基準と留意事項はクリックしたら表示されます。
問題1:鑑定評価の条件設定
鑑定評価の条件設定に関する次の各設問に答えなさい。
(1) 鑑定評価の条件設定の意義
鑑定評価の条件設定の意義を述べなさい。
(2) 対象確定条件の説明と条件設定の妥当性検討における確認事項
対象確定条件について説明し、その条件設定の妥当性を検討する上で確認すべき点について述べなさい。なお、依頼目的に応じた対象確定条件の例示は不要である。
(3)① 未竣工建物等鑑定評価の定義と実施に求められる要件
未竣工建物等鑑定評価の定義を述べ、当該評価を行う場合に求められる要件について説明しなさい。
(3)② 証券化対象不動産について未竣工建物等鑑定評価を行う場合に求められる要件とその理由
証券化対象不動産について未竣工建物等鑑定評価を行う場合に求められる要件を述べ、その理由を説明しなさい。
理由の要旨:証券化対象不動産は投資家等多数の利用者の利益に重大な影響を及ぼすため、工事不全等のリスク(未竣工リスク)を厳格に排除し、投資家保護を図る必要があるから。
問題2:原価法及び積算法(50点)
(1) 原価法の定義・適用場面/再調達原価の定義・把握困難な場合の代替手段
原価法の定義及び当該手法をどのような場合に適用できるかを述べなさい。また、再調達原価の定義を述べ、再調達原価を求めることが困難な場合を挙げ、その代替手段について述べなさい。
(2) 土地の再調達原価を求める方法
原価法の適用において、土地の再調達原価を求める方法について説明しなさい。
(3)原価法の適用可否
下記①及び②の地域に存する土地について、一般的に、原価法が適用可能か否かを判定し、その理由を簡潔に説明しなさい。ただし、下記地域ごとに「適用可能」、「適用困難」の立場を明確にすること。なお、減価修正の観点からの説明は不要である。
① 工場地域(最近造成された工業団地)における原価法の適用可否
② 住宅地域(造成後長期間を経た既成市街地)における原価法の適用可否
<解答>
① 工場地域(最近において造成された工業団地)
- 判定:適用可能
- 理由: 土地の再調達原価は、素地価格に宅地造成費用(標準的な造成費および付帯費用)を加算して求める。本地域は最近造成されたばかりであるため、素地価格の把握や造成工事費・付帯費用等の原価資料の収集が容易であり、再調達原価を適切に求めることができるから。
② 住宅地域(造成後長い期間を経ている既成市街地)
- 判定:適用困難
- 理由: 造成後長期間が経過した既成市街地では、周辺の宅地化が進んで素地価格の判定が困難であることに加え、当時の造成工事内容や付帯費用等の原価資料の収集・把握も極めて困難であり、土地の再調達原価を適切に求めることができないから。
(4) 積算法の定義
積算法の定義を述べなさい。
(5) 地代算定における基礎価格の定義・求め方・留意事項
宅地の賃料(いわゆる「地代」)を求める場合において、積算法における基礎価格の定義及び基礎価格を求める方法並びに基礎価格を求める際の留意事項について述べなさい。
問題3:試算価格の調整(50点)
試算価格の調整に関する次の各設問に答えなさい。
(1) 鑑定評価の三方式及び試算価格の定義
鑑定評価の三方式及び試算価格の定義を述べなさい。
(2) 試算価格の調整の定義とその方法
試算価格の調整の定義を述べたうえで、試算価格の調整をどのように行うか述べなさい。なお、試算価格の調整に当たって留意すべき事項についての説明は不要である。
(3) 建物の増改築等による個別的要因の変化と、原価法・収益還元法適用時の価格形成要因の判断の整合性
試算価格の調整においては、「各手法に共通する価格形成要因に係る判断の整合性」に留意しなければならないとされている。建物の増改築・修繕・模様替等が行われ、建物の個別的要因である「設計、設備等の機能性」や「維持管理の状態」が向上した場合に、貸家及びその敷地の鑑定評価で原価法、収益還元法を適用するに当たって、当該価格形成要因に係る判断の整合性をどのように考慮すべきか説明しなさい。なお、原価法、収益還元法の定義に関する説明は不要である。
<解答の骨子>
1.原価法における考慮
- 減価修正における反映:物理的・機能的減価の低減(回復)として反映する。
- 経済的残存耐用年数の伸長:維持管理状態の良好さや機能向上に伴い、経済的残存耐用年数を伸長(延長)して判定する。
2.収益還元法における考慮
- 純収益への反映:
- 総収益:機能性・利便性の向上により、支払賃料の向上(増額)や空室率の低下(稼働率の安定)を反映し、総収益の増加を見込む。
- 総費用:維持管理状態が良好であるため、将来の突発的な修繕費や大規模修繕費等の発生を抑制・平準化できるものとして計上する。
- 還元利回り(割引率)への反映:建物の陳腐化リスクや空室・維持管理リスクが低下するため、不動産の競争力・流動性の向上を考慮して還元利回りを適切(低め・堅実)に設定する。
3.両手法間における「判断の整合性」のとり方
- 原価法における「減価の抑制・耐用年数の伸び」と、収益還元法における「純収益の増加・リスク(還元利回り)の低減」は表裏一体の関係にある。
- したがって、原価法で建物の機能や状態の良さを高く評価(積算価格を押し上げる方向)しておきながら、収益還元法で賃料向上やリスク低下を考慮しない(収益価格に反映させない)といった矛盾が生じないよう、両手法の試算過程で整合的な判断を行う。
問題4:更地の鑑定評価(50点)
(1) 更地の定義
更地の定義を述べなさい。
(2) 更地の鑑定評価額の決定方法
更地の鑑定評価額をどのように決定するか説明しなさい。
(3) 開発計画の想定・事業実施計画策定における留意事項
開発法の適用において、開発計画の想定及び事業実施計画の策定に当たって留意すべき事項を述べなさい。
(4) 開発法の基本式
以下を用いて、開発法の基本式を示しなさい。
- P : 開発法による試算価格
- S : 販売総額
- B : 建物の建築費又は土地の造成費
- M : 付帯費用
- r : 投下資本収益率
- n1 : 価格時点から販売時点までの期間
- n2 : 価格時点から建築代金の支払い時点までの期間
- n3 : 価格時点から付帯費用の支払い時点までの期間
(5) 投下資本収益率(r)で考慮すべき開発リスク
投下資本収益率(r)において考慮が必要となる開発リスクについて述べなさい。
<投下資本収益率(r)とは>
不動産鑑定評価(特に開発法)における投下資本収益率(r)とは、開発事業(土地の造成や建物の建築等)に投下される資本に対して期待される総合的な収益率(期待利回り・割引率)である。
開発法において、将来発生する「販売総額(S)」の収入や「建築費・造成費(B)」「付帯費用(M)」の支出を、価格時点の現在価値へと割り引くための割引率として機能する。
<投下資本収益率(r)の主な構成要素>
投下資本収益率は、単なる借入金利(資金調達コスト)にとどまらず、以下の要素を含んだ率として設定される。
- 資金の調達コスト(金利・資本コスト)
- 事業資金(自己資金・借入金)を調達・運用することに伴う時間の価値(タイムバリュー)。
- 開発事業者の適正利潤(期待利益)
- 開発事業というリスクのある事業を遂行することに対して、事業者(発注者)が通常求めるべき適正な利潤。
- 開発リスクに対するプレミアム(危険負担率)
- 開発事業に内在する各種の不確実性・危険性に応じた割増率。
<rにおいて考慮が必要な「開発リスク」>
開発法の適用にあたっては、事業の不確実性に応じて投下資本収益率(r)を適切に査定する必要がある。考慮される開発リスクの具体例は以下の通りである。
- 市場・販売リスク:景気変動や競合供給による販売価格の下落、販売期間の長期化(在庫リスク)
- コスト変動リスク:資材高騰、人件費上昇、想定外の土壌不具合等による造成費・建築費の増加
- 計画・許認可リスク:行政上の許認可手続きの遅延や、開発計画の変更・縮小に伴う事業期間の延び
- 金利変動リスク:事業期間中における金融情勢の変化および借入金利の上昇リスク

