外壁塗装に用いる塗料は、国内三大メーカー(日本ペイント、関西ペイント、SK化研)だけでも数多くの種類があります。
家にあった外壁の塗料選びのために、最低限の知識を持っておくことが必要です。
この記事では外壁塗料の種類や耐久性について解説します!
5つの塗料の種類と耐久性
現在住宅に使われている塗料は大きく5つに分類することができ、耐久性が高いほど高額になります。
アクリル塗料(耐用年数5〜8年)
アクリル塗料は主成分である合成樹脂がアクリル系の塗料です。
透明で色をくっきり鮮やかに出す効果があります。
軽量・低価格で重ね塗りができ、短いサイクルで色を塗り替えることができます。
かつては広く利用されていましたが、汚れやすくひび割れが起きやすいため、最近は新築の物件以外では使われなくなっています。
こまめに塗り替えたい場合には使い勝手がいい塗料です。

ウレタン塗料(耐用年数8〜10年)
ウレタン塗料は主成分である合成樹脂がウレタン系の塗料です。
アクリル塗料より防水性、耐久性が向上し、塗膜が柔らかく仕上がることから、さまざまな素地として使用されています。
密着性はシリコン系やフッ素系よりも優れているので、塗装の剥がれなどを補修するのにも適しています。
価格や性能のバランスが良く、コストパフォーマンスに優れた塗料です。
シリコン塗料(耐用年数10〜15年)
シリコン塗料は主成分の合成樹脂がシリコン系の塗料です。
ウレタン塗料よりも耐久性が高く、外壁塗装では主流となっています。
長い目で見れば、耐用年数が長いぶんだけ塗り替えの頻度が減るのでトータルでは工事費が安く済みます。

フッ素系塗料(耐用年数15〜20年)
フッ素系塗料は主成分である合成樹脂がフッ素系の塗料です。
塗膜の寿命が非常に長く、その他にも耐熱性、耐寒性、低摩擦性、不燃性など数多くの特徴があります。
しかし現時点では非常に値段が高いため、一般の住宅ではあまり使われていません。
耐熱性を活かして屋根の塗装などに使われている程度です。
将来値段が下がれば主流の塗料となるでしょう。
無機塗料(耐用年数20年以上)
「無機」というのは炭素を含まない化合物のことです。
アクリルやシリコン、ウレタンなどは人工的に作られた樹脂が主成分の有機塗料です。
これに対して無機塗料はガラスや鉱石のように紫外線で分解されません。
無機塗料の原料はガラスやセラミック、ケイ素が主成分ですが、実際には有機物質を混ぜた混合塗料です。
無機物質だけだと乾燥した際に塗膜にヒビが入ったり割れたりするためです。
無機塗料は耐久性・耐候性・耐汚染性・不燃性に優れており、汚れを雨水で流し落とすことができます。
現時点では最高級の塗料であり、それだけに非常に高価です。
塗料は分類するとキリがない
現在、戸建ての塗り替えに使われる塗料はウレタンやシリコンがほとんどです。
ただ、シリコン塗料でも1缶1万円以下のものから5万円を超えるものまでピンきりです。
また、それぞれ溶剤タイプか水性タイプ、硬質タイプか弾性タイプ、薄塗りタイプか厚塗りタイプがあります。
それ以外にも、低汚染性・防カビ性・防藻性・透湿性・断熱性などの性能も考えて分類するとキリがありません。
塗料名 | 特徴 | 耐用年数 |
アクリル塗料 |
|
5〜8年 |
ウレタン塗料 |
|
8〜10年 |
シリコン塗料 |
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10〜15年 |
フッ素塗料 |
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15〜20年 |
無機塗料 |
|
20年以上 |
さまざまな次世代塗料
最近では、美観や防水性の向上のほかにも、さまざまな機能をもつ次世代塗料が登場しています。
たとえば、「遮熱塗料」は太陽熱をはじいて外壁・屋根の温度を下げる効果があります。
また、「光触媒塗料」は太陽光で汚れを浮かせて雨によって洗い流して汚れをつきにくくする効果があります。
防汚性にこだわるなら「低帯電性」「親水性」も検討
塗膜表面に風が吹き付けることによって摩擦が生じ、静電気が発生します。
この静電気がホコリを吸い寄せてしまいます。
そこで各塗料メーカーは「低帯電性」の塗料を発売しています。
塗料と汚れは油性どうしで合体しやすいですし、塗膜は雨水を弾くので雨水によって汚れが洗い流されることはありません。
そのため、「親水性」の塗料を使えば汚れがつきにくくなります。
「セラミック塗料」に注意
セラミック樹脂塗料というのは存在しません。
「セラミックを含ませた塗料」と言い方が正しいです。
セラミックは親水性で汚れを目立ちにくくしますが、塗膜が全部親水性になるわけではありません。
塗料の中にどのくらいセラミック成分が入っているかも分かりませんので、汚れの防止の効果は未知数です。
塗料の寿命はその樹脂(アクリル・ウレタン・シリコン・フッ素)によって決まるため、セラミック塗料だから長持ちするというわけではありません。
促進耐候性試験の基準も参考に
塗料のカタログに載っているJIS規定の促進耐候性試験の基準も参考にしましょう。
塗膜に機会でダメージを与え続けて、何時間劣化せずに耐えられるか調べたものです。
「耐候型1種」が最低でも10年持つと言われており、一番長持ちします。
- 2,500時間耐えられる塗料:「耐候型1種」
- 1,200時間耐えられる塗料:「耐候型2種」
- 600時間しか耐えられない塗料:「耐候型3種」
悪質業者のやり口
優良でない施工業者の手口について解説します。
塗料を規定以上に薄めて使う
ほとんどの塗料は塗る前に少し薄めて使います。
水性の場合は水、溶剤系の場合はシンナーなどで薄めます。
各塗料メーカーが、塗料ごとに最適な希釈率(薄める割合)を決めています。
ところが、規定以上に薄めて使う悪質業者も存在します。
規定以上に薄めれば、塗料の量が増えてそのぶん塗料が節約できます。
また、塗料の粘りが少なくなり、早く塗ることができるため職人さんはラクです。
こんな手抜き工事では塗料本来の性質が発揮できず、耐用年数も短くなってしまいます。
「自社開発の塗料があるから、安くできますよ」
「一般のものよりも優れた自社開発の塗料があるから、安くできる」と勧誘してくる訪問営業の会社もあります。
しかし、ほとんどの場合はOEM(納入先ブランドによる受託製造商品)で、自社開発とは言えないものだったりします。
OEMの塗料が悪いわけではないですが、それを自社開発と謳っていることに問題があります。
まとめ
この記事では外壁塗料について解説しました。
物件にあった塗料選びにために最低限の知識をつけておきましょう!