こんにちは。不動産投資をしている藤本紗帆です。
リフォームできた!いよいよ入居者募集!というときに考えておくべきことは、特約はどうするのか?ということです。
賃貸契約書自体は仲介業者ごとにひな形がありますが、特約事項については大家が考えて追加することになります。
この記事では、賃貸契約書に書かれていなかったとしても、盛り込んでおくといい特約事項について、例文も合わせて紹介します!
一般特約
修繕に関すること以外の特約について、定番のものを紹介します。
短期解約違約金について
短期解約違約金とは、短期間で退去するのを防ぐための特約です。
仲介業者のもともとの契約書の文言に入っている場合もあり、
「1年未満の解約の場合は家賃1か月分の短期解約違約金が発生する」という条項が多いです。
下の例文では、少し厳しめの1年未満の退去で家賃2か月分の支払いとしました。
・乙は本契約締結後、1年未満の解約の場合は短期解約違約金として賃料、管理費合計2か月分相当額を事前に本物件明け渡しまでに甲へ支払わなければ本契約を解約できない。
家賃1~2か月程度であれば「現状では」多くが認められているようですが、今後は認められなく可能性もあるので、注意が必要です。
また、ボロ物件専門大家の脇田雄太さんは以下のように設定しているそうです。
・本物件の賃料は借主が長期間の入居を約束することを前提に低く設定しているため、万が一、下記の期間内に、借主都合により本契約及び更新契約を終了する場合は以下の短期解約違約金を借主は貸主へ支払うものとする。 ・初回賃料発生日より3ヶ月以内の解約:賃料の6ヶ月分 ・初回賃料発生日より6ヶ月以内の解約:賃料の5ヶ月分 ・初回賃料発生日より1年以内の解約:賃料の4ヶ月分 ・初回賃料発生日より2年以内の解約:賃料の3ヶ月分 ・初回賃料発生日より3年以内の解約:賃料の2ヶ月分 ・初回賃料発生日より4年以内の解約:賃料の1ヶ月分
カギ交換費用について
カギ交換費用は、国交省が出しているガイドラインに「貸主が負担するのが妥当」と明記されています。
ただし、借地借家法の強行規定にはありませんので、契約書に特約として「借主が負担すること」とする事が可能です。
この話題はTwitterでも一時議論になっていました。
借主に負担してもらうとしても、トラブル防止のため「交換時期と金額」を明記しておきましょう。
・防犯の観点から、ご入居時にシリンダー交換(税込み〇〇円 )を賃借人負担で行うものとする
賃借人の名義変更について
賃借人の名義を変更する際に家賃1か月分を請求します。
必須でもないですが、実際に手続きとなると手間がかかりますので入れておきましょう。
・乙は賃貸借名義人を変更して継続利用する場合は名義変更事務手数料として家賃1か月分相当額を支払わなければならない
出張料について
家賃滞納の督促や鍵の紛失等、入居者の不手際で行くことがあった際の出張料について書いておきます。
・家賃滞納による督促や乙の故意、過失による鍵の紛失、トイレのつまり等で本物件に訪問する際は出張料として1回につき5,000円を甲または管理会社へ支払わなければならない。
残留物の撤去について
退去したあとに万が一残留物があった場合の処分についてです。
本契約条文により甲より契約が解除なされた場合、甲の定める一定期間内に乙が本物件内の残留物を撤去しない場合は、乙は所有権を放棄したものとし甲は当該残留物等を自由に処分できるものとする。乙は甲の処分に対し、処分費用を負担し一切の苦情・申し立てはできない。
「大切な物があったんですけど、どうしてくれるんですか?」と損害賠償請求されないように、忘れず設定しておきましょう。
更新料について
更新料を取る場合は、必ず明記しておきます。
私は更新料を払う月が引っ越しを考えるきっかけになってしまうので、更新料はもらっていません。
・乙は、更新月に更新事務手数料として5,000円(税別)を甲または管理会社へ支払うこと。
ペット飼育、石油ストーブ、転貸などの禁止事項
ペットの飼育などの禁止事項については賃貸契約書に書かれてあることが多いです。
以下のような禁止事項が賃貸契約書自体になく、気になるものがあれば特約で追加しておくといいでしょう。
(禁止事項) 乙は、本物件の使用に当たり、次に掲げる行為を行ってはならない。 ・銃砲、刀剣類または爆発性、発火性を有する危険な物品等を製造又は保管すること。 ・大型の金庫その他の重量の大きな物品等を搬入し、又は備え付けること。 ・排水管を腐食させるおそれのある液体を流すこと。 ・昼夜問わず大音量でテレビ、ステレオ等の視聴をしたり、ピアノ等の楽器の演奏を行うこと。 ・犬・猫等のペット及び猛獣、毒蛇等の近隣に迷惑をかける動物の飼育、又は一時的持ち込み。 ・本物件の増築、改築、改造もしくは模様替又は本物件の敷地内における工作物の設置を行うこと。 ・建物の外観を損い避難の障害となる物品をバルコニーに設置または掛けること。 ・鍵、錠の改変又は追加等により、本物件の管理業務に支障を及ぼす行為。 ・本物件を反社会的勢力の事務所その他の活動の拠点に供すること。 ・本物件または本物件の周辺において、著しく粗野若しくは乱暴な言動を行い、又は威勢を示すことにより、付近の住民又は通行人に不安を覚えさせること。 ・石油ストーブの持込み及び使用すること。 ・その他、公序良俗に反する行為、本物件に損害を与える行為。 ・賃借権を譲渡し、もしくは本件建物を転貸すること。
修繕特約
修繕費に関わることについては、退去の際にトラブルにならないように明記しておきます。
国交省の「原状回復とトラブルを巡るガイドライン」が指針となります。
修繕費がかかる具体的な場所(タバコのヤニなど)
修繕費については、具体的に書いてあるほうが、入居者はイメージしやすいです。
次に掲げる事項は乙の費用負担が発生します。 ・タバコのヤニ、お香によるクロスの変色及び故意、過失によるクロスの傷、破れ、着色。 ・ボルト、くぎ、ねじ穴の補修。 ・重量物やキャスター付椅子等による床材や壁に対する傷、へこみ等。 ・水道のパッキン交換や水洗トイレ内のボールタップ等の調整。 ・換気や拭き取り等の手入れを怠った為のクロスのカビ、床材の腐食。 ・キッチン壁面のコゲ、未清掃による換気扇、グリル、コンロ等の油汚れ。 ・照明器具についている電球、蛍光灯、グローランプ等。 ・タバコのヤニや未清掃によるエアコンフィルターの清掃・交換。 ・畳、襖、障子、網戸、硝子の交換は一枚単位とします。
修繕の㎡単価などを出来るだけ細かく明記することが望ましいです。
ペットを飼っていた場合のリフォーム代
ペット不可の物件でペットが飼われていた際の、修繕費に関する文言は修繕特約に盛り込んでおきましょう。
・甲に無断で乙がペットを飼育していた場合は、約定違反及び善管注意義務違反として甲が必要と判断した当該貸室の全リフォーム費用を負担していただきます。
退去時のハウスクリーニング代について
ハウスクリーニング代についても、はじめに費用を明確にしていたほうが親切です。
・乙は、退去時に入居期間に問わず下記の室内ルームクリーニング代を甲に支払うこと。 退去時清掃代40,000円(税別)
もちろん、「著しく借り手に不利な文言としないこと」は重要です。
100万円とかダメですよね。「㎡/1,000円」など、根拠のある数字にしておくべきでしょう。
善管注意義務について
「善管注意義務」とは、善良なる管理者の払うべき注意義務を言います。
賃借人への注意喚起含め、具体的に文言を盛り込んでおくといいと思います。
・こまめに空気の入れ替えや清掃を行い、居室内を清潔に保つこと。建物の不具合や事故による以外の、カビ、汚損の発生は善管注意義務違反として、賃借人負担による原状回復を行う事とする。
まとめ
これまでの特約をまとめると以下のようになります。
特約はA4サイズ1枚で収まるようにするといいですね。
特約条項 1 一般特約 ①乙は本契約締結後、1年未満の解約の場合は短期解約違約金として賃料、管理費合計2か月分相当額を事前に本物件明け渡しまでに甲へ支払わなければ本契約を解約できない。 ②乙は賃貸借名義人を変更して継続利用する場合は名義変更事務手数料として家賃1か月分相当額を支払わなければならない ③家賃滞納による督促や乙の故意、過失による鍵の紛失、トイレのつまり等で本物件に訪問する際は出張料として1回につき〇〇円を甲または管理会社へ支払わなければならない。 ④本契約条文により甲より契約が解除なされた場合、甲の定める一定期間内に乙が本物件内の残留物を撤去しない場合は、乙は所有権を放棄したものとし甲は当該残留物等を自由に処分できるものとする。乙は甲の処分に対し、処分費用を負担し一切の苦情・申し立てはできない。 ⑤乙は、更新月に更新事務手数料として〇〇円(税別)を甲または管理会社へ支払うこと。 2 修繕特約 次に掲げる事項は乙の費用負担が発生します。 ①タバコのヤニ、お香によるクロスの変色及び故意、過失によるクロスの傷、破れ、着色。 ②ボルト、くぎ、ねじ穴の補修。 ③重量物やキャスター付椅子等による床材や壁に対する傷、へこみ等。 ④水道のパッキン交換や水洗トイレ内のボールタップ等の調整。 ⑤換気や拭き取り等の手入れを怠った為のクロスのカビ、床材の腐食。 ⑥キッチン壁面のコゲ、未清掃による換気扇、グリル、コンロ等の油汚れ。 ⑦照明器具についている電球、蛍光灯、グローランプ等。 ⑧タバコのヤニや未清掃によるエアコンフィルターの清掃・交換。 ⑨畳、襖、障子、網戸、硝子の交換は一枚単位とします。 ⑩甲に無断で乙がペットを飼育していた場合は、約定違反及び善管注意義務違反として甲が必要と判断した当該貸室の全リフォーム費用を負担していただきます。 ⑪乙は、退去時に入居期間に問わず下記の室内ルームクリーニング代を甲に支払うこと。 退去時清掃代40,000円(税別)
転ばぬ先の杖だと思って、気になるところは追加しておきましょう。
また、入居の前にはカギ交換をしておきます。
鍵交換のDIYはこちらの記事で解説しています。▼
また、火災報知器の設置を大家がしないなら、入居者には事前に知らせておくべきです。▼
また、賃貸管理会社を選ぶ際は、賃貸管理くんを使えば大手から地元の不動産会社まで最大6社までの見積りがでできて便利です。
読んで頂きありがとうございました。