不動産取引で使われる「指値」とは「売主へ意思表示する買主の買いたい価格」のことです。
この記事では、一般的に使われている指値の方法を7つ紹介します。
割引率による指値
割引率による指値とは、指値の金額を一定の割合で決まる方法です。
例えば、「一般的な不動産売買では売値の10%までは指値の限度」と言われます。
割引率には特段の根拠はなく、不動産取引の慣習で決まっています。
また、叩き売りしなければならない物件を「半値八掛でも売れない」ということもあります。
5割引の8割も経験則に基づくもので、根拠はない場合が多いです。
古くから不動産業界で使われてきた方法であり、割合をただ掛けるだけです。
しかし、割合に根拠が乏しい場合が多いため、売主からすると単に買い叩かれている気持ちがするだけで、納得感のない場合が多くなります。

物件のダメ出しによる指値
物件のダメ出しによる指値は、物件の欠点の程度に応じて指値の金額を決める方法です。
買主側からすると使いやすい方法ですが、売主からすると物件のアラを指摘されるのは面白くありません。
売却の理由はさまざまですが、愛着のある物件の悪いところばかりを指摘されて共感を覚える売主はいません。
買主が売主よりも強い立場にあるときは強力な方法ですが、売主が買主と対等以上の場合には成功しにくい方法です。

修繕費用を根拠とする指値
修繕費用の見積もりをとり、その金額を指値の根拠とする方法もあります。
専門の業者に見積もりを取っている場合には、先ほどの2つの指値よりも合理的根拠にもとづいています。
ただし、修繕費用を売主が負担する場合や、売値が修繕費用を差し引いた金額と主張された場合にはこの方法は使えません。
また、見積もりをとるにはある程度の時間や売主の協力も必要になるため、常に使える方法ではありません。

買える金額を根拠とする指値
- 現金で買えるほどの資金力がある
- 金融機関の融資の承認がおりている
など、売主に指値の金額で購入できることを示し、すぐに買えることをアピールする方法もあります。
売主はすぐに売れるのであれば多少の値引きには応じようとします。
ただし、人気の物件は満額で買付が何本も入り、売値以上の金額で買い上がらないと買えないこともあるため、その場合には使えない方法です。

感情に訴える指値
売主に直接手書きの手紙を送るなど、売主の感情に訴えかけて、共感を覚えてもらう方法もあります。
人間は物を売ったり買ったりするとき、判断は常に感情に左右されます。
売主は同じ売却をするならば自分が共感できる相手に売却したいものです。
つまり、売主に気に入ってもらえれば指値などの交渉を有利に進めることができます。
この方法で割安な物件を数多く取得している不動産投資家もいます。
不動産取引は高額な取引になるため、信頼関係や売主と買主の人間性が重要になることも多いです。

積算価格に基づく指値
「積算価格」を根拠とする指値は、合理的なロジックで指値の金額を決定しているため、売主からしても納得しやすい方法です。
積算価格の求め方についてはこちらの記事で解説しています。▼
ただし、収益不動産の場合は収益価格が市場価格となる場合が多いため、積算価格をそのまま指値の根拠とするのは難しいこともあります。
収益価格に基づく指値
「収益価格」に基づく指値は、合理的で積算価格と同様に売主からしても納得しやすいです。
収益価格は、実質利回りから算出されますが、実際に物件を運用してみないとわかりません。
そこで、金利が6%まで上昇したときにキャッシュフローがマイナスにならないかを分析するという方法で計算してみましょう。
純収益(NOI)ー金利6%のローン返済額>0
- 借入期間は「耐用年数ー経過年数」とする
- 「借入金額=収益価値=購入価格」とする
- 「純収益(NOI)=満室想定賃料✖️0.8(空室20%)✖️0.8(経費20%)」とする
まとめ
この記事では収益物件の指値の方法について解説しました。
オススメの指値の方法は、積算価格と収益価格を比較し、いずれか低い価値を指値の金額とする方法です。
地方の物件や築古の物件にはあてはまらないことが多いですが、参考にしてください。
私の指値の考え方はこちらの記事でも解説しています。▼
読んでいただきありがとうございました。