不動産の購入にともない必要になる様々なお金を「諸費用」といい、一般に物件の7〜10%程度かかります。
税金は諸費用の1つとして見逃せません。
今回の記事では、不動産を買ったとき・持っているときにかかる税金について解説します。
印紙税 〜契約書や領収書には税金がかかる〜
印紙税とは、一定額以上の契約書や領収書といった一定の文書にかかる税金です。
不動産購入やローンの契約書、領収書には、その記載金額などに応じて印紙税がかかります。
印紙税は大きな負担ではない
税額はその文書に記載された金額によって異なります。
記載金額が10万円を超える不動産売買契約書、100万円を超える工事請負契約書では、以下のような軽減税率が適用されます。
記載金額 | 不動産売買契約書 | 工事請負契約書 | 金銭消費賃借契約書 (ローン借用書) |
100万円超200万円以下 | 1,000円 | 200円 | 2,000円 |
200万円超300万円以下 | 500円 | ||
300万円超500万円以下 | 1,000円 | ||
500万円超1000万円以下 | 5,000円 | 5,000円 | 1万円 |
1000万円超5000万円以下 | 1万円 | 1万円 | 2万円 |
(注記:令和3年8月1日の法令・通達等に基づいて作成しています。)
通常は、金額分の収入印紙を文書に貼り付けることで納付します。
収入印紙は郵便局などでも購入できます。
貼り忘れにはペナルティがある
通常、契約書は当事者それぞれの分を作成します。
印紙税は1通ごとに必要ですが、コピーなら印紙税がかからないため、契約書を1通作成して他はコピーにすることで、1通分の印紙税額ですませることができます。
(1通分の税額を当事者間で折半する)
文書に収入印紙を貼っておらず、それが税務調査などで見つかると、ペナルティとして、本来の印紙税額の3倍の金額を納めることになります。
ただし、収入印紙が貼られていなくてもその文書の内容は有効です。
登録免許税 〜土地や建物の登記をするとき税金がかかる〜
不動産の権利関係を明らかにする登記には税金がかかります。
不動産に対する権利を明らかにできる
不動産を売買したときは、通常その権利関係などを明らかにするために「登記」を行います。
この登記に対してかかる税金が登録免許税です。
「登記」とは、登記簿という公的な帳簿に、その土地や建物の所在地・面積、所有者の住所・氏名、さらに抵当権といった権利関係などを明示することです。
登記をすることで、その不動産への権利が公的なものになります。
登記簿は、所定の手続きにより誰でもその内容を見ることができます。
登記の種類により税率は異なる
不動産の登記として代表的なものは以下の通りです。
- 所有権保存登記:新築などで最初の所有者が行う
- 所有権移転登記:所有者を変更するときに行う
- 抵当権設定登記:ローンで不動産を担保にするときに行う
税額は、その不動産の固定資産評価額や借入金額に一定の税率を掛けて計算します。
固定資産税評価額とは、実際に売買される価格(実勢価格)の約70%です。
詳しくはこちらの記事で解説しています▼
税額は以下の表の通りです。
土地に関しては、令和5年3月31日までは軽減措置がありマイホーム問わず1.5%となります。
税額 | マイホームの軽減特例 | ||
所有権保存登記 | 新築の建物 | 固定資産税評価額×0.4% | 固定資産税評価額×0.15% |
所有権移転登記 | 中古の建物 | 固定資産税評価額×2.0% | 固定資産税評価額×0.3% |
土地 | 固定資産税評価額×1.5% | ||
抵当権設定登記 | 借入金額×0.4% | 借入金額×0.1% |
例えば、1000万円で売買された区分マンションは固定資産税評価額が700万円だとします。
その内訳が土地が400万円、建物が300万円だった場合の登録免許税は以下のようになります。
- 土地:400万円×1.5%=6万円
- 建物:300万円×2.0%=6万円 合計12万円
登記を司法書士に代行してもらう場合は、加えて司法書士に対する報酬も必要です。
登記に関してはこちらの記事でも解説しています。▼
不動産取得税 〜不動産を買ったときにかかる都道府県民税〜
不動産取得税は、不動産の取得に対して一度だけ課税される税金です。
都道府県からの通知により納めます。
住宅とその土地には軽減措置がある
不動産取得税は、不動産を取得したときに土地と建物それぞれにかかる税金です。
税額は、その不動産の固定資産税評価額に一定の税率を掛けて計算します。
税率は事務所や店舗などは4%ですが、住宅と土地は3%に軽減されています。
また、宅地であれば、固定資産税評価額の1/2で計算されます。
不動産取得税=(土地の固定資産税評価額)×1/2×3% + (建物の固定資産税評価額)×3%
例えば、1,000万円で売買された区分マンションの固定資産税評価額が700万円だとします。
その内訳が土地が400万円、建物が300万円だった場合の不動産取得税は以下のようになります。
土地:400万円×1/2×3%=6万円
建物:300万円×3%=9万円 合計15万円
忘れた頃に支払いがやってくる
不動産取得税のやっかいなところは、購入した後、忘れた頃に支払いがやってくるという点です。
購入のときに一緒に払う税金ではなく、取得してから半年後くらいを目安に、納付書が届いて支払います。
ちなみに、マイホーム用に不動産を取得した場合は不動産取得税の軽減措置があります。
軽減措置を受ける場合は、不動産の取得したら県税事務所などに「不動産取得税減額申告書」(名称は自治体によって異なる)を提出する必要があります。
固定資産税・都市計画税 〜不動産を持っていると毎年税金がかかる〜
固定資産税と都市計画税は、市区町村から毎年5月ごろ送られてくる納税通知書により、年4回に分けて納めます(一括納付もできる)。
税金は、1月1日時点の所有者が1年間分の納税義務者となります。
しかし、本来は不動産を購入した人が購入日から12月31日までの税金を負担すべきです。
そのため、日割り計算で買主の負担分を売主に支払い、売主が納税します。
固定資産税は市区町村に納める
固定資産税とは、不動産を持っているときに市区町村(東京23区は都。以下同)から課税される税金です。
対象となるのは、その年の1月1日時点の所有者で、その不動産を持っている間、毎年納めることになります。
税額は、固定資産税評価額に標準の税率である1.4%をかけて算出します。
固定資産税評価額は、固定資産課税台帳に登録されており、3年に一度見直されます(評価替え)。
ここで嬉しい特例があり、住宅用地の課税標準は200㎡以下の部分は1/6になります。
駐車場経営の場合は、この特例がないため固定資産税の負担が重くなります。
都市計画税を納める場合もある
所有している不動産が都市計画法で指定された市街化区域内にある場合、さらに都市計画税がかかります。
固定資産税同様、1月1日時点の所有者に市区町村から課税されます。
税率は市区町村により多少異なりますが、固定資産税評価額の0.3%です。
まとめ
今回の記事では、不動産を購入するとき、不動産を持っているときの以下の税金について解説しました。
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税・都市計画税
税金は事前に試算しておおよその必要額を見込んでおくと安心です。
いつまでに・どこへ・いくら納めることになるかを確認して、資金計画に盛り込んでおきましょう。
不動産を貸すときの税金については、こちらの記事もどうぞ▼