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過去問
平成20年 賃貸経営管理の良否とDCF法の査定項目参考(平成28年より前の出題)
建物及びその敷地に関する個別的要因のうち、賃貸用不動産に関する個別的要因として「賃貸経営管理の良否」があるが、その主なものを例示し、証券化対象不動産の鑑定評価の場合において、収益費用項目をはじめとするDCF法の個別の査定項目との対応関係を具体的に述べなさい。
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- 賃貸経営管理の良否の主なもの(総論第3章第3節Ⅲ)は、①賃借人の状況及び賃貸借契約の内容、②貸室の稼働状況、③躯体・設備・内装等の資産区分及び修繕費用等の負担区分である。
- 証券化対象不動産の収益価格はDCF法を適用して求め(各論第3章第5節)、収益費用項目に区分して記載する(各論第3章第5節Ⅱ(1))。
- 対応関係(※対応づけは原文に直接の記載がない整理)
- ①賃借人の状況及び賃貸借契約の内容 → 貸室賃料収入・共益費収入(契約賃料、改定条件、契約期間・更新の見通し)、貸倒れ損失(賃料滞納の有無・賃借人の属性)、一時金の運用益(預り金的性格を有する保証金等)。※ 主たる賃借人への依存度は割引率・最終還元利回りのリスク判断に影響する(留意事項Ⅱ3(2)は賃借人の属性や主たる賃借人の賃貸面積の割合に留意すべきとする)。
- ②貸室の稼働状況 → 空室等損失(空室や入替期間の発生予測)、貸室賃料収入(満室想定)、テナント募集費用等。賃貸用不動産のDCF法では賃料及び貸室の稼働率の毎期の変動に留意する(総論第7章第1節Ⅳ3(1)②ア(ア))。
- ③資産区分及び修繕費用等の負担区分 → 修繕費・資本的支出・維持管理費・損害保険料(貸主負担か借主負担かで計上の有無・額が変わる)。※ 大規模修繕費等は発生時期に留意する(総論第7章第1節Ⅳ3(1)②イ)。
- ※ 管理の質(総論第3章第3節Ⅲの「修繕計画・管理計画の良否とその実施の状態」を含む)は、維持管理費、修繕費、プロパティマネジメントフィーの水準に反映される。
- 依頼者から入手する資料(積算内訳等)と収益費用項目の対応関係を示して、資料の正確性の向上に配慮する(留意事項Ⅹ4(1))。
平成20年 建築中の共同住宅(独身寮)の鑑定評価参考(平成28年より前の出題)
不動産鑑定士Aは、B社から証券化対象不動産としての鑑定評価の依頼を受けた。当該鑑定評価に関して次の問に答えなさい。
※依頼概要
B社は、自社所有地に共同住宅を建築中であり、依頼日現在、竣工直前の段階にある。B社は、当該共同住宅(建物及びその敷地から構成される複合不動産)の価格に関する鑑定評価を希望している。なお、建物竣工後、B社は、対象不動産を大手食品会社C社に独身寮として一括賃貸した上で対象不動産を証券化する予定であり、既にC社と建物賃貸借契約(賃貸借契約期間は建物竣工後5年間)を締結している。
(1) 対象不動産の確定について簡潔に説明し、建築中の建物は鑑定評価の対象となるか否かについて述べなさい。
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- 対象不動産の確定とは、鑑定評価の対象を他の不動産と明確に区別し特定することであり、物的な確定と、所有権・所有権以外の権利の確定からなる(総論第5章第1節)。
- 依頼目的に応じた対象確定条件を設定する(総論第5章第1節Ⅰ)。条件設定に当たっては、鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかの観点から妥当性を確認する(同Ⅰ2)。
- 建築中の建物は、工事の完了を前提として鑑定評価の対象とする未竣工建物等鑑定評価(総論第5章第1節Ⅰ1(5))として扱う。
- 証券化対象不動産では現実の利用状況と異なる対象確定条件の設定は原則禁止だが、各論第3章第2節の要件を満たす場合に限り未竣工建物等鑑定評価を行うことができる(総論第5章第1節Ⅳ)。
- 要件
- 設計図書等・請負契約書等の収集、法令上必要な許認可等の取得、発注者の資金調達能力等の観点から工事完了の実現性が高いこと(総論第5章第1節Ⅰ2なお書き)。
- 工事の中止、工期の延期又は工事内容の変更が発生した場合に生じる損害が、売買契約上の約定や各種保険等により回避されること(各論第3章第2節)。
- 本件は竣工直前の段階にあり、上記要件を満たせば鑑定評価の対象となる(※要件の充足は事実確認が必要)。
(2) 価格時点について簡潔に説明し、本件ではどの時点に設定すべきか述べなさい。
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- 価格時点とは、不動産の価格の判定の基準日をいう。価格形成要因は時の経過により変動し、価格はその基準日においてのみ妥当するため確定する必要がある。現在時点・過去時点・将来時点に分けられる(総論第5章第2節)。
- 未竣工建物等鑑定評価は、価格時点において工事が完了し使用収益が可能な状態であることを前提とする(留意事項Ⅲ1(2)①ア)。
- 将来時点の鑑定評価は、想定・予測が多く不確実になるため原則として行うべきでない(留意事項Ⅲ2(3))。
- 本件では、竣工直前であっても竣工後を前提とする未竣工建物等鑑定評価により、現在時点(鑑定評価を行う時点)に価格時点を設定する(※竣工日を将来時点とする設定は、特に必要があり妥当性を欠かない場合に限られるため、原則の整理)。
(3) 本件において、貸室賃料収入の把握の際、留意すべき点を述べなさい。
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- 貸室賃料収入は収益費用項目の1つで、満室想定の収入である(各論第3章第5節Ⅱ(1))。
- 賃貸用不動産のDCF法では、賃貸借契約の内容並びに賃料及び貸室の稼働率の毎期の変動に留意する(総論第7章第1節Ⅳ3(1)②ア(ア))。
- 貸家及びその敷地は実際実質賃料に基づく純収益を基礎とし、将来の賃料改定の実現性、残存期間、契約形式等を勘案する(各論第1章第2節Ⅱ1〜7)。
- 本件の留意点(※本件事情への当てはめ)
- 契約期間は竣工後5年間であるため、期間中は契約賃料(実際支払賃料)、期間満了後は更新・再契約・賃料改定の見通しに基づく新規賃料水準で把握する。
- 賃借人が大手食品会社C社の1社のみ(一括賃貸)であるため、賃借人の信用力・事業継続性、解約・賃料減額に関する条項の有無を確認する(留意事項Ⅱ3(2)参照)。
- 一括賃貸の賃料が、独身寮としての貸室ごとの市場賃料水準と乖離していないかを検証する。
- 竣工前であるため、賃貸借契約書で契約の目的・当事者・期間・月額支払賃料・一時金・特約等を確認する(留意事項Ⅵ3(2)参照)。
平成21年 証券化スキームの図示と鑑定評価書の説明責任参考(平成28年より前の出題)
証券化対象不動産の鑑定評価について、次の問に答えなさい。
(1) 証券化しようとする不動産の保有者から、特定目的会社(依頼者)が不動産を取得する場合で、譲渡資産の運用受託者のほか、特定目的会社への資金の貸付けや出資等を行う証券化関係者がいる場合の証券化スキームについて、1例、図を用いて説明しなさい。
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- 証券化関係者は、オリジネーター、アレンジャー、アセットマネジャー、レンダー、エクイティ投資家又は特別目的会社・投資法人・ファンド等をいう(各論第3章第3節Ⅲ(1))。資産の流動化に係る不動産取引は証券化対象不動産に当たる(各論第3章第1節Ⅰ(1))。
- ※図は一例
- 図中の番号
- 1 不動産(信託受益権)の譲渡
- 2 譲渡代金の支払
- 3 エクイティ投資家による出資(優先出資等) ※
- 4 レンダーによる資金の貸付け ※
- 5 資産運用の委託(運用受託者はアセットマネジャー) ※
- ※この図では、SPCが依頼者であり、依頼者がオリジネーター・レンダー・エクイティ投資家等との資本関係・取引関係を有する場合は、その内容を鑑定評価報告書に記載する(各論第3章第3節Ⅲ)。
(2) 証券化対象不動産の鑑定評価書について、依頼者のみならず証券化対象不動産に係る利害関係者その他の者に対しても説明責任を十分に果たすべきとされる意義とその理由について、説明しなさい。
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- 意義(各論第3章第1節Ⅱ(2))
- 鑑定評価書を、依頼者及び利害関係者その他の者がその内容を容易に把握・比較できるものとするため、鑑定評価報告書の記載方法等を工夫し、鑑定評価に活用した資料等を明示できるようにするなど、説明責任が十分に果たされるものとすること。
- 理由
- 証券化対象不動産の鑑定評価は、依頼者のみならず広範な投資家等に重大な影響を及ぼす(各論第3章第1節Ⅱ(1))。
- 不動産鑑定評価制度に対する社会的信頼性の確保について重要な責任を有する(同Ⅱ(1))。
- 関係者が多岐にわたり利害関係が複雑であることも多い(各論第3章第3節Ⅲ)。
- 鑑定評価報告書は依頼者のみならず第三者に対しても影響を及ぼし、鑑定評価額の決定の理由は第三者に対しても十分に説明し得るものとするよう努める(総論第9章第1節)。
- ※投資家は鑑定評価書を通じて投資判断を行うため、記載の透明性が投資家保護に直結する。
平成22年 エンジニアリング・レポートの活用と専門性の高い個別的要因参考(平成28年より前の出題)
証券化対象不動産である中古の賃貸事務所ビル(貸家及びその敷地)の鑑定評価に関連して依頼者より提示を受けたエンジニアリング・レポートについて、次の問に答えなさい。
(1) エンジニアリング・レポートの活用に当たっての留意点を述べなさい。
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- エンジニアリング・レポートは、建築物、設備等及び環境に関する専門的知識を有する者が行った証券化対象不動産の状況に関する調査報告書をいう(各論第3章第3節Ⅰ(3))。
- 依頼者に提出を求め、その内容を分析・判断した上で鑑定評価に活用する(各論第3章第4節Ⅲ(1))。
- 提出がない場合や記載内容が不十分な場合は、不動産鑑定士が調査を行うなど対応し、その内容と適切と判断した理由を鑑定評価報告書に記載する(同Ⅲ(1)ただし書)。例示は、再評価の場合や更地の場合(同Ⅲ(2))。
- 活用するか否かの判断と根拠を報告書に記載する。少なくとも、①基本的属性(作成者、調査日・作成日)、②入手経緯・対応方針等、③専門性の高い個別的要因に関する調査(ER活用か鑑定士の調査かの別)、④鑑定士の判断・根拠を記載する(同Ⅲ(3))。
- 不動産鑑定士が主体的に責任を持って活用の有無を判断し、内容の適切さ・正確さは必要に応じて建築士等他の専門家の意見も踏まえて検証する。形式的に項目を満たしても不十分で、鑑定士の調査が必要な場合もある(留意事項Ⅹ3(2))。
- できる限りエンジニアリング・レポートの全部の提供を受け、作成者から直接説明を受ける機会を求める。委託作成の場合は、作成者(受託者)のほか調査の委託者の名称も記載する(留意事項Ⅹ3(4)(5))。
- エンジニアリング・レポートの項目・内容は必要最小限であり、必要に応じて追加して確認する(留意事項Ⅹ3(3))。
(2) 鑑定評価に必要となる専門性の高い個別的要因に関する調査項目を8つ挙げ、この8つの項目に対応するエンジニアリング・レポートの作成時点が古い場合、鑑定評価に活用するに当たりどのような点に留意すべきかについて述べなさい。
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- 8つの調査項目(各論第3章第4節Ⅲ(3)の表)
- ①公法上及び私法上の規制、制約等(法令遵守状況調査を含む) ②修繕計画 ③再調達価格 ④有害な物質(アスベスト等)に係る建物環境 ⑤土壌汚染 ⑥地震リスク ⑦耐震性 ⑧地下埋設物
- 作成時点が古い場合の留意点
- 報告書には調査が行われた日及び作成された日を記載する(同Ⅲ(3)の表)。
- ※価格時点までの間に変化がないかを確認し、変化があれば更新・補完が必要かを判断する。
- ※項目別の例: ①法令・条例の改正や増改築等による遵守状況の変化 ②実施済み修繕の反映・計画の見直し ③建築費・物価の変動 ④⑤⑧調査後の除去・措置の実施や新たな事実の判明 ⑥⑦基準・想定の見直しや補強工事の実施。
- ※確認方法は、管理者からの聴聞等(各論第3章第4節Ⅰ)、内覧を含む実地調査、必要に応じて最新の資料の追加提出・他の専門家への調査依頼。
- 活用の可否と根拠、ER活用か鑑定士の調査かの別を報告書に記載する(各論第3章第4節Ⅲ(1)ただし書・(3))。
- ※再評価で内覧を省略する場合に「個別的要因に重要な変化がない」ことを要件とする考え方(留意事項Ⅹ3(1))は、参考になる。
平成28年 維持管理の状態とDCF法の収益費用項目
(1) 建物に関する個別的要因の1つである「維持管理の状態」が優れている状態とはどのような状態をいうのか、簡潔に説明しなさい。
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- 維持管理の状態は、建物に関する個別的要因の1つである(総論第3章第3節Ⅱ6)。
- 屋根、外壁、床、内装、電気設備、給排水設備、衛生設備、防災設備等に関する破損・老朽化等の状況及び保全の状態に留意する(留意事項Ⅱ2(1)③)。
- ※優れている状態とは、上記の各部位・設備に破損・老朽化が少なく、点検・修繕等による保全が適切に行われている状態をいう(「優れている」の定義は原文に直接の記載がない)。
(2) 不動産鑑定評価基準各論第3章を適用する鑑定評価において、DCF法の適用に当たって、次の各問に答えなさい。
① 収益費用項目の全体の構成について簡潔に説明し、運営収益及び運営費用の各項目を列挙した上で、収益費用項目に運営純収益を表示する理由について述べなさい。
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- 全体の構成(各論第3章第5節Ⅱ(1)の表)
- 運営収益 − 運営費用 = 運営純収益。運営純収益 + 一時金の運用益 − 資本的支出 = 純収益。
- 運営収益の項目
- 貸室賃料収入、共益費収入、水道光熱費収入、駐車場収入、その他収入、空室等損失、貸倒れ損失(貸室賃料収入・共益費収入・水道光熱費収入は満室想定で、空室等損失・貸倒れ損失は各収入の減少分)。
- 運営費用の項目
- 維持管理費、水道光熱費、修繕費、プロパティマネジメントフィー、テナント募集費用等、公租公課、損害保険料、その他費用。
- 運営純収益を表示する理由
- 収益費用項目を統一して区分記載することで、依頼者及び利害関係者その他の者が内容を容易に把握・比較できるようにする(各論第3章第1節Ⅱ(2)の趣旨)。※
- 純収益は運営純収益に一時金の運用益を加算し資本的支出を控除した額であり、運営純収益を示すことで差額(一時金の運用益・資本的支出)の算出根拠が明確になる(留意事項Ⅹ4(3))。
- 運営純収益と一般の開示書類等のNOIは内訳が異なる場合があり、運営純収益を明示して区別する(留意事項Ⅹ4(2))。
- ※不動産の運営から得られる収益を、一時金や資本的支出(価値を高める支出)と区分して示し、直接還元法による検証にも同じ項目を用いる(留意事項Ⅹ4(4))ため、比較・検証が可能になる。
② (1)の状態にある証券化対象不動産について、(1)の状態が今後も当面は継続すると予測される場合、「維持管理の状態」が標準的な不動産と比較して、見積もる数値が異なると考えられる収益費用項目を3つ挙げて説明しなさい。
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- ※以下の対応は原文に直接の記載がない整理。
- 修繕費: 破損・老朽化が少なく保全が良好なため、経常的な修繕に要する費用(通常の維持管理・原状回復のための支出)が標準より少なく見積もれる。
- 資本的支出: 建物・設備の価値を高め耐久性を増す支出の発生時期が遅く額も小さいと見込める。大規模修繕費等は発生時期に留意する(総論第7章第1節Ⅳ3(1)②イ、留意事項Ⅴ1(4)②ア(イ))。
- 空室等損失: 建物の競争力・快適性が高く、空室や入替期間の発生が標準より少ないと予測できる(併せて貸室賃料収入が標準より高く把握できる場合もある)。
- なお、優れた状態を維持するための維持管理費は標準より高く見込まれる場合もあるため、費用全体で見る。
平成29年 条件設定の制限・未竣工建物等・調査範囲等条件
不動産鑑定評価基準に定められた対象不動産の確定のための条件に関する次の各問に答えなさい。
(1) 証券化対象不動産(不動産鑑定評価基準各論第3章第1節に規定する証券化対象不動産をいう。以下同じ。)の鑑定評価においては、原則として、対象不動産の現実の利用状況と異なる対象確定条件、地域要因又は個別的要因についての想定上の条件及び調査範囲等条件を設定してはならないとされているが、その理由について説明しなさい(各条件の定義について説明する必要はない。)。
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- 証券化対象不動産の鑑定評価は、鑑定評価が鑑定評価書の利用者の利益に重大な影響を及ぼす可能性がある場合に当たるため、原則として条件設定をしてはならない(総論第5章第1節Ⅳ)。
- 鑑定評価書の利用者には、依頼者・提出先等のほか、販売される金融商品の購入者等が含まれる(留意事項Ⅲ1(2)①イ)。
- 現実の利用状況と異なる条件を設定すると、現実との相違が価格に与える影響の程度を、利用者が自ら判断することが困難になる(留意事項Ⅲ1(2)①ウ、②ア)。
- 調査範囲等条件についても、特定の価格形成要因が価格に与える影響を利用者が判断できなくなるおそれがある(総論第5章第1節Ⅲ)。
- 証券化対象不動産の鑑定評価は広範な投資家等に重大な影響を及ぼす(各論第3章第1節Ⅱ(1))。
(2) 証券化対象不動産の鑑定評価においては、一定の条件の下に、未竣工建物等鑑定評価を行うことができるとされている。この点に関し、次の各問に答えなさい。
① 未竣工建物等鑑定評価の定義について説明しなさい。
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- 造成に関する工事が完了していない土地又は建築に係る工事(新築のほか増改築等を含む)が完了していない建物について、当該工事の完了を前提として鑑定評価の対象とすること(総論第5章第1節Ⅰ1(5))。
- 価格時点において、当該建物等の工事が完了し、その使用収益が可能な状態であることを前提とする(留意事項Ⅲ1(2)①ア)。
② 証券化対象不動産について未竣工建物等鑑定評価を行うことができるための条件について説明しなさい。
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- 総論第5章第1節Ⅰ2なお書きの要件: 設計図書等及び請負契約書等の収集、法令上必要な許認可等の取得、発注者の資金調達能力等の観点から工事完了の実現性が高いと判断されること。
- 加えて、工事の中止、工期の延期又は工事内容の変更が発生した場合に生じる損害が、売買契約上の約定や各種保険等により回避される場合に限る(各論第3章第2節)。
- この要件を満たす場合に限り、条件設定の制限の例外として行える(総論第5章第1節Ⅳただし書)。
(3) 証券化対象不動産以外の鑑定評価においては、不動産鑑定士の通常の調査の範囲では対象不動産の価格への影響の程度を判断するための事実の確認が困難な特定の価格形成要因について、調査範囲等条件を設定することができるとされている。この点に関し、次の各問に答えなさい。
① 調査範囲等条件の設定対象となる特定の価格形成要因の具体的な例を4つ挙げなさい。
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- 留意事項Ⅲ1(2)③ア: (ア)土壌汚染の有無及びその状態、(イ)建物に関する有害な物質の使用の有無及びその状態、(ウ)埋蔵文化財及び地下埋設物の有無並びにその状態、(エ)隣接不動産との境界が不分明な部分が存する場合における対象不動産の範囲。
② 調査範囲等条件の設定対象となる特定の価格形成要因について、調査範囲等条件を設定することができる場合としてはどのような場合があるか。具体的な例を4つ挙げなさい。
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- 前提: 調査範囲等条件を設定しても鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないと判断される場合に限る(総論第5章第1節Ⅲ)。
- 留意事項Ⅲ1(2)③イの例(5つのうち4つ): (ア)依頼者等による当該価格形成要因に係る調査・査定・考慮の結果に基づき、利用者が影響の判断を自ら行う場合、(イ)売買契約等で当該要因の取扱いが契約当事者間で約定される場合、(ウ)担保権者が取扱いの指針を有し、その判断に資する調査が実施される場合、(エ)損失等が保険等で担保される場合。
- (オ)財務諸表作成のための鑑定評価で、引当金の計上・注記等により影響の程度が別途考慮される場合も例示されている。
- 条件を設定した価格形成要因の取扱いは明確にする(留意事項Ⅲ1(2)③ウ)。
令和2年 鑑定士の説明責任と処理計画の策定
証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価について、次の各設問に答えなさい。
(1) 証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価に当たって、不動産鑑定士が果たすべき説明責任について述べなさい。
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- 鑑定評価に係る資料及び手順等を依頼者に説明し、理解を深め、かつ協力を得る(各論第3章第1節Ⅱ(2)前段)。
- 鑑定評価書を、依頼者及び利害関係者その他の者が内容を容易に把握・比較できるよう、記載方法等を工夫し、活用した資料等を明示できるようにするなど、説明責任が十分に果たされるものとする(同Ⅱ(2)後段)。
- 背景: 依頼者のみならず広範な投資家等に重大な影響を及ぼし、制度への社会的信頼性の確保について重要な責任を有する(同Ⅱ(1))。
- 具体的な手当(※原文の各所の整理)
- 処理計画に係る確認事項の記録を附属資料として添付(各論第3章第3節Ⅱ)。
- 依頼者と証券化関係者との関係の記載(同Ⅲ)、実地調査の記載(各論第3章第4節Ⅱ)。
- エンジニアリング・レポート活用の判断と根拠の記載(同Ⅲ(1)(3))。
- DCF法の資料の妥当性・判断根拠、最終還元利回り・割引率・収益費用の将来予測等の説明と過程・理由の記載(各論第3章第5節Ⅰ)、収益費用項目の統一(同Ⅱ)。
(2) 証券化対象不動産の価格に関する鑑定評価における処理計画の策定について説明し、あらかじめ依頼者に対し確認すべき事項を挙げなさい。また、処理計画の策定に当たっての確認について、留意すべき点を述べなさい。
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- 処理計画の策定
- 確定した基本的事項に基づき、作業の性質及び量、処理能力等に即応して、対象不動産の確認、資料の収集・整理、資料の検討及び価格形成要因の分析、手法の適用、試算価格の調整、鑑定評価額の決定等の作業に係る処理計画を秩序的に策定する(総論第8章第3節)。
- 証券化対象不動産では、あらかじめ依頼者に確認し、鑑定評価の作業の円滑かつ確実な実施ができるよう適切かつ合理的な処理計画を策定する。確認事項は処理計画に反映し、変更があれば処理計画も変更する(各論第3章第3節Ⅰ)。
- 依頼者に確認すべき事項(各論第3章第3節Ⅰ(1)〜(6))
- ①鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景 ②対象不動産が第1節Ⅰ(1)(2)(3)のいずれに係るものかの別 ③エンジニアリング・レポート、DCF法等を適用するために必要となる資料その他の資料の主な項目及びその入手時期 ④エンジニアリング・レポートを作成した者からの説明の有無 ⑤対象不動産の内覧の実施を含めた実地調査の範囲 ⑥その他処理計画の策定のために必要な事項
- 確認の留意点(留意事項Ⅹ2)
- 確認を担当不動産鑑定士以外が行う場合もあるが、当該不動産鑑定士が鑑定評価の一環として責任を有する(Ⅹ2(1))。
- 資料の提出等について依頼者と交渉した場合は、その経緯を確認事項として記録する。記録は報告書の附属資料として添付し、不動産の鑑定評価に関する法律施行規則第38条第2項の資料として保管する(Ⅹ2(2))。
- 資料の入手や実地調査が複数回行われる場合は、各段階ごとの確認及び記録が必要(Ⅹ2(3))。
- 依頼者の証券化関係者との関係を記載する。不動産鑑定士自身の利害関係等は総論第9章第2節により記載する(Ⅹ2(4))。
- 確認の記録の内容(年月日、確認を行った不動産鑑定士、相手方の氏名・職業、確認の内容と処理計画への反映状況、変更時の内容)は各論第3章第3節Ⅱによる。
令和7年 資産流動化に係る価格の鑑定評価と収益還元法
「資産の流動化に関する法律」に規定する資産の流動化に係る不動産取引を目的とした価格に関する鑑定評価について次の各設問に答えなさい。
(1) 収益還元法の定義を簡潔に述べなさい。
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- 対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより、対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法(総論第7章第1節Ⅳ1)。
(2) 本鑑定評価における建物及びその敷地の最有効使用を、現実の建物の用途等を継続して利用することと判定した場合において、次の各問に答えなさい。
① 収益価格を求める方法について、式を記載しつつ、説明しなさい。なお、純収益の算定方法及び採用利回りの求め方の記載は不要である。
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- 本件は資産の流動化に係る不動産取引であり、証券化対象不動産(各論第3章第1節Ⅰ(1))に当たる。収益価格はDCF法を適用して求め、併せて直接還元法による検証を行うことが適切(各論第3章第5節)。
- DCF法(総論第7章第1節Ⅳ2(2))
- 連続する複数の期間に発生する純収益及び復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する方法。
- P = Σk=1〜n ak / (1+Y)k + PR / (1+Y)n(P: 収益価格、ak: 毎期の純収益、Y: 割引率、n: 保有期間、PR: 復帰価格)
- 復帰価格: PR = an+1 / Rn(an+1: n+1期の純収益、Rn: 最終還元利回り)
- 直接還元法(検証用、同Ⅳ2(1))
- 一期間の純収益を還元利回りによって還元する方法。P = a / R(a: 一期間の純収益、R: 還元利回り)
- ※現実の建物の用途等を継続する最有効使用のため、建物及びその敷地(複合不動産)について収益価格を求める(更地に賃貸用建物の建築を想定する方法は用いない)。
- 保有期間は典型的な投資家が保有する期間を標準とする(留意事項Ⅴ1(4)②ウ)。
② 上記①で用いる還元利回りと割引率との相違点を述べ、その相互関係について説明しなさい。
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- 相違点(総論第7章第1節Ⅳ3(2)①)
- 共に不動産の収益性を表し、収益価格を求めるために用いる。
- 還元利回り: 直接還元法の収益価格及びDCF法の復帰価格の算定において、一期間の純収益から価格を直接求める際に使用する率。将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含む。
- 割引率: DCF法において、ある将来時点の収益を現在時点の価値に割り戻す際に使用する率。還元利回りに含まれる変動予測と不確実性のうち、収益見通しにおいて考慮された連続する複数の期間の純収益や復帰価格の変動予測に係るものを除く。
- 相互関係
- 純収益が永続的に得られ、一定の趨勢を有すると想定される場合: R = Y − g(R: 還元利回り、Y: 割引率、g: 純収益の変動率)(留意事項Ⅴ1(4)①オ(エ))。
- 最終還元利回りは、価格時点の還元利回りをもとに、保有期間満了時点における市場動向並びにそれ以降の収益の変動予測及び不確実性を反映させて求める(留意事項Ⅴ1(4)②オ)。
(3) 本鑑定評価においては、不動産鑑定評価基準各論第3章の対象とはならない鑑定評価と比較して、調査内容及び鑑定評価で用いた数値等の判断根拠をより具体的に明示することや、統一された収益費用項目を用いる必要があるが、この理由について説明しなさい。
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- 判断根拠をより具体的に明示する理由
- 証券化対象不動産の鑑定評価は、依頼者のみならず広範な投資家等に重大な影響を及ぼし、説明責任を十分に果たす必要がある(各論第3章第1節Ⅱ(1)(2))。
- DCF法の適用では、活用資料の妥当性や判断の根拠等、最終還元利回り・割引率・収益及び費用の将来予測等の個々の項目と、それらを採用して収益価格を求める過程・理由を、経済事情の変動の可能性、具体的に検証した事例及び論理的な整合性を明確にして記載する(各論第3章第5節Ⅰ(1)(2))。
- DCF法は収益価格を求める過程の説明性に優れた手法であり、その特性を生かすため(留意事項Ⅴ1(4)②)。
- 統一された収益費用項目を用いる理由
- 収益及び費用の額を、連続する複数の期間ごとに統一された項目に区分し、積算内訳等を付記して記載する(各論第3章第5節Ⅱ(1))。
- ※依頼者・投資家等が内容を容易に把握・比較できるようにし(各論第3章第1節Ⅱ(2))、複数の不動産・複数の鑑定士間の整合性を確保する。
- 項目と定義を依頼者に提示・説明し、定義に該当することを確認する(各論第3章第5節Ⅱ(2)、留意事項Ⅹ4(1))。
予想問題
予想問題1 同一の証券化対象不動産の再評価における実地調査とエンジニアリング・レポート
証券化対象不動産について、従前に自ら鑑定評価を行ったことのある不動産の再評価の依頼を受けた。次の問に答えなさい。
(1) 再評価の場合であっても、各論第3章に従って鑑定評価を行わなければならないことについて、その趣旨を述べなさい。
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- 従前に鑑定評価が行われたものを再評価する場合にあっても、各論第3章に従って鑑定評価を行わなければならない(留意事項Ⅹ1)。
- ※趣旨は、再評価であっても投資家等に重大な影響を及ぼす点は初回と変わらず(各論第3章第1節Ⅱ(1))、説明責任・資料の確認・DCF法の適用等の基本的姿勢を省略できないことにある。
(2) 再評価に当たり、対象不動産の内覧の全部又は一部の実施を省略することができる場合とその留意点について述べなさい。
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- 原則: 対象不動産の確認に当たっては、内覧の実施を含めた実地調査を行う(留意事項Ⅵ3(1))。証券化対象不動産では依頼者の立会いの下で内覧を含む実地調査を行い、管理者からの聴聞等で権利関係、公法上の規制、アスベスト等の有害物質、耐震性、増改築等の履歴等を確認する(各論第3章第4節Ⅰ)。
- 省略できる場合: 同一の不動産の再評価で、過去に自ら内覧の実施を含めた実地調査を行ったことがあり、かつ個別的要因について、直近に行った鑑定評価の価格時点と比較して重要な変化がないと客観的に認められる場合(留意事項Ⅵ3(1))。
- 証券化対象不動産における留意点(留意事項Ⅹ3(1))
- 各論第3章第4節Ⅲ(3)の表に掲げる専門性の高い個別的要因についても、直近の価格時点と比較して重要な変化がないと認められること。
- 実地調査に関する記載事項(各論第3章第4節Ⅱ)に加え、重要な変化がないと判断した理由を鑑定評価報告書に記載する。
- 処理計画の策定の際に、実地調査の範囲(内覧の実施を含む)を依頼者に確認する(各論第3章第3節Ⅰ(5))。
(3) 再評価においてエンジニアリング・レポートの提出がない場合又は記載内容が不十分である場合の対応について述べなさい。
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- 再評価をする場合は、エンジニアリング・レポートの提出がない場合又は内容が不十分である場合として想定される例である(各論第3章第4節Ⅲ(2))。
- 不動産鑑定士が、エンジニアリング・レポートに代わるものとして調査を行うなど鑑定評価を適切に行うため対応し、対応した内容及びそれが適切であると判断した理由を鑑定評価報告書に記載する(同Ⅲ(1)ただし書)。
- 表の項目ごと(基本的属性、入手経緯・対応方針、専門性の高い個別的要因に関する調査、鑑定士の判断)に記載し、鑑定士の調査で対応した場合の内容・根拠も示す(同Ⅲ(3))。
予想問題2 特定価格としての証券化対象不動産の価格と正常価格との対比
証券化対象不動産の鑑定評価について、次の各問に答えなさい。
(1) 投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合に、特定価格として求める理由を、正常価格との相違に触れて説明しなさい。
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- 特定価格とは、市場性を有する不動産について、法令等による社会的要請を背景とする鑑定評価目的の下で、正常価格の前提となる諸条件を満たさないことにより、正常価格と同一の市場概念の下において形成されるであろう市場価値と乖離することとなる場合における不動産の経済価値を適正に表示する価格(総論第5章第3節Ⅰ3)。
- 例示の1つとして、証券化対象不動産に係る鑑定評価目的の下で、投資家に示すための投資採算価値を表す価格を求める場合がある(同Ⅰ3(1))。
- 理由: 投資対象資産としての不動産の取得時又は保有期間中の価格として投資家に開示することを目的に、投資家保護の観点から収益力を適切に反映する収益価格に基づいた投資採算価値を求める必要がある。資産流動化計画等により投資家に開示される運用方法を所与とし、その運用方法による使用が最有効使用と異なることとなる場合には特定価格として求めなければならない(留意事項Ⅲ3(2)②ア)。
- 正常価格は、対象不動産の最有効使用を前提とした価値判断を行う市場参加者を前提とする(総論第5章第3節Ⅰ1(1)④)。
(2) 投資法人等が投資対象資産を譲渡するときに依頼される鑑定評価で求める価格の種類を述べ、その理由を説明しなさい。
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- 正常価格として求める(留意事項Ⅲ3(2)②アなお書き)。
- ※理由: 譲渡は、運用方法を所与とする投資家への開示ではなく、市場で成立するであろう市場価値を求めるものであり、正常価格の前提条件を満たすためと整理できる。
(3) 特定価格として求める場合の鑑定評価の手法の適用と、鑑定評価報告書の記載上の留意点を述べなさい。
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- DCF法により求めた試算価格を標準とし、直接還元法による検証を行って求めた収益価格に基づき、比準価格及び積算価格による検証を行い鑑定評価額を決定する(各論第1章第4節Ⅰ)。
- 正常価格を求めることができる不動産について特定価格を求めた場合は、かっこ書きで正常価格である旨を付記してその額を併記する(総論第9章第2節Ⅰ)。
- 特定価格を求めた場合には、法令等による社会的要請の根拠を明らかにする(同Ⅴ)。
予想問題3 依頼者と証券化関係者との関係及び鑑定士の利害関係の確認・記載
証券化対象不動産の鑑定評価において、依頼者と証券化関係者との関係及び不動産鑑定士自身の利害関係について、次の各問に答えなさい。
(1) 証券化関係者を挙げ、鑑定評価報告書に記載しなければならない依頼者と証券化関係者との関係に関する事項を述べなさい。
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- 証券化関係者: オリジネーター、アレンジャー、アセットマネジャー、レンダー、エクイティ投資家又は特別目的会社・投資法人・ファンド等(各論第3章第3節Ⅲ(1))。
- 記載事項(同Ⅲ)
- ①依頼者が証券化関係者のいずれであるかの別 ②依頼者と証券化関係者との資本関係又は取引関係の有無及びその内容 ③その他依頼者と証券化関係者との特別な利害関係を有する場合にあっては、その内容
- あわせて、鑑定評価の依頼目的及び依頼が必要となった背景も記載する(同Ⅲ柱書)。
(2) (1)のように記載を求める趣旨と、不動産鑑定士自身の利害関係等の確認・記載について述べなさい。
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- 趣旨: 証券化対象不動産は関係者が多岐にわたり利害関係が複雑であることも多いため(各論第3章第3節Ⅲ柱書)。※ 依頼者の立場を明らかにすることで、投資家等が鑑定評価の中立性・公正性を判断できるようにする。
- 不動産鑑定士自身の利害関係等
- 確認: 関与不動産鑑定士及び関与不動産鑑定業者の対象不動産に関する利害関係等、依頼者との特別の資本的関係・人的関係・取引関係、提出先等との関係(総論第8章第2節Ⅱ)。
- 記載: 鑑定評価報告書に有無及びその内容を記載する(総論第9章第2節Ⅸ)。
- 不動産鑑定士の対象不動産に関する利害関係等は、総論第9章第2節により記載する必要がある(留意事項Ⅹ2(4))。
予想問題4 更地(建物取壊し予定を含む)の証券化対象不動産に係るエンジニアリング・レポートとDCF法
証券化対象不動産が更地(建物を取り壊す予定である場合を含む。)である場合について、次の各問に答えなさい。
(1) エンジニアリング・レポートの取扱いについて述べなさい。
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- 更地(建物を取り壊す予定である場合を含む)は、エンジニアリング・レポートの提出がない場合又は記載内容が不十分である場合として想定される例である(各論第3章第4節Ⅲ(2))。
- 提出がない場合・不十分な場合は、不動産鑑定士が調査を行うなど対応し、内容と適切と判断した理由を記載する(同Ⅲ(1)ただし書)。
- 表の項目ごとに、ER活用か鑑定士の調査(他の専門家への依頼を含む)かの別と判断を記載する(同Ⅲ(3))。※更地でも、土壌汚染、地下埋設物、公法上及び私法上の規制、制約等は価格への影響が大きい。
(2) 収益価格を求めるに当たってのDCF法の適用について述べなさい。
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- 証券化対象不動産の収益価格はDCF法を適用し、直接還元法による検証を行う(各論第3章第5節)。
- 更地であっても、当該土地に最有効使用の賃貸用建物等の建築を想定することにより、DCF法を適用できる(留意事項Ⅴ1(4)②、総論第7章第1節Ⅳ3(1)②ア(イ))。
- この場合、最有効使用の賃貸用建物等の建設を想定し、その複合不動産が生み出すであろう総収益を適切に求める(総論第7章第1節Ⅳ3(1)②ア(イ))。総費用は賃貸用不動産(ア(イ)の複合不動産を想定する場合を含む)の算定の例による(同イ)。
- ※想定建物の建築費、建築期間、竣工後の賃料等の想定は、鑑定士の判断で根拠を示して設定し、収益費用項目に区分して記載する。
(3) 土壌汚染や地下埋設物について、調査範囲等条件を設定して鑑定評価を行うことができるか述べなさい。
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- 証券化対象不動産の鑑定評価では、原則として調査範囲等条件を設定してはならない(総論第5章第1節Ⅳ)。したがって、設定して鑑定評価を行うことはできない。
- 土壌汚染や地下埋設物は、証券化以外の鑑定評価では調査範囲等条件の設定対象となる例(留意事項Ⅲ1(2)③ア)だが、証券化対象不動産では、ER(又は鑑定士の調査)で確認する専門性の高い個別的要因である(各論第3章第4節Ⅲ(3)の表)。
- ※利用者が価格への影響の程度を自ら判断することが困難になるおそれがあるため。
予想問題5 証券化対象不動産以外への準用と条件設定の制限(結論の対比)
次の各場合における鑑定評価の取扱いについて、述べなさい。
(1) 証券化対象不動産以外の不動産のうち、投資用の賃貸大型不動産の鑑定評価を行う場合に、各論第3章の定めをどのように扱うべきか述べなさい。
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- 証券化対象不動産以外の不動産の鑑定評価を行う場合にあっても、投資用の賃貸大型不動産の鑑定評価を行う場合その他の投資家及び購入者等の保護の観点から必要と認められる場合には、各論第3章の定めに準じて鑑定評価を行うよう努めなければならない(各論第3章第1節Ⅰ後段)。
- ※投資家等に重大な影響を及ぼすという実質が同じであるため、形式的に証券化の枠外でも保護の観点から準じる。
(2) 会社法上の現物出資の目的となる不動産の鑑定評価において、条件設定をする場合の制限について述べなさい。また、一般の鑑定評価における条件設定の考え方との相違を述べなさい。
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- 現物出資等の場合(総論第5章第1節Ⅳ)
- 鑑定評価が鑑定評価書の利用者の利益に重大な影響を及ぼす可能性がある場合には、原則として、現実の利用状況と異なる対象確定条件、地域要因又は個別的要因についての想定上の条件及び調査範囲等条件の設定をしてはならない。
- ただし書で未竣工建物等鑑定評価を認めるのは、証券化対象不動産の鑑定評価で各論第3章第2節の要件を満たす場合に限られる。※そのため、現物出資では未竣工建物等鑑定評価の例外は読み取れない。
- 一般の鑑定評価(同Ⅰ〜Ⅲ・Ⅴ)
- 対象確定条件は鑑定評価書の利用者の利益を害するおそれがないかの観点から、想定上の条件はこれに加え実現性・合法性の観点から、調査範囲等条件は利用者の利益を害するおそれがないと判断される場合に限り、設定できる。
- 条件設定には依頼者との間で鑑定評価依頼契約上の合意がなくてはならず、妥当でない場合は依頼者に説明の上、妥当な条件に改定する(同Ⅴ)。
- ※結論の対比: 一般の鑑定評価は妥当性を確認して設定できるが、利用者の利益に重大な影響を及ぼす場合は原則禁止となる。

1992年生まれ。3人目の育休中。
初めて不動産投資をするときにつまづくことが多く、当時知りたかったことをまとめています。最近は不動産鑑定士の勉強についての記事ばかりです。ドメイン分ければ良かったか・・・。

