「継続賃料を求める鑑定評価の手法」の過去問・予想問題

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過去問

昭和61年 差額配分法における適正な実質賃料・支払賃料と賃貸人等に帰属する部分の判定参考(平成28年より前の出題)

不動産鑑定評価基準には、差額配分法について、「対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料と、実際実質賃料又は実際支払賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち賃貸人等に帰属する部分を適正に判定して得た額を実際実質賃料又は実際支払賃料に加減して試算賃料を求める手法である」と規定されている。この場合、「対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料」とはどのような賃料をいうのか説明しなさい。また、「賃貸人等に帰属する部分」の判定に当たって勘案すべき事項についても簡潔に述べなさい。(一部改題)

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  • 「対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料」とは、価格時点において想定される新規賃料であり、積算法、賃貸事例比較法等により求める(総論第7章第2節Ⅲ1(2)①)。
  • 「対象不動産の経済価値に即応した適正な支払賃料」とは、契約に当たって一時金が授受されている場合については、実質賃料から権利金、敷金、保証金等の一時金の運用益及び償却額を控除することにより求めるものである(総論第7章第2節Ⅲ1(2)①)。
  • 実質賃料・支払賃料の意義
    • 実質賃料とは、賃料の種類の如何を問わず賃貸人等に支払われる賃料の算定の期間に対応する適正なすべての経済的対価をいい、純賃料及び必要諸経費等から成り立つ(総論第7章第2節Ⅰ1)。
    • 支払賃料とは、各支払時期に支払われる賃料をいい、一時金が授受される場合は、実質賃料から前払的性格を有する一時金の運用益及び償却額並びに預り金的性格を有する一時金の運用益を控除して求める(総論第7章第2節Ⅰ2)。
  • 「賃貸人等に帰属する部分」の判定は、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、一般的要因の分析及び地域要因の分析により差額発生の要因を広域的に分析し、さらに対象不動産について契約内容及び契約締結の経緯等に関する分析を行うことにより、適切に判断する(総論第7章第2節Ⅲ1(2)②)。
  • 勘案すべき事項(継続賃料固有の価格形成要因)
    • 近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の推移及びその改定の程度
    • 土地価格の推移
    • 公租公課の推移
    • 契約の内容及びそれに関する経緯
    • 賃貸人等又は賃借人等の近隣地域の発展に対する寄与度
    • 継続賃料固有の価格形成要因は、直近合意時点から価格時点までの期間における要因が中心となる(各論第2章第1節Ⅱ1)。
    • 建物及びその敷地の場合は、「土地価格の推移」を「土地及び建物価格の推移」と読み替える(各論第2章第2節Ⅱ)。
  • ※ 一般的要因・地域要因の分析で差額発生の要因を広域的に分析するのは、差額が市場全体の変動によるものか、当事者間の個別事情によるものかを見極めるためと整理できる。
  • ※ 各論第2章第1節Ⅱ2の(6)から(9)(新規賃料と現行賃料の乖離の程度、契約の内容及び経緯、経過期間、賃料改定の経緯)も、帰属部分の判断で重視される事項として整理できる。

昭和63年 基礎価格の意義とこれを求める必要性参考(平成28年より前の出題)

「基礎価格」とは何か説明しなさい。また何故このような価格を求める必要があるか、述べなさい。

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  • 基礎価格とは、積算賃料を求めるための基礎となる価格をいい、原価法及び取引事例比較法により求める(総論第7章第2節Ⅱ1(2)①)。
  • 積算法は、価格時点における基礎価格に期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料(積算賃料)を求める手法であり、基礎価格、期待利回り及び必要諸経費等の把握を的確に行い得る場合に有効である(総論第7章第2節Ⅱ1(1))。
  • 継続賃料を求める利回り法でも、基礎価格及び必要諸経費等の求め方は積算法に準ずる(総論第7章第2節Ⅲ2(2)①)。
  • 求める基礎価格の内容(留意事項Ⅴ2(1))
    • 宅地の賃料(いわゆる地代)を求める場合は、最有効使用が可能な場合は更地の経済価値に即応した価格である。建物の所有を目的とする賃貸借等の場合で契約により敷地の最有効使用が見込めないときは、当該契約条件を前提とする建付地としての経済価値に即応した価格である。
    • 建物及びその敷地の賃料(いわゆる家賃)を求める場合は、建物及びその敷地の現状に基づく利用を前提として成り立つ当該建物及びその敷地の経済価値に即応した価格である。
    • 宅地の新規賃料では、賃貸人等の事情によって使用方法が制約され最有効使用の状態を確保できない場合に、最有効使用が制約されている程度に応じた経済価値の減分を考慮して求める(留意事項Ⅸ1(1))。
  • 宅地の限定賃料では、隣接宅地の併合使用又は宅地の一部の分割使用をする当該宅地の限定価格を基礎価格として積算賃料を求める(各論第2章第1節Ⅰ3)。
  • 不動産の経済価値は、交換の対価である価格として表示されるとともに、用益の対価である賃料として表示され、価格と賃料との間には、いわゆる元本と果実との間に認められる相関関係がある(総論第1章第2節(1))。
  • ※ 積算法や利回り法は、元本たる価格(基礎価格)に利回りを乗じて果実たる賃料を求める手法であり、基礎価格が試算賃料の出発点となる。したがって、賃料の種類や契約条件に応じた対象不動産の経済価値に即応して基礎価格を的確に求める必要がある。

平成4年 差額配分法参考(平成28年より前の出題)

継続賃料を求める鑑定評価の手法の一つである差額配分法について説明しなさい。

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  • 継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいう(総論第5章第3節Ⅱ3)。
  • 継続賃料の鑑定評価額は、現行賃料を前提として、直近合意時点以降における公租公課、土地及び建物価格、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の変動等のほか、賃貸借等の契約の経緯、賃料改定の経緯及び契約内容を総合的に勘案し、契約当事者間の公平に留意の上決定する(総論第7章第2節Ⅰ4)。
  • 意義
    • 差額配分法は、対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料と実際実質賃料又は実際支払賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち賃貸人等に帰属する部分を適切に判定して得た額を実際実質賃料又は実際支払賃料に加減して試算賃料を求める手法である(総論第7章第2節Ⅲ1(1))。
  • 適用方法(総論第7章第2節Ⅲ1(2))
    • 対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料は、価格時点において想定される新規賃料であり、積算法、賃貸事例比較法等により求める。
    • 適正な支払賃料は、一時金が授受されている場合、実質賃料から権利金、敷金、保証金等の一時金の運用益及び償却額を控除して求める。
    • 賃貸人等に帰属する部分は、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、一般的要因の分析及び地域要因の分析により差額発生の要因を広域的に分析し、さらに契約内容及び契約締結の経緯等に関する分析を行うことにより適切に判断する。
  • 継続中の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価額は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する(各論第2章第1節Ⅱ2)。この場合、直近合意時点から価格時点までの期間を中心に、直近合意時点及び価格時点における新規賃料と現行賃料の乖離の程度等を総合的に勘案する(同(6))。
  • ※ 試算賃料は、「実際実質賃料(又は実際支払賃料)+(又は-)差額×賃貸人等に帰属する割合」と整理できる。
  • ※ 新規賃料と現行賃料との乖離(差額)に着目し、その差額を当事者間で配分する考え方に立つ手法である。

平成10年 賃料の種類・継続賃料の手法・実質賃料と支払賃料参考(平成28年より前の出題)

賃料について、以下の設問に答えなさい。

(1) 不動産鑑定評価基準では、賃料の種類として、正常賃料・限定賃料、新規賃料・継続賃料が挙げられていますが、それぞれについて簡潔に説明しなさい。

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  • 鑑定評価によって求める賃料は、一般的には正常賃料又は継続賃料であるが、鑑定評価の依頼目的に対応した条件により限定賃料を求めることができる場合があるので、依頼目的に対応した条件を踏まえて適切に判断し、明確にすべきである(総論第5章第3節Ⅱ)。
  • 正常賃料とは、正常価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等(賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料(新規賃料)をいう(総論第5章第3節Ⅱ1)。
  • 限定賃料とは、限定価格と同一の市場概念の下において新たな賃貸借等の契約において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料(新規賃料)をいう(総論第5章第3節Ⅱ2)。
    • 限定賃料を求めることができる場合は、隣接不動産の併合使用を前提とする賃貸借等に関連する場合、経済合理性に反する不動産の分割使用を前提とする賃貸借等に関連する場合である。
  • 新規賃料とは、新たな賃貸借等の契約において成立するであろう賃料であり、正常賃料及び限定賃料がこれにあたる(総論第5章第3節Ⅱ1・2)。
  • 継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいう(総論第5章第3節Ⅱ3)。
  • ※ 正常賃料と限定賃料の違いは、前提となる市場概念が正常価格と同一か、限定価格と同一かにある。新規賃料と継続賃料の違いは、新たな契約において成立する賃料か、賃貸借等の継続に係る特定の当事者間で成立する賃料かにある。

(2) 継続賃料における手法としては、差額配分法、利回り法、スライド法及び賃貸事例比較法がありますが、これら4つの手法のうち、利回り法及び賃貸事例比較法について簡潔に説明するとともに、契約上の条件又は、使用目的の変更のない場合における継続賃料を算定するに当たって、これら4つの手法により求めた試算賃料をどのように用いるか述べなさい。

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  • 利回り法(総論第7章第2節Ⅲ2)
    • 基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である。
    • 基礎価格及び必要諸経費等の求め方は、積算法に準ずる。
    • 継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、期待利回り、契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り、基礎価格の変動の程度、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回りを総合的に比較考量して求める。
  • 賃貸事例比較法(総論第7章第2節Ⅲ4・Ⅱ2)
    • 新規賃料に係る賃貸事例比較法に準じて試算賃料を求める手法である。試算賃料を求めるに当たっては、継続賃料固有の価格形成要因の比較を適切に行うことに留意する。
    • 新規賃料に係る賃貸事例比較法は、多数の新規の賃貸借等の事例を収集して適切な事例を選択し、これらに係る実際実質賃料(実際に支払われている不動産に係るすべての経済的対価)に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた賃料を比較考量し、対象不動産の試算賃料(比準賃料)を求める手法である。
  • 試算賃料の用い方
    • 契約上の条件又は使用目的の変更のない場合に実際支払賃料を改定するときの鑑定評価額は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する(各論第2章第1節Ⅱ2)。
    • 決定に当たっては、直近合意時点から価格時点までの期間を中心に、同Ⅱ2(1)から(9)に掲げる事項(賃料等の推移、土地価格の推移、純賃料の推移、利回りの推移、公租公課の推移、新規賃料と現行賃料の乖離の程度、契約の内容及び経緯、経過期間、賃料改定の経緯)を総合的に勘案する。
    • 建物及びその敷地の場合も、宅地の継続賃料を求める場合に準ずる(各論第2章第2節Ⅱ)。
    • 複数の手法による各試算賃料について、再吟味及び各試算賃料が有する説得力に係る判断を行い、鑑定評価額の決定に導く(総論第8章第8節)。
    • なお、契約上の条件又は使用目的が変更される場合は、上記を想定した賃料に、経済価値の増分のうち適切な部分に即応する賃料を加算して決定する(各論第2章第1節Ⅱ3)。※ 本問は変更のない場合であるため、この加算は問題とならない。

(3) 実質賃料と支払賃料を説明するとともに、支払賃料の求め方について述べなさい。

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  • 実質賃料とは、賃料の種類の如何を問わず賃貸人等に支払われる賃料の算定の期間に対応する適正なすべての経済的対価をいい、純賃料及び不動産の賃貸借等を継続するために通常必要とされる諸経費等(必要諸経費等)から成り立つ(総論第7章第2節Ⅰ1)。
  • 支払賃料とは、各支払時期に支払われる賃料をいい、契約に当たって権利金、敷金、保証金等の一時金が授受される場合は、当該一時金の運用益及び償却額と併せて実質賃料を構成する(総論第7章第2節Ⅰ1)。
  • 賃料の鑑定評価は、実質賃料を求めることを原則とし、支払賃料を求めることを依頼された場合には、実質賃料とともにその一部である支払賃料を求める(総論第7章第2節Ⅰ柱書)。
  • 支払賃料の求め方(総論第7章第2節Ⅰ2)
    • 一時金が授受される場合の支払賃料は、実質賃料から、賃料の前払的性格を有する一時金の運用益及び償却額並びに預り金的性格を有する一時金の運用益を控除して求める。
    • 前払的性格を有する一時金の運用益及び償却額は、対象不動産の賃貸借等の持続する期間の効用の変化等に着目し、実態に応じて適切に求める。
    • 運用利回りは、一時金の性格、賃貸借等の契約内容並びに対象不動産の種類及び性格等の相違に応じて、期待利回り、不動産の取引利回り、長期預金の金利、国債及び公社債利回り、金融機関の貸出金利等を比較考量して決定する。
  • 付加使用料、共益費等の名目で支払われるものにも、実質的に賃料に相当する部分が含まれている場合があることに留意する(総論第7章第2節Ⅰ1)。
  • ※ 算式は「支払賃料=実質賃料-(前払的性格を有する一時金の運用益及び償却額+預り金的性格を有する一時金の運用益)」と整理できる。

平成13年 宅地の新規賃料と建物及びその敷地の継続賃料参考(平成28年より前の出題)

賃料の鑑定評価について次の問に答えなさい。

(1) 宅地の新規賃料(正常賃料)を求める手法について説明しなさい。

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  • 宅地の正常賃料を求める場合は、賃貸借等の契約内容による使用方法に基づく宅地の経済価値に即応する適正な賃料を求める(各論第2章第1節Ⅰ2)。
  • 宅地の正常賃料の鑑定評価額は、積算賃料、比準賃料及び配分法に準ずる方法に基づく比準賃料を関連づけて決定する。純収益を適切に求めることができるときは収益賃料を比較考量し、建物及びその敷地に係る賃貸事業に基づく純収益を適切に求めることができるときは、賃貸事業分析法で得た宅地の試算賃料も比較考量して決定する(各論第2章第1節Ⅰ2)。
  • 積算法(総論第7章第2節Ⅱ1)
    • 価格時点における基礎価格に期待利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料(積算賃料)を求める手法である。
    • 基礎価格は原価法及び取引事例比較法により求める。期待利回りは、賃貸借等に供する不動産を取得するために要した資本に相当する額に対して期待される純収益のその資本相当額に対する割合をいう。
    • 必要諸経費等には、減価償却費(償却前の純収益に対応する期待利回りを用いる場合は計上しない。)、維持管理費、公租公課、損害保険料、貸倒れ準備費、空室等による損失相当額がある。
  • 賃貸事例比較法(総論第7章第2節Ⅱ2)
    • 多数の新規の賃貸借等の事例を収集して適切な事例を選択し、実際実質賃料に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求めた賃料を比較考量し、試算賃料(比準賃料)を求める。事例は賃貸借等の契約の内容について類似性を有するものを選択する。
  • 収益分析法(総論第7章第2節Ⅱ3)
    • 一般の企業経営に基づく総収益を分析して対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益(収益純賃料)を求め、これに必要諸経費等を加算して試算賃料(収益賃料)を求める手法である。
  • 宅地の新規賃料に関する留意事項
    • 積算賃料の基礎価格は、最有効使用が可能な場合は更地の経済価値に即応した価格であり、契約により敷地の最有効使用が見込めないときは建付地としての価格である(留意事項Ⅴ2(1)①)。賃貸人等の事情で最有効使用が制約される場合は、その程度に応じた経済価値の減分を考慮する(留意事項Ⅸ1(1))。
    • 期待利回りの判定に当たっては、地価水準の変動に対する賃料の遅行性及び地価との相関関係の程度を考慮する(留意事項Ⅸ1(1))。
    • 比準賃料は、価格時点に近い時点に新規に締結された賃貸借等の事例から比準し、立地条件その他の賃料の価格形成要因が類似するものでなければならない(留意事項Ⅸ1(2))。
    • 配分法に準ずる方法に基づく比準賃料は、宅地を含む複合不動産の賃貸借等の事例に係る実際実質賃料から宅地以外の部分に対応する実際実質賃料相当額を控除する等により求める(留意事項Ⅸ1(3))。
    • 賃貸事業分析法は、新たに締結される土地の賃貸借等の契約内容に基づく予定建物を前提として土地に帰属する純収益を求める(留意事項Ⅸ1(4))。

(2) 「建物及びその敷地」の継続賃料を求める手法について、純賃料との関係を明らかにしながら説明しなさい。

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  • 建物及びその敷地の継続賃料を求める鑑定評価は、宅地の継続賃料を求める場合に準ずる。この場合、「土地価格の推移」を「土地及び建物価格の推移」と、「底地に対する利回りの推移」を「建物及びその敷地に対する利回り」と読み替える(各論第2章第2節Ⅱ)。
  • 鑑定評価額は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する(各論第2章第1節Ⅱ2)。
  • 実質賃料は、純賃料及び必要諸経費等から成り立つ(総論第7章第2節Ⅰ1)。必要諸経費等には、減価償却費、維持管理費、公租公課、損害保険料、貸倒れ準備費、空室等による損失相当額がある(総論第7章第2節Ⅱ1(2)③)。
  • 各手法と純賃料との関係
    • 利回り法は、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額(純賃料)に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める。継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえて求める(総論第7章第2節Ⅲ2)。
    • スライド法は、直近合意時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に価格時点における必要諸経費等を加算して試算賃料を求める(総論第7章第2節Ⅲ3(1))。
    • 差額配分法は、適正な実質賃料又は支払賃料と実際実質賃料又は実際支払賃料との差額を対象とする(総論第7章第2節Ⅲ1(1))。※ 純賃料と必要諸経費等を含む実質賃料(又は支払賃料)全体で差額を把握しており、純賃料のみを取り出すことは基準に直接の定めがない。
    • 賃貸事例比較法は、実際実質賃料(実際に支払われている不動産に係るすべての経済的対価)から比準して試算賃料を求める(総論第7章第2節Ⅱ2・Ⅲ4)。※ 純賃料と必要諸経費等を区別せず、実質賃料ベースで比較する。
  • 建物及びその敷地の積算賃料等の基礎価格は、建物及びその敷地の現状に基づく利用を前提として成り立つ当該建物及びその敷地の経済価値に即応した価格である(留意事項Ⅴ2(1)②)。
  • ※ 純賃料とは、実質賃料のうち必要諸経費等を除いた、不動産に帰属する純収益に相当する部分と整理できる(基準に独立した定義はない)。

令和5年 スケルトン貸し店舗用ビルの実際支払賃料の改定

継続中の建物及びその敷地(商業地域内のスケルトン貸しの店舗用ビル)の普通借家契約に基づく実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価について、次の各設問に答えなさい。なお、現行賃料は、直近合意時点である新規契約締結時における新規賃料(正常賃料)相当額であるが、直近合意時点以降の、一般経済社会における消費者の賃金上昇と消費の活発化を受け、近隣地域の商業収益が向上したことで、対象不動産の価格時点における新規賃料と現行賃料との間に差額が発生しているものとする。また、契約内容は一般的なもので、特筆すべき契約締結の経緯等は無いものとする。

(1) 本問の鑑定評価額はどのように決定するかを簡潔に述べなさい(ただし、総合的に勘案する事項及び賃料の改定が契約期間の満了に伴う更新を契機とする場合において更新料が支払われるときについての記載は不要である)。

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  • 建物及びその敷地の継続賃料を求める鑑定評価は、宅地の継続賃料を求める場合に準ずる(各論第2章第2節Ⅱ)。
  • 継続中の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価額は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する(各論第2章第1節Ⅱ2)。
  • 継続賃料の鑑定評価額は、現行賃料を前提として、直近合意時点以降の変動等のほか、賃貸借等の契約の経緯、賃料改定の経緯及び契約内容を総合的に勘案し、契約当事者間の公平に留意の上決定する(総論第7章第2節Ⅰ4)。
  • 各試算賃料について再吟味及び説得力に係る判断を行い、鑑定評価額の決定に導く(総論第8章第8節)。
  • 賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の収益性を反映するものとしてその期間の期首となる(総論第5章第2節)。賃料の算定の期間は、建物及びその敷地の賃料にあっては原則として1月を単位とする(総論第7章第2節Ⅰ3)。
  • ※ 本問は現行賃料が直近合意時点の新規賃料相当額であるため、直近合意時点の純賃料や基礎価格を把握しやすく、差額配分法のほか利回り法・スライド法・賃貸事例比較法も適用できると整理できる。

(2) 差額配分法について、次の各問に答えなさい。

① 差額配分法の定義を述べ、当該手法の適用に当たり、賃料差額のうち賃貸人等に帰属する部分はどのように判断するか簡潔に説明しなさい。

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  • 差額配分法とは、対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料と実際実質賃料又は実際支払賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち賃貸人等に帰属する部分を適切に判定して得た額を実際実質賃料又は実際支払賃料に加減して試算賃料を求める手法である(総論第7章第2節Ⅲ1(1))。
  • 賃貸人等に帰属する部分は、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、一般的要因の分析及び地域要因の分析により差額発生の要因を広域的に分析し、さらに対象不動産について契約内容及び契約締結の経緯等に関する分析を行うことにより、適切に判断する(総論第7章第2節Ⅲ1(2)②)。
  • ※ 本問では、新規賃料が現行賃料を上回る増額方向の差額であり、賃金上昇と消費の活発化(一般的要因)及びこれを受けた近隣地域の商業収益の向上(地域要因)の分析から差額の発生要因を把握し、契約内容が一般的で特筆すべき経緯がない点を踏まえて帰属部分を判断すると整理できる。

② 本問の近隣地域の地域要因のうち、一般経済社会における消費者の賃金上昇と消費の活発化とを受け変化したと考えられるものを1つ挙げなさい。その上で、その地域要因の変化に触れつつ、どのように近隣地域の商業収益が向上し差額が発生したと考えられるかを、具体的に説明しなさい(ただし、近隣地域及び地域要因の定義についての記載は不要である)。

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  • 挙げる地域要因は、商業地域の地域要因である「商業背後地及び顧客の質と量」とする(総論第3章第2節Ⅰ2(2))。
  • 消費者の賃金上昇と消費の活発化は、一般的要因のうち経済的要因(「貯蓄、消費、投資及び国際収支の状態」「物価、賃金、雇用及び企業活動の状態」)の変化にあたり(総論第3章第1節Ⅲ1・3)、一般的要因の相関結合によって地域の特性が形成される(総論第3章第2節)。
  • ※ 賃金上昇により商業背後地の顧客の購買力(質)が高まり、消費の活発化により来店客数や購買量(量)が増加する。
  • ※ その結果、近隣地域の店舗の売上高が増加して商業収益が向上し、店舗用ビルに帰属する純収益(賃料負担力)が増加する。これにより価格時点における新規賃料が上昇し、直近合意時点で新規賃料相当であった現行賃料との間に差額が発生したと考えられる(総収益のうち他の要素への配分部分以外は不動産に帰属するという収益配分の原則・総論第4章Ⅶ)。

(3) 利回り法の定義と、利回り法における基礎価格の定義とをそれぞれ述べなさい。また、本問において対象不動産の基礎価格を求める際の留意点を説明しなさい。

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  • 利回り法とは、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である(総論第7章第2節Ⅲ2(1))。
  • 基礎価格とは、積算賃料を求めるための基礎となる価格をいい、原価法及び取引事例比較法により求める(総論第7章第2節Ⅱ1(2)①)。利回り法における基礎価格の求め方は積算法に準ずる(総論第7章第2節Ⅲ2(2)①)。※ 利回り法固有の定義は基準になく、積算法の基礎価格の定義に準じて、利回り法による試算賃料を求めるための基礎となる価格と整理できる。
  • 本問における留意点
    • 建物及びその敷地の賃料であるから、基礎価格は、建物及びその敷地の現状に基づく利用を前提として成り立つ当該建物及びその敷地の経済価値に即応した価格とする(留意事項Ⅴ2(1)②)。
    • スケルトン貸しの店舗用ビルでは、賃貸人は躯体及び一部の建物設備を施工するのみで賃貸し、内装、外装及び建物設備の一部は賃借人が施工することがあるので、基礎価格の判定に当たりこれに留意する(留意事項Ⅸ2は積算賃料の基礎価格について述べており、利回り法は基礎価格の求め方が積算法に準ずる。)。
    • ※ 賃借人が施工した内装等の部分は賃貸人の資産に含めず、賃貸人が施工した躯体及び一部設備に係る建物及びその敷地の価格を基礎価格とする。
    • 継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、基礎価格の変動の程度等を比較考量して求める(総論第7章第2節Ⅲ2(2)②)。※ 直近合意時点と価格時点の基礎価格を同じ前提で把握し、その変動を適切に反映させる。本問は現行賃料が直近合意時点の新規賃料相当額であるため、直近合意時点の純賃料を把握する基準にできる。

予想問題

予想問題1 スライド法

予想度:本命 狙い:本記事の過去問では差額配分法・利回り法・賃貸事例比較法が問われた一方、スライド法は単独で問われていない(未出題の手法)。定義から変動率の求め方、継続賃料固有の価格形成要因まで原文の文言で書かせる形を想定。

継続中の建物及びその敷地の賃貸借契約に基づく実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価について、次の各設問に答えなさい。

(1) スライド法の定義を述べ、試算賃料の求め方を簡潔に説明しなさい。

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  • スライド法とは、直近合意時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に価格時点における必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である(総論第7章第2節Ⅲ3(1))。
  • 必要諸経費等の求め方は、積算法に準ずる(総論第7章第2節Ⅲ3(2)②)。必要諸経費等には、減価償却費、維持管理費、公租公課、損害保険料、貸倒れ準備費、空室等による損失相当額がある(総論第7章第2節Ⅱ1(2)③)。
  • ※ 試算賃料は「直近合意時点における純賃料×変動率+価格時点における必要諸経費等」と整理できる。

(2) スライド法における変動率はどのように求めるか。また、直近合意時点における実際実質賃料又は実際支払賃料に即応する適切な変動率が求められる場合の取扱いを述べなさい。

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  • 変動率は、直近合意時点から価格時点までの間における経済情勢等の変化に即応する変動分を表すものである(総論第7章第2節Ⅲ3(2)①)。
  • 継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、土地及び建物価格の変動、物価変動、所得水準の変動等を示す各種指数や整備された不動産インデックス等を総合的に勘案して求める(総論第7章第2節Ⅲ3(2)①)。
  • 直近合意時点における実際実質賃料又は実際支払賃料に即応する適切な変動率が求められる場合には、当該変動率を乗じて得た額を試算賃料として直接求めることができる(総論第7章第2節Ⅲ3(1)なお書き)。

(3) スライド法の適用に当たり留意すべき継続賃料固有の価格形成要因を挙げなさい。

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  • 継続賃料固有の価格形成要因(各論第2章第1節Ⅱ1)
    • 近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の推移及びその改定の程度
    • 土地価格の推移
    • 公租公課の推移
    • 契約の内容及びそれに関する経緯
    • 賃貸人等又は賃借人等の近隣地域の発展に対する寄与度
  • 継続賃料固有の価格形成要因は、直近合意時点から価格時点までの期間における要因が中心となる(各論第2章第1節Ⅱ1)。
  • 建物及びその敷地の場合は、「土地価格の推移」を「土地及び建物価格の推移」と読み替える(各論第2章第2節Ⅱ)。

予想問題2 契約上の条件又は使用目的の変更に伴う賃料改定と更新料

予想度:有力 狙い:令和5年問題4では「更新料についての記載は不要」とされ、平成10年問題3(2)では「変更のない場合」に限定されていた。その外側の論点(各論第2章第1節Ⅱ3と更新料等)を正面から問う形を想定。

継続中の宅地の賃貸借等の契約に基づく賃料を改定する場合について、次の各設問に答えなさい。

(1) 契約上の条件又は使用目的が変更されることに伴い賃料を改定する場合の鑑定評価の考え方を述べなさい。

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  • 契約上の条件又は使用目的が変更されることに伴い賃料を改定する場合は、契約上の条件又は使用目的の変更に伴う宅地及び地上建物の経済価値の増分のうち適切な部分に即応する賃料を、前記2を想定した場合における賃料に加算して決定する(各論第2章第1節Ⅱ3)。
  • 前記2とは、継続中の宅地の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合であり、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定するものである(各論第2章第1節Ⅱ2)。
  • ※ まず変更がないものとして継続賃料を求め、次に変更に伴う経済価値の増分のうち適切な部分に即応する賃料を加算する二段階で整理できる。

(2) (1)の場合に、総合的に勘案すべき事項を述べなさい。

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  • 前記2(実際支払賃料を改定する場合)に掲げる事項のほか、特に次に掲げる事項を総合的に勘案する(各論第2章第1節Ⅱ3)。
  • 特に勘案する事項
    • 賃貸借等の態様
    • 契約上の条件又は使用目的の変更内容
    • 条件変更承諾料又は増改築承諾料が支払われるときはこれらの額
  • 前記2の事項は、直近合意時点から価格時点までの期間を中心に勘案する(各論第2章第1節Ⅱ2)。
  • ※ 承諾料が支払われる場合は、経済価値の増分の一部が一時金で手当てされている可能性があるため、賃料に加算する額との間で二重に評価しないよう整理する。

(3) 賃料の改定が契約期間の満了に伴う更新又は借地権の第三者への譲渡を契機とする場合において、更新料又は名義書替料が支払われるときの取扱いを述べなさい。

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  • 賃料の改定が契約期間の満了に伴う更新又は借地権の第三者への譲渡を契機とする場合において、更新料又は名義書替料が支払われるときは、これらの額を総合的に勘案して求める(各論第2章第1節Ⅱ2なお書き)。
  • ※ 更新料等は、契約の内容及びそれに関する経緯、賃料改定の経緯の一部として扱い、賃料と更新料等の双方で経済的利益が重複して評価されないよう留意すると整理できる。
  • ※ 建物及びその敷地の場合は、各論第2章第2節Ⅱの準用により同様に整理できる。

予想問題3 賃料下落局面における差額配分法と利回り法

予想度:有力 狙い:令和5年問題4は新規賃料が現行賃料を上回る増額局面だった。結論が反転する下落局面で、差額配分法の「加減」、継続賃料利回りの求め方、総合的勘案事項(令和5年で記載不要とされた部分)を問う形を想定。

継続中の建物及びその敷地(普通借家契約)の実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価について、次の各設問に答えなさい。なお、現行賃料は直近合意時点における新規賃料相当額であるが、その後の景気後退により近隣地域における賃料水準が下落し、価格時点における新規賃料が現行賃料を下回っているものとする。

(1) 差額配分法における賃料差額の把握と、賃貸人等に帰属する部分の判断について述べなさい。

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  • 対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料は、価格時点において想定される新規賃料であり、積算法、賃貸事例比較法等により求める(総論第7章第2節Ⅲ1(2)①)。
  • ※ 本問では適正な実質賃料が実際実質賃料を下回るため、差額は減額方向となる。
  • 差額配分法は、差額のうち賃貸人等に帰属する部分を実際実質賃料又は実際支払賃料に「加減」して試算賃料を求める手法であるから、本問のように差額が減額方向の場合は、帰属する部分を実際賃料から減じて試算賃料を求める(総論第7章第2節Ⅲ1(1))。
  • 賃貸人等に帰属する部分は、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、一般的要因の分析及び地域要因の分析により差額発生の要因を広域的に分析し、さらに契約内容及び契約締結の経緯等に関する分析を行うことにより適切に判断する(総論第7章第2節Ⅲ1(2)②)。
  • ※ 本問では、景気後退に伴う近隣地域の賃料水準の下落要因を一般的要因・地域要因から分析し、契約内容や契約締結の経緯と併せて帰属部分を判断すると整理できる。

(2) 利回り法における継続賃料利回りはどのように求めるか述べなさい。

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  • 利回り法は、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法である(総論第7章第2節Ⅲ2(1))。
  • 継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、期待利回り、契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り、基礎価格の変動の程度、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回りを総合的に比較考量して求める(総論第7章第2節Ⅲ2(2)②)。

(3) 本問において、鑑定評価額の決定に当たり総合的に勘案すべき事項を挙げなさい。

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  • 建物及びその敷地の継続賃料は、宅地の継続賃料を求める場合に準ずる(各論第2章第2節Ⅱ)。
  • 直近合意時点から価格時点までの期間を中心に勘案する事項(各論第2章第1節Ⅱ2)
    • (1) 近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における宅地の賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料、その改定の程度及びそれらの推移
    • (2) 土地価格の推移
    • (3) 賃料に占める純賃料の推移
    • (4) 底地に対する利回りの推移
    • (5) 公租公課の推移
    • (6) 直近合意時点及び価格時点における新規賃料と現行賃料の乖離の程度
    • (7) 契約の内容及びそれに関する経緯
    • (8) 契約上の経過期間及び直近合意時点から価格時点までの経過期間
    • (9) 賃料改定の経緯
  • 建物及びその敷地の場合は、「土地価格の推移」を「土地及び建物価格の推移」と、「底地に対する利回りの推移」を「建物及びその敷地に対する利回り」と読み替える(各論第2章第2節Ⅱ)。

予想問題4 継続賃料の賃貸事例比較法と試算賃料の調整

予想度:やや有力 狙い:平成10年問題3(2)の「試算賃料をどのように用いるか」を、総論第8章第8節の再吟味・説得力の判断まで掘り下げ、賃貸事例比較法の継続賃料固有の比較と組み合わせる形を想定。

継続中の建物及びその敷地の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価について、次の各設問に答えなさい。

(1) 賃貸事例比較法を継続賃料に適用する場合について、新規賃料に係る賃貸事例比較法との関係と、事例の選択・比較上の留意点を述べなさい。

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  • 継続賃料に係る賃貸事例比較法は、新規賃料に係る賃貸事例比較法に準じて試算賃料を求める手法であり、試算賃料を求めるに当たっては、継続賃料固有の価格形成要因の比較を適切に行うことに留意する(総論第7章第2節Ⅲ4)。
  • 新規賃料に係る賃貸事例比較法では、多数の新規の賃貸借等の事例を収集して適切な事例を選択し、実際実質賃料に必要に応じて事情補正及び時点修正を行い、かつ、地域要因の比較及び個別的要因の比較を行って求められた賃料を比較考量し、試算賃料(比準賃料)を求める(総論第7章第2節Ⅱ2(1))。事例は賃貸借等の契約の内容について類似性を有するものを選択する(同(2)①)。
  • 事例の選択(留意事項Ⅴ2(2)①)
    • 新規賃料、継続賃料の別又は建物の用途の別により賃料水準が異なるのが一般的であることに留意して、できる限り対象不動産に類似した事例を選択する。
    • 契約内容の類似性を判断する際は、賃貸形式、賃貸面積、契約期間並びに経過期間及び残存期間、一時金の授受に基づく賃料内容、賃料の算定の期間及びその支払方法、修理及び現状変更に関する事項、賃貸借等に供される範囲及びその使用方法に留意する。
  • 比較(留意事項Ⅴ2(2)②)
    • 賃料を求める場合の地域要因の比較では、賃料固有の価格形成要因が存すること等により、価格を求める場合の地域と賃料を求める場合の地域とで、地域の範囲及び地域の格差を異にすることに留意する。
    • 個別的要因の比較では、契約内容、土地及び建物に関する個別的要因等に留意する。

(2) 差額配分法、利回り法、スライド法及び賃貸事例比較法により求めた試算賃料の調整に当たり、再吟味及び説得力に係る判断で留意すべき事項を述べなさい。

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  • 試算賃料の調整とは、複数の手法により求められた各試算賃料の再吟味及び各試算賃料が有する説得力に係る判断を行い、鑑定評価における最終判断である鑑定評価額の決定に導く作業をいう(総論第8章第8節)。
  • 各試算賃料の再吟味(総論第8章第8節Ⅰ)
    • 資料の選択、検討及び活用の適否
    • 不動産の価格に関する諸原則の当該案件に即応した活用の適否
    • 一般的要因の分析並びに地域分析及び個別分析の適否
    • 各手法の適用において行った各種補正、修正等に係る判断の適否
    • 各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性
    • 単価と総額との関連の適否
  • 各試算賃料が有する説得力に係る判断(総論第8章第8節Ⅱ)
    • 対象不動産に係る地域分析及び個別分析の結果と各手法との適合性
    • 各手法の適用において採用した資料の特性及び限界からくる相対的信頼性
  • 継続中の賃貸借等の契約に基づく実際支払賃料を改定する場合の鑑定評価額は、差額配分法による賃料、利回り法による賃料、スライド法による賃料及び比準賃料を関連づけて決定する(各論第2章第1節Ⅱ2)。
  • 地域分析及び個別分析により把握した対象不動産に係る市場の特性等を適切に反映した複数の鑑定評価の手法を適用すべきである(総論第8章第7節)。

予想問題5 継続賃料の価格時点・直近合意時点と鑑定評価報告書の記載

予想度:変化球 狙い:手法そのものではなく、価格時点(賃料増減請求の基準日)、直近合意時点の位置づけ、鑑定評価報告書への記載という手順・報告書側から継続賃料を問う形を想定。

継続賃料の鑑定評価について、次の各設問に答えなさい。

(1) 継続賃料の価格時点について、借地借家法に基づき賃料の増減が請求される場合の取扱いを述べなさい。

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  • 賃料の価格時点は、賃料の算定の期間の収益性を反映するものとして、その期間の期首となる(総論第5章第2節)。
  • 借地借家法第11条第1項又は第32条第1項に基づき賃料の増減が請求される場合における価格時点は、賃料増減請求に係る賃料改定の基準日となることに留意する(留意事項Ⅲ2(1))。
  • 賃料の算定の期間は、原則として、宅地並びに建物及びその敷地の賃料にあっては1月を単位とし、その他の土地にあっては1年を単位とする(総論第7章第2節Ⅰ3)。
  • ※ 借地借家法第11条第1項は土地の地代等、第32条第1項は建物の借賃についての増減請求を定めている。

(2) 直近合意時点の意義と、継続賃料の鑑定評価における直近合意時点の位置づけを述べなさい。

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  • 直近合意時点とは、契約当事者間で現行賃料を合意しそれを適用した時点をいう(総論第7章第2節Ⅰ4)。
  • 位置づけ
    • 継続賃料の鑑定評価額は、現行賃料を前提として、直近合意時点以降における公租公課、土地及び建物価格、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における賃料又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃料の変動等のほか、賃貸借等の契約の経緯、賃料改定の経緯及び契約内容を総合的に勘案し、契約当事者間の公平に留意の上決定する(総論第7章第2節Ⅰ4)。
    • 継続賃料固有の価格形成要因は、直近合意時点から価格時点までの期間における要因が中心となる(各論第2章第1節Ⅱ1)。実際支払賃料を改定する場合の総合的勘案も、直近合意時点から価格時点までの期間を中心に行う(各論第2章第1節Ⅱ2)。
    • 利回り法の継続賃料利回りは、直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえて求める(総論第7章第2節Ⅲ2(2)②)。
    • スライド法は、直近合意時点における純賃料に変動率を乗じ、その変動率は直近合意時点から価格時点までの間における経済情勢等の変化に即応する変動分を表す(総論第7章第2節Ⅲ3)。

(3) 継続賃料及び支払賃料の鑑定評価額を鑑定評価報告書に記載する場合の留意点を述べなさい。

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  • 継続賃料を求めた場合には、鑑定評価額の決定の理由の要旨のうち「その他」として、直近合意時点について記載しなければならない(総論第9章第2節Ⅶ7)。
  • 支払賃料を求めた場合には、その支払賃料と実質賃料との関連を記載しなければならない(総論第9章第2節Ⅶ7)。
  • 支払賃料の鑑定評価を依頼された場合における鑑定評価額の記載は、支払賃料である旨を付記して支払賃料の額を表示するとともに、当該支払賃料が実質賃料と異なる場合においては、かっこ書きで実質賃料である旨を付記して実質賃料の額を併記する(総論第9章第2節Ⅰ)。
  • 賃貸借契約等に係る権利の態様の確認に当たっては、原則として、契約の目的、契約当事者、契約期間、契約数量、月額支払賃料、一時金の有無とその内容、賃貸条件等に係る特約を確認する(留意事項Ⅵ3(2))。
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