【令和8年不動産鑑定士試験】経済学 過去問解説

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アイキャッチはCopilotでつくりました。文字が変になってておかしい。(指示してもなおらない)

問題1 (1)

①:新築マンション市場における供給縮小と需要シフト

  • 【問題】

図1に、第1期の需要曲線(D1)及び供給曲線(S1)、第2期の需要曲線(D2)及び供給曲線(S2)を図示しなさい。その際、各項目に対応する記号(D1, S1, D2, S2)を図中に明記すること。

  • 【解答】

第1期から第2期にかけて、供給が1,000戸から500戸へ縮小したため、垂直な供給曲線は S1(数量1,000)から左側の S2(数量500)へシフトする。また、代替財である中古マンション価格の高騰により新築マンションの需要が増加したため、需要曲線は右上方の D2 へシフトする

その結果、均衡点は(数量1,000戸、価格1億円)から(数量500戸、価格2億円)へと遷移する

数量 Q (戸) 価格 P (億円) 0 500 1,000 1 2 S2 S1 D1 D2 第1期均衡 第2期均衡
  • 【解説】

マンションのように、建物の完成までに時間がかかる財では、価格がいくら高騰しても「今すぐ供給できる数量」を増やすことができない。このように価格の変化に対して供給量がまったく反応しない状態を「供給が完全に非弾力的である」といい、グラフ上では垂直な供給曲線として表される。

  1. 供給曲線の変化(S1S2: 第1期の供給量は1,000戸、第2期は500戸に減少したため、供給曲線は垂直なまま左側へ平行移動する。
  2. 需要曲線の変化(D1D2: 「中古マンション」は「新築マンション」の代替財である。中古マンションの価格が上がると、「新築の方が相対的に得だ」と感じる人が増えるため、新築マンションへの需要が拡大する。これにより、需要曲線は右上へとシフトする。

②:完全非弾力的な市場における課税の帰属と消費者余剰

  • 【問題】

図2に、第3期における需要曲線(D)、供給曲線(S)、消費者余剰(CS)の領域、消費者が支払う価格(Pb)、生産者が受け取る価格(Ps)を図示しなさい。その際、各項目に対応する記号(D, S, CS, Pb, Ps)を図中に明記すること。

  • 【解答】

第3期では取引量は500戸のままであり、供給曲線 S は数量500の位置で垂直である。生産者に20%の税が課されるが、供給が完全非弾力的であるため税金はすべて生産者が負担する

消費者が支払う価格 Pb は第2期と変わらず2億円、生産者が受け取る価格 Ps は税引き後の1.6億円(2億円 × (1 – 0.2))となる

消費者余剰(CS)は、需要曲線 D が縦軸と交わる切片から、消費者が支払う価格 Pb(2億円)、および数量500戸の均衡点(220, 150)で結ばれた三角形の領域となる

数量 Q 価格 P 0 500 2 (Pb) 1.6 (Ps) S D CS 税額 (20%)
  • 【解説】
  1. 消費者余剰の考え方: 消費者余剰(CS)とは、「消費者が支払ってもよいと考える金額の総和(需要曲線の下側の面積)」から「実際に支払った金額(Pb × 数量)」を差し引いた「得した感覚の合計」である。 需要曲線を縦軸までしっかりと延ばすことで、縦軸切片・価格線(Pb)・需要曲線で囲まれた明確な直角三角形が現れる。
  2. 税金の帰属(誰が払うか): 生産者に税金が課された場合、通常は価格を引き上げて消費者に税金を一部転嫁しようとする。しかし、供給が垂直(完全非弾力的)な場合、生産者は数量を調整して価格を上げることができない。 そのため、市場価格(Pb)は2億円のまま変わらず、税金(0.4億円)はすべて生産者が負担することになる。結果として消費者が受け取る影響はないため、消費者余剰(CS)の三角形の大きさも変化しない。

問題1 (2)

①:私的財としての住宅消費と個人の消費者余剰

  • 【問題】

住宅は、AさんとBさんにとって私的財であるとする。すなわち、AさんとBさんはそれぞれ別の住宅に1人で居住する。 このとき、効用最大化の結果、Aさんが借りる住宅の面積は [ ア ] 坪であり、Aさんの消費者余剰は [ イ ] 万円となる

  • 【解答】
  • [ ア ]:6
  • [ イ ]:18
  • 【解説】

私的財(自分1人で使う普通の財)において満足度(効用)を最大にするには、自分が感じる価値(需要関数)と実際の家賃が等しくなる点まで部屋を借りればよい

  1. 部屋の広さ [ ア ] の求め方: Aさんの需要関数は QA = 10 – P である。 家賃 P = 4(万円)を代入すると、 QA = 10 – 4 = 6(坪) となる。
  2. 消費者余剰 [ イ ] の求め方: 需要の式を変形すると P = 10 – QA となる。
    • 最初の1坪に対する評価額(縦軸の切片)は 10 万円
    • 実際の家賃は 4 万円
    • 借りる広さは 6 坪
    消費者余剰は三角形の面積計算(底辺 × 高さ ÷ 2)で算出できる。 消費者余剰 = (10 – 4) × 6 ÷ 2 = 18(万円) となる。
問題1(2)① 私的財(一人暮らし)の市場
Q (面積:坪) P (家賃:万円) 0 10 P=4 6 (ア) QA 消費者余剰 イ = 18万円

②:公共財としての住宅消費と不効用による限界値

  • 【問題】

AさんとBさんが共同生活する場合、住宅の広さはAさんとBさんにとって公共財であるとする。……このとき、2人にとって最適な住宅の面積は [ ウ ] 坪であり、家賃を2人で等分した場合のAさんの消費者余剰は [ エ ] 万円となる。しかし、共同生活に伴う不効用が発生し、その分だけ消費者余剰が減少するとき、Aさんにとって共同生活に伴う不効用の大きさが [ オ ] 万円を超えると、Aさんは同居ではなく一人暮らしを選択する

  • 【解答】
  • [ ウ ]:8
  • [ エ ]:32
  • [ オ ]:14
  • 【解説】

2人で同じ空間を共有する「公共財」の場合、最適な部屋の広さは2人の満足度(限界評価)を縦に合算した全体の需要と、全体の家賃が一致する場所で決まる(サミュエルソン条件)

  1. 最適な部屋の広さ [ ウ ] の求め方
    • Aさんの評価:MVA = 10 – QBさんの評価:MVB = 10 – Q2人あわせた社会全体の需要:MV合計 = (10 – Q) + (10 – Q) = 20 – 2Q
    全体にかかる1坪あたりの家賃は P = 4 万円であるため、 20 – 2Q = 4 → 2Q = 16 → Q = 8(坪) となる。
  2. Aさんの消費者余剰[エ](32万円)の計算

Q = 8 坪のときのAさんの消費者余剰[エ]は、以下の3つのアプローチ(方法A・方法B・方法C)のいずれからでも求めることができる。

  • 方法A:Aさん個人の負担単価から求める方法(三角形の面積) 全体で 8 坪確保した際、1坪あたりの家賃 4 万円を2人で等分するため、Aさん1人あたりの負担単価は PA = 2 万円となる。 Aさんの限界評価線(縦軸切片 10 万円)と負担単価(PA = 2 万円)に囲まれた直角三角形の面積を計算する。
    • 消費者余剰 = (10 - 2) × 8 ÷ 2 = 32(万円)
  • 方法B:Aさん個人の総便益から費用を引く方法(台形の面積 - 長方形) Aさんが 8 坪から得られる満足度の合計(総便益)は、限界評価線の下側の面積(台形)である。
    • 総便益(台形の面積) = (10 + 2) × 8 ÷ 2 = 48(万円)
    • Aさんの実際の家賃負担額 = 2 万円 × 8 坪 = 16(万円)
    • 消費者余剰 = 48 - 16 = 32(万円)
  • 方法C:社会全体の消費者余剰を求めて折半(半分)にする方法【直感的な解法】 社会全体の需要曲線(MV社会 = 20 - 2Q)を描き、家賃(P = 4 万円)との間にできる大きな三角形(社会全体の消費者余剰)を先に算出し、それを2人で等分する。
    • 社会全体の消費者余剰(大きな三角形) = (20 - 4) × 8 ÷ 2 = 64(万円)
    • AさんとBさんの条件(評価・家賃負担)は対等であるため、これを半分ずつ分ける。
    • Aさんの消費者余剰 = 64 ÷ 2 = 32(万円)
住宅の広さ Q (坪) 評価・家賃 P (万円) 0 MV_A = 10 – Q 10 2 (実質単価) 8 消費者余剰 (緑三角形) = 32 万円 Aさんの支払額 (赤枠長方形) = 16 万円 青斜線全体(台形)= 総便益 (10 + 2) × 8 ÷ 2 = 48 万円 ※総便益(48) – 支払(16) = 余剰(32)
問題1(2)② 方法C(社会全体の需要曲線と余剰)
Q (面積:坪) 価格・MV(万円) 0 20 P=4 8 (ウ) 社会全体の消費者余剰 = 64 万円 (Aさん・Bさんで折半) → Aの余剰(エ) = 32 万円 P = 20 – 2Q (MVA + MVB)

3. 不効用の境界値[オ](14万円)の計算

  • 一人暮らしの時のAさんの消費者余剰(①より): 18 万円
  • 同居の時のAさんの消費者余剰(不効用なし): 32 万円

同居に伴うストレス等のマイナス効果(不効用)を D(万円)とすると、同居による実質的な余剰は (32 - D) 万円となる。 一人暮らしの余剰が同居の実質余剰を上回ると同居を解消するため、判断の境界線は以下のようになる。

  • 32 - D < 18 → D > 14(万円)

したがって、不効用の大きさが 14 万円 を超えると一人暮らしが選択される。

問題1 (3)

①:ゲームの利得表の完成

  • 【問題】

ある街の住民Aと地方政府(以下、政府とする)の2者がプレーヤーとなるゲームを考える。災害時に被災する危険地域と、被災しない安全地域が存在し、危険地域は安全地域よりも家賃が安い。住民Aの戦略は、「危険地域に住む」「安全地域に住む」「他の街に移転する」のいずれかであり、政府の戦略は、被災者を「支援する」又は「支援しない」のいずれかである。

住民Aの利得は、危険地域に住んだ場合、政府が支援すれば4、支援しなければ0である。また、政府の戦略にかかわらず、住民Aが安全地域に住む場合の利得はX、他の街に移転する場合は2である。政府の利得は、住民Aが危険地域に住んだ場合、支援すれば1、支援しなければ0である。また、政府の戦略にかかわらず、住民Aが安全地域に住む場合の政府の利得は5であり、他の街に移転する場合の政府の利得は0である。

Xと数値を用いて、表1に利得を記入し、利得表を完成させなさい。各セル内では、政府の利得を左側、住民Aの利得を右側に記入すること。

  • 【解答】
政府 \ 住民A 住民Aの戦略
危険地域に住む 安全地域に住む 他の街に移転する
政府の
戦略
支援する ( 1 , 4 ) ( 5 , X ) ( 0 , 2 )
支援しない ( 0 , 0 ) ( 5 , X ) ( 0 , 2 )
  • 【解説】

問題文の記述に基づき、各プレイヤー(政府、住民A)の各選択肢に対する利得の数値をセル内に整理する。指定通り、セル内の数値は左側に「政府の利得」、右側に「住民Aの利得」を記入する点に注意が必要である。

  • 住民Aが危険地域に住む場合
    • 政府が「支援する」:政府=1、住民A=4 → ( 1 , 4 )
    • 政府が「支援しない」:政府=0、住民A=0 → ( 0 , 0 )
  • 住民Aが安全地域に住む場合
    • 政府の戦略に関わらず:政府=5、住民A=X → ( 5 , X )
  • 住民Aが他の街に移転する場合
    • 政府の戦略に関わらず:政府=0、住民A=2 → ( 0 , 2 )

②:ナッシュ均衡の条件と自然数Xの導出

  • 【問題】

このゲームを1回限りの同時手番ゲームとしたとき、「住民Aが危険地域に住み、政府が支援する」という戦略の組と、「住民Aが安全地域に住み、政府が支援しない」という戦略の組の2つのみが純粋戦略ナッシュ均衡であるとする。Xは自然数とする。Xの取り得る値を求め、解答欄に記入しなさい。

  • 【解答】

X = 3

  • 【解説】

同時手番ゲームにおいて、指定された2つの戦略の組のみが純粋戦略ナッシュ均衡となるための条件を考える。

1. 「危険地域に住む, 支援する」がナッシュ均衡となる条件 政府が「支援する」を選択しているとき、住民Aの各戦略に対する利得は以下の通りである。

  • 危険地域に住む:4
  • 安全地域に住む:X
  • 他の街に移転する:2

「危険地域に住む」が住民Aにとって最適な応答(利得が厳密に最大)となるためには、 4 > X かつ 4 > 2 でなければならない(※もし X ≧ 4 だと、「危険地域に住む」ではなく「安全地域に住む」を選ぶ方が得になり、均衡とならない)。 したがって、 X < 4 が必要である。

2. 「安全地域に住む, 支援しない」がナッシュ均衡となる条件 政府が「支援しない」を選択しているとき、住民Aの各戦略に対する利得は以下の通りである。

  • 危険地域に住む:0
  • 安全地域に住む:X
  • 他の街に移転する:2

「安全地域に住む」が住民Aにとって最適な応答(利得が最も大きい選択)となるためには、 X > 0 かつ X > 2 でなければならない(※もし X ≦ 2 だと、住民Aは「他の街に移転する」を選ぶか、移転と同等の満足になってしまい、「安全地域に住む, 支援しない」のみが純粋戦略ナッシュ均衡という条件に反する)。 したがって、 X > 2 が必要である。

3. 条件の統合と自然数条件 上記1および2の条件を合わせると、Xの範囲は 2 < X < 4 となる。 問題文より X は「自然数(正の整数)」であるため、条件を満たす数値は X = 3 のみである。

令和8年不動産鑑定士論文式試験「経済学」の問題1 (3) ③ について、「予備校の解答表記に関する補足」などの余分な文言を排除し、設問ごとの「問題」「解答」「解説」として作成いたしました。

③:住民Aが先手の逐次手番ゲーム(部分ゲーム完全均衡)

  • 【問題】

住民Aが先に戦略を選び、その後、政府がそれを観察して戦略を選ぶ逐次手番ゲームのとき、部分ゲーム完全均衡を求め、解答欄に記入しなさい。均衡が複数存在する場合は、すべて記入すること

  • 【解答】

1. 部分ゲーム完全均衡(戦略の組)

以下の4パターンが部分ゲーム完全均衡となる。

  • ( 危険地域に住む , ( 支援する , 支援する , 支援する ) )
  • ( 危険地域に住む , ( 支援する , 支援しない , 支援する ) )
  • ( 危険地域に住む , ( 支援する , 支援する , 支援しない ) )
  • ( 危険地域に住む , ( 支援する , 支援しない , 支援しない ) )

※政府の行動の順序組は、左から順に ( Aが危険地域に住んだ場合 , Aが安全地域に住んだ場合 , Aが他の街に移転した場合 ) における政府の選択を表す。

2. 実現する均衡経路(結果)

  • ( 危険地域に住む , 支援する )

【解説】

1. バックワード・インダクション(後方推論)による決定

本問は住民Aが第1手番、政府が第2手番をとる逐次手番ゲームである。第2手番である政府の最適な行動を先に分析し、それを踏まえて第1手番の住民Aの行動を決める。なお、(3) ② より X = 3 である。

【ステップ1:政府(第2手番)の最適行動】

住民Aが選択したそれぞれの行動に対して、政府が利得を最大化する行動を選択する。

  • 住民Aが「危険地域に住む」を選んだ場合
    • 支援する(政府利得 1) vs 支援しない(政府利得 0)
    • → 政府は「支援する」を選択する(利得 1 > 0 で厳密に有利)。
  • 住民Aが「安全地域に住む」を選んだ場合
    • 支援する(政府利得 5) vs 支援しない(政府利得 5)
    • → どちらを選んでも政府の利得は 5 で等しいため、政府は「支援する」「支援しない」のどちらを選んでもよい。
  • 住民Aが「他の街に移転する」を選んだ場合
    • 支援する(政府利得 0) vs 支援しない(政府利得 0)
    • → どちらを選んでも政府の利得は 0 で等しいため、政府は「支援する」「支援しない」のどちらを選んでもよい。

【ステップ2:住民A(第1手番)の最適行動】

住民Aは、自らの選択に対する政府の反応を予測して行動を選ぶ。

  • 住民Aが「危険地域に住む」を選んだ場合:政府は確実に「支援する」ため、住民Aの利得は 4
  • 住民Aが「安全地域に住む」を選んだ場合:政府の選択に関わらず、住民Aの利得は 3 (X=3)
  • 住民Aが「他の街に移転する」を選んだ場合:政府の選択に関わらず、住民Aの利得は 2

したがって、住民Aは利得が最大(4 > 3 > 2)となる「危険地域に住む」を選択する。

2. 戦略の組み合わせについての解説

ゲーム理論における「戦略」とは、自分がプレイする機会のあるすべての局面(情報集合)に対する行動計画を意味する。

政府にとっての局面(住民Aの選択肢)は以下の3つが存在する。

  1. 住民Aが「危険地域に住む」を選んだとき
  2. 住民Aが「安全地域に住む」を選んだとき
  3. 住民Aが「他の街に移転する」を選んだとき

政府の最適行動は、局面1では「支援する」の一択に決まるが、局面2および局面3では「支援する」「支援しない」のどちらでも政府の利得が変わらないため、それぞれ2通りの選択(合計 1 × 2 × 2 = 4 通り)が均衡戦略として成立する。

そのため、政府の全選択肢を順序組として明記する厳密な表現では、部分ゲーム完全均衡は 4つの戦略の組として記述され、実際に市場で観察される行動である「実現する均衡経路」は ( 危険地域に住む , 支援する ) となる。

④:政府が先手の逐次手番ゲーム(政策のコミットメント)

【問題】

政府が先に戦略を選び、その後、住民Aがそれを観察して戦略を選ぶ逐次手番ゲームを考える。この場合、政府は自らの戦略を事前に選択して住民に周知し、実際にもそのとおり行動するものとする。つまり、政府が「支援する」ことをあらかじめ選択した場合には災害時に被災者を支援し、「支援しない」ことをあらかじめ選択した場合には支援しない。このとき、部分ゲーム完全均衡を求め、解答欄に記入しなさい。なお、均衡が複数存在する場合は、すべて記入すること

【解答】

1. 部分ゲーム完全均衡(戦略の組)

  • ( 支援しない , ( 危険地域に住む , 安全地域に住む ) )

※住民Aの行動の順序組は、左から順に ( 政府が支援する場合 , 政府が支援しない場合 ) における住民Aの選択を表す。

2. 実現する均衡経路(結果)

  • ( 支援しない , 安全地域に住む )

【解説】

1. バックワード・インダクション(後方推論)による決定

本問は政府が第1手番(事前宣言・コミットメント)、住民Aが第2手番をとる逐次手番ゲームである。第2手番である住民Aの最適な行動を先に分析し、それを踏まえて第1手番の政府の政策決定を導き出す。なお、(3) ② より X = 3 である。

【ステップ1:住民A(第2手番)の最適行動】 住民Aは、政府があらかじめ宣言・決定した政策(「支援する」または「支援しない」)を観察し、自らの利得が最大となる住居選択を行う

  • 政府が「支援する」を選択した場合
    • 危険地域に住む(利得 4)
    • 安全地域に住む(利得 3)
    • 他の街に移転する(利得 2)
    • → 住民Aは利得が最大の「危険地域に住む」を選択する。
  • 政府が「支援しない」を選択した場合
    • 危険地域に住む(利得 0)
    • 安全地域に住む(利得 3)
    • 他の街に移転する(利得 2)
    • → 住民Aは利得が最大の「安全地域に住む」を選択する。

【ステップ2:政府(第1手番)の最適行動】 政府は、自らの宣言に対する住民Aの反応を踏まえて、政府自身の利得が最大となる政策を選択する

  • 政府が「支援する」と宣言した場合:住民Aは「危険地域に住む」ため、政府の利得は 1
  • 政府が「支援しない」と宣言した場合:住民Aは「安全地域に住む」ため、政府の利得は 5

政府にとって利得が大きいのは「支援しない」(5 > 1)であるため、政府は「支援しない」を選択・宣言する

2. 経済学的な帰帰(モラルハザードの防止とコミットメント)

同時手番(①)や住民Aが先手(③)の場合、住民Aが危険地域に住むことを前提として政府は支援せざるを得ず、均衡利得は(政府:1, 住民A:4)にとどまっていた。

しかし本問(④)のように、政府が先に「支援しない」という方針を事前に確立・周知し行動を確定させることで、住民Aの安易な危険地域居住(モラルハザード)を防ぐことができる。その結果、住民Aを自発的に「安全地域」へ移転させ、政府にとって最も高い利得 5 を達成することが可能となる。

問題2:金融政策・自然利子率・インフレ目標・地価バブルのマクロ経済モデル

問題文の要旨

以下の関係式を使って、GDP・実質利子率・名目利子率・インフレ率・地価の関係を考えるマクロ経済モデルを考える。

  • 式1:GDP = 自然産出量 − a ×(実質利子率 − 自然利子率) ※aはプラスの定数
  • 式2(フィッシャー方程式):名目利子率 = 実質利子率 + 期待インフレ率
  • 式3(フィリップス曲線):インフレ率 = 前期に予想した今期のインフレ率 + b ×(GDP − 自然産出量)+ ショック ※bはプラスの定数
  • 式4(適合的期待形成):今期予想する来期のインフレ率 = 今期のインフレ率
  • 式5(地価決定式):地価 = 地代 ÷ 実質利子率(地代の上昇率はインフレ率と等しいと仮定)

自然利子率は1%、中央銀行のインフレ目標は2%とする。

(1) :パラメータ・用語の導出

【問題】

文中の空欄 ア から カ に入る最も適切な数字又は用語を答えなさい。なお、空欄 ア と イ には数字が入り、それ以外には「高」か「低」のいずれかが入る。また、同じ記号には同じ数字又は用語が入る。

【解答】

  • ア : 3
  • イ : -1
  • ウ : 低
  • エ : 低
  • オ : 高
  • カ : 低

【解説】

  • [ ア ]恒常状態において目指すべき名目利子率

問題文の「実質利子率は自然利子率(r* = 1%)に、インフレ率は目標インフレ率(2%)に、GDPは自然産出量 Y* に近づいていく」という恒常状態において、中央銀行が目標とすべき名目利子率を求める。

フィッシャー方程式「実質利子率 = 名目利子率 - 期待インフレ率」より、名目利子率は以下のように表される。

  • 名目利子率 = 実質利子率 + 期待インフレ率

恒常状態では、実質利子率は自然利子率の 1%、期待インフレ率は目標インフレ率の 2% にそれぞれ一致するため、代入すると以下のようになる。

 名目利子率 = 1% + 2% = 3%

したがって、最終的に名目利子率が 3(%) になるよう誘導することで、経済は目標とする恒常状態へと収束していく。

  • [ イ ]ゼロ金利制約下における期待インフレ率の限界値

中央銀行が名目利子率を極限(0%)まで下げたとき、実質利子率を理想的な水準である自然利子率(1%)と等しくできる限界の期待インフレ率を求める。 フィッシャー方程式に「名目利子率 = 0%」「実質利子率(自然利子率) = 1%」を代入する

 1% = 0% − 期待インフレ率

これを解くと、期待インフレ率 = -1(%) となる。 すなわち、期待インフレ率が -1% まで低下した場合、名目利子率を0%にすることで、実質利子率をかろうじて自然利子率(1%)に一致させることができる

  • [ ウ ]と[ エ ]の解説

問題の場面:物価の下落予想(デフレ予想)が強まり、理想の実質金利(1%)に合わせたくても、見た目の金利(名目金利)を0%より下げられない。このままだと景気(GDP)が冷え込んでしまうという局面である。

  • [ ウ ](低くなる)

本当は「実質金利」を理想の1%まで下げて、みんながお金を借りやすくしたい。 しかし、見た目の金利はどんなに下げても 0% が限界(ゼロ金利制約)である。

実質金利 = 名目金利(0%) − 期待インフレ率 であるため、仮に期待インフレ率が 「イ(−1%)」 であれば、0 − (−1) = 1% となりギリギリ理想の1%に届く。

しかし、人々の予想がさらに冷え込み、期待インフレ率が「イ(−1%)」よりも「【 ウ:低 】く(例:−3%)」なってしまうとどうなるか。

実質金利 = 0 − (−3) = 3% となり、本当の負担(実質金利)が 3% まで跳ね上がってしまう。理想の1%より高くなってしまうため、ローンを組む人が減り、景気(GDP)は縮小する。

  • [ エ ](低くなる)

今度は、人々の予想(期待インフレ率)は「イ(−1%)」のままであるとする。 このとき、見た目の金利を 0% にすれば、実質金利 = 0 − (−1) = 1% に調整できる。

しかし、世の中の構造が変化し、景気を維持するために必要な理想の金利(自然利子率)そのものが 1% から「【 エ:低 】く(例:0.5%)」変化してしまった場合を考える。

理想の金利は 0.5% に下がったのに対し、こちらは見た目の金利を0%にしても実質金利は 1% までしか下がらない。 結果として「理想の目標(0.5%)に対して、実際の金利負担(1%)が高い」状態になり、やはり景気(GDP)は冷え込んでしまう。

  • [ オ ]と[ カ ]の解説

問題の場面:建物の家賃(R)は物価と同じペースで動く。このとき「地価(土地の値段 P)」の上昇率は、物価(インフレ率)の上昇率と比べて高くなるか、低くなるかという話である。

  • [ オ ](高くなる)

土地の値段は、「どれくらい家賃が入ってくるか」を「実質金利」で割り引いて決まる(収益還元)。

今、中央銀行が見た目の金利をガッツリ下げて、実質金利を理想よりグッと低く設定できたとする。 実質金利(割り算の分母)が小さくなると、算数のルールで土地の値段(計算結果)は一気に跳ね上がる

つまり、物価が少ししか上がっていなくても、金利が超ウルトラ安くなれば「土地の値上がりスピード(地価上昇率)」は、普通の物価上がり幅(インフレ率)よりも「【 オ:高 】く」なる。

  • [ カ ](低くなる)

逆に、金利を下げる余裕がなく、実質金利が高いまま放置されてしまったとする。

実質金利(割り算の分母)が大きいままだと、土地の値段は押さえつけられて伸びなくなる。 さらに「これからも物価も家賃も上がらない…」とみんなが諦めると、土地を買う意欲は失われる。

その結果、物価が多少上がっていたとしても、「土地の値上がりスピード」は物価の上がり幅よりも「【 カ:低 】く」なってしまう

(2):インフレ率の決定要因(期待インフレ率と需要ギャップ)

【問題】

下線部(A) について、インフレ率が、期待インフレ率が高いほど高く、またインフレギャップ (デフレギャップ) が大きいほど高く(低く)なることについて、その理由を説明しなさい。

【解答例】

インフレ率(πt)が期待インフレ率(E_{t-1}πt)および需要ギャップ(Yt - Y*)に依存する理由は以下の2点である。

  • 期待インフレ率の影響:企業や労働者が将来の物価上昇(期待インフレ率)を予想すると、それを見越して製品の販売価格や給与(賃金)を引き上げる行動をとるため、実際のインフレ率が同等に押し上げられる。
  • 需要ギャップの影響:GDPが自然産出量を上回るインフレギャップ(Yt > Y*)が発生すると、財・サービスに対する需要過剰となって企業は価格を引き上げる。逆にデフレギャップ(Yt < Y*)が発生すると供給過剰となり、企業は価格を引き下げるためインフレ率が低下する。

【解説】

本問は、マクロ経済学における「フィリップス曲線」の仕組みを直感的に理解できているかを問う問題である。

問題文に示されているフィリップス曲線の式は以下の通りである。

インフレ率 = 期待インフレ率 + b × (GDP - 自然産出量)

この式は、「実際の物価の上がり幅(インフレ率)」が2つの要因によって決定されることを示している。

1. なぜ「期待インフレ率が高いほど」実際のインフレ率が高くなるのか?

物価は、世の中の企業や人々(労働者)の「将来の予測」に大きく影響される。

  • 企業の行動:原材料費や人件費が将来上がると予想(期待インフレ率が上昇)すれば、企業は利益を守るためにあらかじめ商品の値段を引き上げる。
  • 労働者の行動:「これから物価が上がる」と予想すれば、生活を守るためにより高い給料(賃金)を要求する。人件費が上がった企業は、それを理由にさらに商品の値段を引き上げる。

このように、みんなが「物価が上がる」と信じること自体が買い急ぎや価格改定を引き起こし、予想が自己実現する形で実際のインフレ率が高くなるのである。

2. なぜ「インフレギャップ(デフレギャップ)」によってインフレ率が変化するのか?

これは単純な「世の中のモノの需給バランス(売り手市場か買い手市場か)」の話である。

  • インフレギャップ(GDP > 自然産出量)の場合世の中の需要(買い物や投資)が、国の標準的な供給能力(自然産出量 Y*)を上回っている「超・好景気」の状態である。モノが売り切れ状態になるため、企業は強気で価格を引き上げることができる。その結果、物価の上がり幅(インフレ率)は大きくなる。
  • デフレギャップ(GDP < 自然産出量)の場合世の中の需要が少なく、供給能力があまってしまっている「不景気」の状態である。モノが売れ残るため、企業は客を引き付けようと値下げ競争を行う。その結果、物価の上がり幅は小さくなり、マイナスになればデフレへと向かう。

まとめ

実際のインフレ率は、「みんなの物価予想(期待インフレ率)」という土台の上に、「今の景気の良し悪し(需要ギャップ)」がプラスアルファされて決まる。期待が高まれば土台そのものが底上げされ、景気が良くなれば(インフレギャップ)価格がさらに上乗せされるという二段階の仕組みである。

(3):実質金利低下とインフレ・スパイラルの恐怖

【問題】

下線部(B)について、「名目利子率を、インフレ率の変動と同方向だがより大幅に変動させながら」とある。もし、名目利子率を、インフレ率と同方向だが、それよりも小幅にしか変動させないとすれば、実質利子率、インフレ率、GDPはどのような動向をたどることになるか。期待インフレ率について、正のランダムショック (u_{t-1} > 0) が発生した場合について説明しなさい。

【解答】

期待インフレ率に正のショック(ut-1 > 0)が発生して物価が上昇した際、名目利子率の引き上げ幅をインフレ率の上昇幅より小幅に留めると、以下の動向をたどる。

  • 実質利子率:フィッシャー方程式(実質利子率 = 名目利子率 - 期待インフレ率)より、名目利子率の引き上げが物価上昇スピードに追いつかないため、実質利子率は低下(低下・低下傾向)する。
  • GDP:実質利子率の低下により資金調達コストが下がり、投資や消費が刺激されるため、インフレギャップが拡大してGDPは増大(拡大)する。
  • インフレ率:GDPの増大(需要過剰)によってフィリップス曲線に基づきインフレ率はさらに加速する。それに対して金融引き締め(利上げ)が不足し続けるため、実質利子率の低下と景気過熱が繰り返され、最終的にインフレ率はスパイラル的に暴走(発散)する。

【解説】

本問は、マクロ経済学・金融政策における最重要ルールである「テイラー原則(テイラールール)」が守られなかった場合に何が起きるかを問う問題である。

中央銀行が「物価が1%上がったから、金利(名目利子率)も0.5%だけ上げておこう」と生ぬるい利上げをしてしまうと、経済がとんでもない大惨事(ハイパーインフレ)に陥るプロセスを紐解いていく。

1. なぜ「インフレ率より小幅な利上げ」だと実質金利が下がるのか?

世の中のお金の借りやすさを決めるのは、見た目の金利ではなく「実質金利」である。

実質金利 = 名目金利(見た目の金利) - インフレ率(物価の上昇率)

今、物価上昇の波(正のショック)が来て、インフレ率が +2% 飛び跳ねたと想定する。このとき、中央銀行が焦って名目金利を上げたものの、様子見をして +1% しか上げなかったとする。

計算してみると、どうなるか。

  • 変化後の実質金利 =(元の名目金利 + 1%) -(元のインフレ率 + 2%)
  • =(元の実質金利) - 1%

見た目の金利を引き上げた(利締めした)にもかかわらず、物価の上昇速度に負けているため、実質金利は引き下げ(金融緩和)されたのと同じ状態になってしまうのである。

2. 実質金利の低下が引き起こす景気加熱(GDPの増大)

実質金利が下がると、企業や個人はこう考える。

「物価が上がっているのに金利が安い!今ローンを組んで設備投資やマイホームを買った方が絶対お得だ!」

こうして世の中のお金回りが一気に良くなり、みんながお買い物を始めるため、GDP(需要)はどんどん増大していく(インフレギャップの拡大)。

3. 終わらないインフレ・スパイラル(発散のメカニズム)

GDPが増大して「超・好景気(モノ不足)」になると、フィリップス曲線のルールに従って、インフレ率はさらにドカンと跳ね上がる。

  1. インフレ率がさらに上がる。
  2. 中央銀行がまた生ぬるい利上げ(インフレ率未満の利上げ)をする。
  3. 実質金利がさらに下がり、景気がさらに熱狂してGDPが増える。
  4. 物価がもっと上がる。

この「実質金利の低下 → 景気爆発 → さらなる物価高騰」という地獄のループ(悪循環)から抜け出せなくなり、最終的に物価の暴走(発散)を引き起こすのである。

まとめ

インフレを抑え込むためには、「物価が上がった分以上に、名目金利をドカンと大きく引き上げる(テイラー原則)」ことで、実質金利を強引に引き上げ、景気を冷やさなければならない。

利上げの手加減をすると、かえって実質金利が下がってしまい、インフレの炎に油を注ぐ結果になるということを示している。

(4):日本経済における実証分析(ゼロ金利制約・デフレ下の地価下落)

【問題】

近年の日本において、下線部(C)「名目利子率に引き下げの余地がなく、しばらくゼロかそれに近い水準に置くとしても、実質利子率が自然利子率と同じか、それよりも高くなってしまうような場合には、地価上昇率はインフレ率よりも低くなる可能性がある」のような時期はあっただろうか。以下の図1と図2を参考に、説明しなさい。

図1 消費者物価指数と都道府県地価調査の推移(2005年〜2025年)
出典:国土交通省「都道府県地価調査」、総務省統計局「消費者物価指数」より作成
図2 名目利子率の推移(2005年〜2025年)
出典:財務省「国債金利情報」より作成

【解答】

近年の日本において、下線部(C)に該当する時期は存在した。具体的には2000年代半ばから2012年頃(特に2008年のリーマンショック後から2011年頃)である。

  • 物価以上の地価下落(図1の分析):名目利子率を下げる余地がなく高止まりした実質利子率が重しとなり、図1における全用途・全国平均地価上昇率は前年比マイナス4%からマイナス5%程度まで大幅に下落し、消費者物価指数(インフレ率)を大きく下回る状況が続いた。利の引き下げ余地がなくなり、デフレによって実質金利が高止まりした結果、地価が物価以上に大きく下落・低迷した時期が存在したと言える。
  • ゼロ金利制約と実質利子率の高止まり(図2の分析):図2を参照すると、この時期の1年物短期国債金利(名目利子率)はほぼ0%に張り付いており、金利引き下げの限界(ゼロ金利制約)に直面していた。一方、図1の消費者物価指数(インフレ率)は0%前後からマイナス(デフレ)で推移していたため、フィッシャー方程式(実質利子率 = 名目利子率 - インフレ率)より、実質利子率はプラス圏で高止まりした。

【解説】

本問は、問題2の理論モデルが「現実の日本の経済データ(グラフ)とピッタリ一致しているか」を検証する実証問題である。

問題文が示している下線部(C)の条件は、以下の3つである。

  • 条件1:名目金利(見た目の金利)がゼロ近くに張り付いていて、これ以上下げられない(ゼロ金利制約)。
  • 条件2:物価が上がらない(デフレ)せいで、実質金利が高いまま高止まりしている。
  • 条件3:その結果、土地の値上がり率(地価上昇率)が、普通の物価上がり率(インフレ率)よりも低く落ち込んでいる。

与えられた2つのグラフ(図1・図2)から、この3条件が重なっている期間を探し出すのがポイントである。

1. 図2(金利データ)から条件1「ゼロ金利」を探す

まず、政府や中央銀行が金利を下げられなくなっている時期を図2から探す。

  • 図2の「1年物国債金利(点線)」を見る グラフの横軸「2005年〜2012年頃」を見ると、1年物の金利(短期金利)はほぼ 0%のラインにベッタリ張り付いている ことがわかる。 これが「名目利子率に引き下げの余地がない(ゼロ金利制約)」状態である。

2. 図1(物価データ)から条件2「実質金利の高止まり」を確かめる

次に、そのときの物価(インフレ率)を図1で確認する。

  • 図1の「消費者物価指数(実線)」を見る 2008年のリーマンショック以降(2009年〜2011年頃)、実線は0%を下回り、マイナス(デフレ)へ落ち込んでいる。

ここで実質金利の公式を計算してみる。

  • 実質金利 = 名目金利(0%) - インフレ率(マイナス) = プラス

金利を0%まで限界まで下げているのに、物価がマイナス(デフレ)になっているせいで、実質金利がかえって高止まりしてしまうという悲惨な現象が起きていたのである。

3. 図1(地価データ)から条件3「地価の暴落」を確認する

最後に、高い実質金利が土地の値段にどう影響したかを図1で確認する。

  • 図1の「全国平均地価(破線)」を見る 2008年〜2011年頃の破線を見ると、前年比で マイナス4%〜マイナス5% という強烈な下落を見せている。 消費者物価指数(実線:マイナス1%前後)と比べても、地価(破線)の方がはるかに大きく落ち込んでいる ことが一目瞭然である。

まとめ

2000年代半ばから2012年頃の日本(特にリーマンショック後)は、「金利を0%まで下げてもデフレのせいで実質金利が高止まりし、そのせいで土地の値段が物価以上に大幅下落した」という、まさに下線部(C)そのものの時代だったのである。

図1・図2(問題2(4)参考資料)