アイキャッチ画像はGeminiです。
問題はコチラ
答案構成の3つのパターン
パターン1(要件充足型)
条文の要件に事実を当てはめれば一発で結論が出る。対立する原則はない。
→【問題提起】【規範】【あてはめ】【結論】の1段構成。
パターン2(原則・例外型)
一般原則を適用すると通常の結論になるところ、特殊事情によってその結論が覆る・制限される。
→「1.原則論」「2.論点・例外」の2段構成。もっとも・しかしで転換する。
パターン3(論点先行・積み上げ型)
対立する原則はないが、複数の論点を順番にクリアしないと結論に届かない。
→【問題提起】【規範】【あてはめ】を、次にで繋ぎながら必要な数だけ繰り返す。
問題1 保佐人の同意を得ない処分行為と虚偽表示
(1) 保佐人の同意を得ない処分行為と詐術(パターン2)
- 13条1項3号(要約)不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為は保佐人の同意を要する
- 13条4項(要約)同意を得ずにした行為は取り消すことができる
- 21条(要約)制限行為能力者が行為能力者であると信じさせるため詐術を用いたときは取り消すことができない
1.原則論
【規範】不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為は保佐人の同意を得なければならず、これを得ずにした行為は取り消すことができる(13条1項3号・4項)。
【あてはめ】甲土地の売却はこれにあたり、Aは保佐人Bの同意を得ずにCと契約している。
【結論】したがって、Bはこの行為を取り消すことができるのが原則である。
2.論点・例外
【問題提起】もっとも、Aは契約締結時にCの疑問に対し積極的に弁解しており、これが詐術にあたり取消しができなくなるのではないかが問題となる。
【規範】この点、制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、取り消すことができない(21条)。単に自らが制限行為能力者であることを黙秘していたにとどまる場合は、原則として詐術にあたらない。もっとも、黙秘に他の言動が相まって相手方を信じ込ませ、又はその思い込みを強めたと評価できる場合には、例外的に詐術にあたると解する。
【あてはめ】本件では、Aは単に黙っていたのではなく、Cが自ら疑問を呈したにもかかわらず、あえて理由を述べてCを納得させ、それ以上の確認を断念させている。これは単なる沈黙を超える積極的な言動である以上、Cを信じ込ませたと評価できる。
【全体の結論】よって、Aの言動は詐術にあたり、Bは取消しを主張することができない。
(補足:ClaudeとTACの解答は詐術と認められ、GeminiとLECの解答は詐術と認められないパターンでした。)
(2)① 通謀虚偽表示と転得者の善意(F悪意→G善意)(パターン2)
- 94条1項(要約)相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効とする
- 94条2項(要約)前項の無効は善意の第三者に対抗することができない
1.原則論
【規範】相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効であるが、この無効は善意の第三者に対抗できない(94条1項・2項)。「第三者」には転得者も含まれる。
【あてはめ】D・E間の売買は通謀虚偽表示により無効であり、F・Gも「第三者」にあたりうる。
【結論】したがって、Dは善意の第三者に無効を対抗できないのが原則である。
2.論点・例外
【問題提起】もっとも、本件はF(悪意)→G(善意)と転得者が複数介在しており、この場合の善意・悪意の判断基準が問題となる。
【規範】この点、転得者ごとに個別に善意・悪意を判断すると、悪意者を介在させることで法律関係が容易に覆り、法的安定性を害する。そうだとすれば、いったん善意の第三者が現れて確定的に権利を取得すれば、以後の転得者の主観にかかわらず、その権利取得は維持されると解する。
【あてはめ】本件では、Gが善意である以上、Gにおいて確定的に乙土地の所有権を取得する。
【全体の結論】よって、Dは無効をGに対抗できず、Dの請求は認められない。
(2)② 通謀虚偽表示と転得者の善意(F善意→G悪意)(パターン1)
- 94条2項(要約)前項の無効は善意の第三者に対抗することができない
【問題提起】本問ではF(善意)→G(悪意)の順であり、①で示した判断基準の下でDの請求が認められるかが問題となる。
【規範】いったん善意の第三者が現れて確定的に権利を取得すれば、以後の転得者の主観にかかわらず、その権利取得は維持される(94条2項)。
【あてはめ】Fが善意である以上、Fにおいて確定的に乙土地の所有権を取得する。Gはその地位を承継するにすぎず、Gの悪意は既に確定した権利取得を覆すものではない。
【結論】よって、Gが悪意であっても、Dの請求は認められない。
問題2 無断転貸による解除・明渡請求と請負契約における所有権の帰属
(1)① 無断転貸と原賃貸借契約の解除(パターン2)
- 612条1項(要約)賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借物を転貸することができない
- 612条2項(要約)これに違反して第三者に使用収益をさせたときは、賃貸人は契約を解除することができる
1.原則論
【規範】賃借人は賃貸人の承諾を得なければ賃借物を転貸することができず、これに違反して第三者に使用収益をさせたときは、賃貸人は契約を解除することができる(612条1項・2項)。
【あてはめ】BはAに無断でCに甲建物を転貸しており、文言上は解除原因にあたる。
【結論】原則として、Aは解除することができる。
2.論点・例外
【問題提起】しかし、賃貸借は当事者間の信頼関係を基礎とする継続的契約であり、これを破壊するとまでいえない事情がある場合にも一律に解除を認めてよいかが問題となる。
【規範】この点、612条の趣旨は賃貸人・賃借人間の信頼関係の維持にある。そうだとすれば、①転貸の必要性・合理性、②転借人の使用態様、③賃貸人の被る不利益の程度等を総合考慮し、信頼関係を破壊するとまでいえない事情がある場合には、解除は制限されると解する。
【あてはめ】本件では、Bの転貸は勤務先の都合による急な遠隔地転勤というやむを得ない事情によるもので必要性が高く、転借人Cも素性の明らかな同僚であり、Aに具体的不利益が生じた事情もうかがわれないという事情に照らせば、信頼関係を破壊するとまではいえない。
【全体の結論】よって、Aは612条2項による解除をすることができない。
(1)② 解除後の転借人に対する明渡請求(パターン2)
- 明文の規定はないが、所有権者はその権能の一内容として、占有権原のない占有者に対し所有権に基づく返還請求権を有すると解されている
- 612条2項(要約)賃貸人は無断転貸を理由に契約を解除することができる
1.原則論
【規範】所有権者は、法律上の占有権原を有しない者に対し、所有権に基づく返還請求権によりその返還を求めることができる。
【あてはめ】Aは甲建物の所有者であり、Cは甲建物を占有している。
【結論】Cが占有権原を有しない限り、Aは所有権に基づき返還を求めうるのが原則である。
2.論点・例外
【問題提起】もっとも、CはBとの転貸借契約に基づき甲建物を占有しており、これがAに対する占有権原となるのではないかが問題となる。
【規範】この点、転貸借は原賃貸借を基礎として成立するものである。そうだとすれば、原賃貸借が612条2項により適法に解除されて終了すれば、転貸借もその存立の基礎を失い、転借人は賃貸人に対して自己の占有権原を対抗することができなくなると解する。
【あてはめ】本件では、AがBとの原賃貸借契約を解除できる以上、B・C間の転貸借契約もその基礎を失う。CはAとの間に直接の契約関係を有しない以上、Bとの転貸借契約上の権利をもってAに対抗することはできない。
【全体の結論】よって、Cは占有権原を有しないこととなり、Aは所有権に基づき、Cに対して甲建物の明渡しを請求することができる。
(2) 請負契約における完成物の所有権の帰属(パターン3)
- 明文の規定はないが、契約に特約がない場合、材料の全部又は主要部分を提供した者が完成物の所有権を原始的に取得すると解されている
- 533条(要約)双務契約の当事者は、相手方が債務の履行を提供するまで自己の債務の履行を拒むことができる
【問題提起①】まず、丙建物の所有権が完成時に誰に帰属するかが問題となる。
【規範①】この点、契約に所有権帰属の特約がなく、材料を請負人が提供した場合、完成物の所有権は完成時にいったん請負人に帰属し、引渡しによって注文者に移転すると解する。
【あてはめ①】本件では、契約に所有権帰属の特約はなく、材料はEが提供している以上、丙建物の所有権は完成時にいったんEに帰属する。
【小結論①】したがって、丙建物の所有権はいったんEに帰属する。
次に、丙建物が未だFに引き渡されていない場合、所有権が既にFに移転したといえるかを検討する。
【問題提起②】Eが報酬未払を理由に引渡しを拒んでいることが、所有権移転の有無にどう影響するかが問題となる。
【規範②】報酬支払債務と目的物引渡債務とが対価関係に立つ双務契約においては、相手方が自己の債務の履行を提供するまで、自己の債務の履行を拒むことができる(533条)。
【あてはめ②】本件では、本件請負契約は報酬をFが引渡し時に支払う旨定めており、報酬支払と引渡しは対価関係に立つ。Fは報酬を実際には支払っておらず、Eはこれを理由に同時履行の抗弁権により引渡しを拒める以上、引渡しは未だ行われていない。
【全体の結論】以上より、丙建物の所有権は引渡しによって初めてFに移転するところ、本件では未だ引渡しがされていない以上、丙建物の所有権はなお請負人Eに帰属している。

1992年生まれ。3人目の育休中。
初めて不動産投資をするときにつまづくことが多く、当時知りたかったことをまとめています。最近は不動産鑑定士の勉強についての記事ばかりです。ドメイン分ければ良かったか・・・。


