不動産を貸したときの税金

賃料などには所得税・住民税がかかります。

その他の税金も含めて、収支計画に盛り込んでおく必要があります。

今回の記事では、不動産賃貸に関わる税金について解説します。

不動産投資では税金の知識も欠かせない

年に一度、確定申告が必要になる

不動産を貸して得た賃料から必要経費を差し引いた利益(不動産所得)には、税金(所得税と住民税)がかかり、1年に一度確定申告により納めます。

税額は、給与などほかの所得と合計する総合課税という方法で計算します。

お金の出入りは帳簿につける

不動産賃貸にかかわる税金を正しく計算して納めるには、お金の出入りを把握するため帳簿をつける必要があります。

そのため、不動産賃貸の入出金用も口座は生活費の口座とは別にする、かかった費用の領収書はきちんと整理して保存しておく必要があります。

私は領収書を封筒に入れて保管しています

さらに帳簿に複式簿記を採用して青色申告をすれば、さまざまな税金軽減の方法を使えるようになります。

複式簿記:取引を貸方と借方の2つの面から記帳することで(仕訳)、単なるお金の増減だけでなく、事業の財政状態までわかるようにする帳簿の方法。

不動産所得 〜家賃などの利益はほかの所得と合計する〜

収入から必要経費を差し引ける

不動産の賃料は、必要経費を差し引いた上で、不動産所得として課税されます。

必要経費とは、固定資産税などの税金や建物の損害保険料、不動産会社に管理を依頼した場合の管理費、建物の修繕費などです。

必要経費が収入を上回る場合は税金がかからないことになります。

不動産所得は、ほかの所得(給与所得、事業所得、雑所得など)と合計した金額(総所得金額)に課税されます。

赤字なら損益通算ができる

不動産所得が赤字になった場合は、その金額をほかの所得の黒字から差し引くことができます。

赤字の分だけ総所得金額が少なくなるため、かかる税金は少なくなります。

これを損益通算といいます。

不動産所得の税金は、翌年の3月15日までに確定申告により納めます。

減価償却 〜建物の購入費などは毎年少しずつ経費にしていく〜

賃貸する建物など一定の資産は、減価償却が必要となります。その対象と計算方法を押さえておきましょう。

土地は減価償却の対象外

不動産賃貸のためにかかった費用は、通常全額がその年の必要経費となります。

しかし、長期にわたって使用してその価値が次第に減っていくような資産については、その取得費用を一定年数(使用可能期間)に分けて必要経費にしていきます。

これを減価償却といい、減価償却の対象となる資産を、減価償却資産といいます。

不動産の場合は、建物やその付属設備などが減価償却資産となります。

土地は年月が経っても価値が減るものではないため、減価償却の対象外です。

減価償却を行う一定年数(使用可能期間)を耐用年数といい、資産の種類ごとに定められています。

耐用年数から算出された「償却率」を掛けた金額が、毎年の必要経費(減価償却費)となります。

減価償却には2つの計算方法がある

減価償却の計算方法には、毎年一定額ずつ償却する「定額法」と、毎年同じ割合を償却する「定率法」(償却金額は最初のうちは多く、次第に減っていく)があります。

建物と平成28年4月以降に取得した付属設備、看板などの構築物は定額法と決められています。

その他の減価償却資産は、事前の申請によりどちらかを選べます。

申請をしない場合は自動的に定額法となります。

なお、建物本体の取得費用と建物の付属設備費用の減価償却は別に計算します。

定額法:取得価額×償却率=その年の減価償却費
定率法:(取得価額ー前年度までの償却費)×償却率=その年の減価償却費

(注・1年未満の端数は切り捨て。)

なお、中古住宅を購入して貸す場合は、以下のような計算になります。

耐用年数が残っている建物→(耐用年数ー築年数)+築年数×0.2
耐用年数を過ぎた建物→耐用年数×0.2

減価償却の計算がよくわからなくても、確定申告の際にe-taxで取得価額や築年数を入力すれば自動で計算されます。

修繕費・資本的支出 〜大きな修繕は減価償却の対象となることも〜

修繕にかかった費用は、修繕費と資本的支出に区別します。

資本的支出には減価償却が必要です。

資本的支出となるケースに注意

建物や設備は事故などで壊れたり、年月が経過すれば傷んだりします。

そのため、修繕や定期的なメンテナンスが欠かせません。

修繕やメンテナンスにかかった費用は、修繕費として必要経費になります。

注意が必要なのは、工事の名目によらず、修繕により元の状態より価値が高くなったり、使用期間が延びたりした場合、その部分の費用は修繕費ではなく資本的支出となることです。

資本的支出に該当する費用は、全額をすぐ必要経費にできず、取得したときの金額に加えて減価償却していきます。

金額で判断することもできる

たとえば、外壁の塗装を同じ塗料で塗り直すだけなら修繕費ですが、防水加工などの機能をつけ加えると、その部分は資本的支出となります。

修繕方法や内容により扱いが変わるます。

ただし、あきらかに資本的支出であっても、かかった費用が20万円未満か、おおむね3年以内の間隔で定期的に行っている修繕なら、修繕費として扱うことができます。

また実際には、修繕費資本的支出をはっきり区別するのは難しいことが多くあります。

そのため、支出金額が60万円未満、または前年末の取得価額の10%以下であれば修繕費にできるなど、金額による判断もできるようになっています。

修繕積立金大規模修繕に備えるためマンションなどで支払う修繕積立金は、管理規約で定められた長期修繕計画に基づく妥当な金額なら、毎年の必要経費にできます。

事業税 〜賃貸マンション10室以上などは事業税を納める〜

不動産所得が290万円超で規模が一定基準であれば、都道府県に事業税を納めることになります。

不動産賃貸なら税率5%

不動産賃貸など個人で事業を始めると、所得税・住民税とは別に税金がかかることがあります。

都道府県に納める事業税(個人事業税)です。税率は3〜5%で業種により異なります。

不動産賃貸なら税率は5%です。

賃貸の規模が一定基準以上の場合に、事業税の課税対象になります。

住宅なら一戸建て10棟以上、マンション10室以上などです。

(異なる種類の不動産がある場合は、すべて合計で10以上など)

基準は都道府県により若干異なることもあります。

対象となる不動産賃貸の例
建物・一戸建て10棟以上
・アパートやマンションなど10室以上
住宅以外は、独立家屋5棟以上または独立家屋以外10室以上。
土地・契約件数10件以上
・貸付総面積2000㎡以上
住宅用地以外は契約件数10件以上
駐車場柱や屋根などの建築物がある。(コインパーキングなど)建築物がない場合は駐車可能台数が10台以上
注・上記未満でも、貸付面積や賃料収入により課税される場合がある。また、都道府県により基準は多少異なる。

ただし、事業税には290万円の事業主控除が設けられています。そのため不動産所得が290万円以下の年は事業税がかかりません。

事業をはじめて1年未満の場合は、290万円の月割り額が控除されます。

なお、事業税の計算で使う不動産所得は、青色申告特別控除を差し引く前の金額で計算します。

事業税は必要経費になる

事業税は、確定申告書をもとに税額が計算されて、都道府県税務署から8月ごろに納付書が送られてきます。

原則として、8月と11月の2回に分けて納付します。

納めた事業税は、翌年の確定申告の際に必要経費にできます。

賃貸時の消費税 〜建物の用途や売上金額で課税/非課税が分かれる〜

不動産賃貸も、売上が一定以上なら消費税を納めることになります。

計算方法などの基本を押さえておきましょう。

不動産賃貸には消費税の知識も必要

事業では、取引の中で消費税を支払ったり、受け取ったりすることになります。

原則として、受け取った(預かった)消費税額から支払った消費税額を差し引いた金額を、申告により納めます(課税事業者)。

支払った消費税のほうが多ければその差額が還付されます。

ただし、基準期間(個人の場合、原則として前々年の1年間)の課税売上高(消費税対象外の取引を除いた売上金額)が1000万以下なら納税義務は免除されます(免税事業者)。

不動産賃貸では、店舗や事務所、駐車場などの賃料に消費税がかかりますが、居住用の建物の賃料にはかかりません。

また、土地を貸す場合、更地については非課税です。

消費税の計算は簡略化できる

消費税を納める課税事業者は、事業上のすべての取引については、課税か非課税かなどを区別の上、受け取った消費税はと支払った消費税を集計して、その差額を納めます(原則課税)。

個人事業者などにはこの計算負担が大きいため、課税売上高が5000万円以下なら、受け取った消費税から課税売上高に一定割合(みなし仕入率)を掛けた金額を差し引く簡易課税という方法も選べます。

こうした計算により消費税の確定申告書を作成して、翌年3月31日までに申告・納付します。

まとめ

不動産を貸すときにも、税金の知識は欠かせません。今回の記事では、

  • 不動産所得
  • 減価償却
  • 修繕費・資本的支出
  • 事業税
  • 消費税

について解説しました。正しい知識を少しずつ身に着つけていきましょう。

不動産を購入したとき・持っているときの税金の知識についてはこちらの記事もどうぞ▼

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