
相当の期間
「相当の期間とは、債務者が履行の準備をして履行するのに必要な期間をいう」期間を定めない催告
「催告に期間を定めなくても、催告の時から客観的に相当な期間が経過すれば、解除できる」複数回の催告
「複数回の催告があるときは、いずれかの催告後に相当の期間が経過していれば足りる」過大な催告
「過大な催告は、本来の債務額の範囲では有効である(超過額でなければ受領しない趣旨が明らかな場合を除く)」
意思表示の到達(97条)
★ 複数年・2年出題:令和7年・令和4年
【条文】
97条1項 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
97条2項 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
到達
「到達とは、意思表示が相手方の支配圏内に入り、相手方が了知できる状態に置かれたことをいう」
個人根保証(465条の2)
出題:令和7年
【条文】
465条の2第1項 一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約(根保証契約)であって保証人が法人でないもの(個人根保証契約)の保証人は、主たる債務の元本、利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのもの及びその保証債務について約定された違約金又は損害賠償の額について、その全部に係る極度額を限度として、その履行をする責任を負う。
465条の2第2項 個人根保証契約は、極度額を定めなければ、その効力を生じない。
465条の3第1項(要旨) 元本確定期日の定めに関する規定は、貸金等根保証契約についての規定である。
一定の範囲に属する不特定の債務
「賃貸借から生ずる賃借人の債務(賃料・損害賠償・原状回復費用など)は、『一定の範囲に属する不特定の債務』にあたる」元本確定期日
「元本確定期日の規定は、貸金等債務を含む根保証にだけ適用され、賃貸借の保証には適用されない」
契約各論(贈与・売買、賃貸借、請負)
贈与・売買
贈与(549条・550条)
出題:令和4年
【条文】
549条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
550条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
贈与の成立
「贈与は諾成契約であり、口頭でも成立する」履行の終わった部分
「履行の終わった部分とは、不動産の贈与では、引渡し又は登記の移転がされた部分をいう」
手付解除(557条)
出題:令和元年
【条文】
557条1項 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
手付の推定
「手付は、解約手付と推定される」倍額の提供
「倍額の提供は、口頭の提供では足りず、現実の提供が必要」履行の着手
「履行の着手とは、客観的に外部から認識できる形で、履行行為の一部をし、又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をしたことをいう」履行の準備行為
「単なる履行の準備行為は、履行の着手にあたらない」
契約不適合(562条)
出題:令和6年
【条文】
562条1項 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
契約不適合の判断
「契約不適合は、契約の趣旨・当事者の合意・取引上の社会通念に照らして判断する」判断の基準時
「売買契約締結当時の取引観念と法令の規制状況を基準とする」
賃貸借・借地借家法
賃貸借の解除と信頼関係の破壊(541条・612条)
★★★ 最頻出・5年出題:令和8年・令和4年・令和3年・平成30年・平成29年
【条文】
612条1項 賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
612条2項 賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益をさせたときは、賃貸人は、契約の解除をすることができる。
541条 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
賃貸借の性質
「賃貸借は継続的契約であり、当事者の信頼関係を基礎とする」信頼関係の破壊
「信頼関係を破壊するに足りない特段の事情があるときは、解除できない」背信行為
「賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情」背信行為の判断
「背信行為か否かは、転貸の目的・期間・態様、転借人の使用状況、賃貸人の不利益の有無などを総合して判断する」無催告解除
「背信行為と認められるときは、催告をせずに解除できる」転貸
「転貸とは、賃借人が賃借物の占有を第三者に移転し、使用収益させることをいう」
転貸借と原賃貸借の終了(613条)
★★ 頻出・3年出題:令和8年・令和2年・平成29年
【条文】
613条1項 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。
613条3項 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。
転貸借の基礎
「転貸借は、原賃貸借を基礎とする」原賃貸借の解除と転借人
「承諾のある適法な転貸でも、賃借人の債務不履行を理由に原賃貸借が解除されたときは、転借人は転借権を賃貸人に対抗できない」通知・催告の要否
「賃貸人は、債務不履行解除にあたり、転借人に通知や催告をする必要はない」転貸借の終了
「転貸借は、賃貸人が転借人に明渡しを請求した時に、転貸人の債務が履行不能となり終了する」承諾のない転貸借
「承諾のない転貸借は、転貸人と転借人の間では有効だが、賃貸人に対抗できない」
賃貸人たる地位の移転(605条の2)
★ 複数年・2年出題:令和5年・令和3年
【条文】
605条の2第1項 賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
605条の2第3項 賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権の移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
賃貸人たる地位の移転
「賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要せず、譲受人に当然に移転する」
借地の存続期間と更新(借地借家法3条〜6条・9条)
出題:令和5年
【条文】
借地借家法3条 借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
借地借家法5条1項 借地権の存続期間が満了する場合において、契約の更新がないときは、借地権者が契約の更新を請求したときに限り、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
借地借家法6条 前条の異議は、借地権設定者及び借地権者が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過及び土地の利用状況並びに借地権設定者が土地の明渡しの条件として又は土地の明渡しと引換えに財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、述べることができない。
借地借家法9条 3条から8条までの規定に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする。
借地の存続期間
「契約で定めた期間が30年未満のときは、借地権者に不利な特約として無効となり、法定の30年になる」正当の事由
「正当の事由は、双方の土地使用の必要性を中心に判断し、立退料はその補完要素にすぎない」
必要費の償還(608条)
出題:令和7年
【条文】
608条1項 賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
必要費
「必要費とは、賃借物を使用収益に適する状態に保存するために必要な費用をいう」
敷金(622条の2)
出題:令和2年
【条文】
622条の2第1項 賃貸人は、敷金を受け取っている場合において、①賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき、②賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき、は、賃借人に対し、受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
295条1項 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
敷金と明渡し
「賃借人の明渡債務が先履行であり、敷金返還債務とは同時履行の関係に立たない」敷金と留置権
「敷金返還請求権は、賃借物に関して生じた債権とはいえず、留置権も成立しない」
請負
完成建物の所有権の帰属
出題:令和8年
【条文】
632条 請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
633条 報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。ただし、物の引渡しを要しないときは、624条1項を準用する。
(参考) 完成建物の所有権が誰に帰属するかは、条文に定めがなく、判例・学説で決まっている。
材料の主要部分
「請負人が材料の主要部分を提供したときは、特約がない限り、完成した建物の所有権は請負人に原始的に帰属する」引渡しによる移転
「引渡しによって、注文者に所有権が移転する」注文者の材料
「注文者が材料を提供したときは、注文者に帰属する」黙示の特約
「注文者が報酬の大部分を支払っているときは、完成前から注文者に帰属させる黙示の特約があると解される」
年度をまたいで頻出する、条文にない文言
分野をまたいで使う言い回しを、出題年度の多い順に並べます。平成29年度から令和8年度までの10年分を、分野別の論点をもとに数えた私見です。
7年で出題
所有権に基づく妨害排除請求
「所有権に基づく妨害排除請求(建物収去土地明渡請求・抹消登記請求・移転登記請求)」 令和8・7・5・3・2・元、平成29(物権・総則・賃貸借)
6年で出題
第三者
「第三者とは、当事者及び包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者」「新たに独立の法律上の利害関係を有するに至った者」 令和8・6・3・元、平成30・29(総則・物権)
5年で出題
信頼関係の破壊
「賃貸借は継続的契約であり、当事者の信頼関係を基礎とする」「信頼関係を破壊するに足りない特段の事情」 令和8・4・3、平成30・29(賃貸借・債権)対抗関係
「対抗関係として、登記の先後で決する」 令和3・2・元、平成30・29(物権・総則)
4年で出題
背信的悪意者
「背信的悪意者とは、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事情のある者」 令和3・元、平成30・29(物権)相当の期間
「相当の期間とは、債務者が履行の準備をして履行するのに必要な期間」 令和4・3・元、平成29(債権)
3年で出題
正当な理由
「正当な理由とは、代理権があると信ずることについて、善意無過失であること」 令和5・2、平成29(総則)取引の安全・法的安定性
「取引の安全」「法的安定性」「相手方の信頼の保護」 令和8・4、平成29(総則)特約・別段の合意
「特約がない場合は〜」「別段の合意とは〜」 令和8・6・5(請負・共有・借地)転貸借の基礎
「転貸借は、原賃貸借を基礎とする」 令和8・2、平成29(賃貸借)絶対的構成・相対的構成
「絶対的構成」「相対的構成」(善意の第三者が現れた後の転得者) 令和8・3、平成30(総則・物権)
2年で出題
類推適用
「〜の趣旨を類推適用する」 令和5・4(総則)到達
「到達とは、相手方が了知できる状態に置かれたこと」 令和7・4(債権・総則)重大な過失
「重大な過失とは、通常人に期待される注意を著しく欠くこと」 令和4、平成30(総則)賃貸人たる地位の移転
「賃貸人たる地位は、賃借人の承諾なく、譲受人に当然に移転する」 令和5・3(賃貸借)援用と原始取得
「時効の完成には援用が必要であり、援用により原始取得する」 令和元、平成29(物権)
おわりに
条文の文言は、問題用紙に書いてあります。覚えるのは、条文を使えるようにする言い回しだけです。分野別の見出しから、論点ごとに使う言い回しを確認してください。

1992年生まれ。3人目の育休中。
初めて不動産投資をするときにつまづくことが多く、当時知りたかったことをまとめています。最近は不動産鑑定士の勉強についての記事ばかりです。ドメイン分ければ良かったか・・・。

