年金や退職金が徐々に減っているということを知っていますか。
この記事では、年金と退職金の手取りを増やすコツを紹介します。
60歳を過ぎてから知るのでは手遅れになりますので、若い世代も早くから知っておきましょう。
退職金は「一時金受取り」を優先
退職金の受け取り方には「一時金受取り」と「年金受取り」があります。
「年金受取り」は、勤務先がそのお金を運用し続けてくれるので、「額面収入」は増えます。
しかし、年間収入が多いと税金と社会保険料の負担が増えて手取りは減ってしまいます。
一時金の控除額をフル活用しよう
退職金を一時金で受け取ると、「退職所得」として所得税と住民税が計算されます。
退職所得には勤続年数に応じた非課税枠(退職所得控除)があり、その金額までは税金がかからないなど有利な計算式となっています。
また、一時金には社会保険料がかからないのもメリットになります。
退職所得=(収入金額ー退職所得控除額)✖️1/2
退職所得控除額 勤続20年以下:40万円✖️勤続年数(最低80万円) 勤続20年超え:800万円+70万円✖️(勤続年数ー20年) ☆勤続年数で1年未満の端数が生じる場合は1年に切り上げます。
一時金の注意点
ムダ遣い
預金口座にまとまったお金があると、日々の生活費も膨らみがちです。
足りない支出を退職金で穴埋めすると、あっという間に残高が減ります。
退職金運用病
多額のお金を手にすると、資産運用に興味が出ます。
そこを狙った証券マンに手数料の高い金融商品を勧められることもあるため、注意が必要です。
資産運用に関して半年は勉強をしておくようにしましょう。
60代前半の公的年金等控除額を活用
「年金受取り」の控除額
「年金受取り」は「雑所得」として税金がかかります。
雑所得=公的年金等の収入金額ー公的年金等控除額
受給者の年齢 | 公的年金等の収入金額(年額) | 公的年金等控除額 |
65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 |
130万円超410万円以下 | 年金額✖️25%+275,000円 | |
410万円超770万円以下 | 年金額✖️15%+685,000円 | |
770万円超1,000万円以下 | 年金額✖️25%+1,455,000円 | |
1,000万円超 | 1,955,000円 | |
65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 |
330万円超410万円以下 | 年金額✖️25%+275,000円 | |
410万円超770万円以下 | 年金額✖️15%+685,000円 | |
770万円超1,000万円以下 | 年金額✖️25%+1,455,000円 | |
1,000万円超 | 1,955,000円 |
年間60万円までの非課税枠をフル活用
退職金やDC(企業型年金)の一部を年金受取りする場合、受取り開始を60歳か65歳で迷ったときには、60歳からにしましょう。
60代前半にも「公的年金等控除額」があり、60万円までは非課税です。
これを使わないともったいないので、60歳受取りにして有効活用します。
さらに、60歳から64歳まで再雇用で働くとすると、社会保険料は給料に対してだけかかり、年金収入には社会保険料はかかりませんから、さらにお得です。
社会保険に加入し、できるだけ細〜く(少ない収入で)働く
完全にリタイアすると、自治体の国民健康保険と介護保険に入ることになり、年金(雑所得)に対し保険料がかかります。
これが年金の手取りを減らす大きな要因です。
社会保険に入っていると、給料に対して厚生年金保険料と健康保険料はかかりますが、年金分は2つの保険は対象外です。
フルタイムでなくてもいいです。
給与収入が少ないと社会保険料も少なくて済みます。
- 勤めていた会社で、細く長く働く
- 起業して、マイクロ法人をつくる
などの選択肢が考えられます。
おまけ:年金の受給開始は60〜75歳で選択可能
繰り下げで最大84%の年金額上乗せも
公的年金は原則65歳から受け取れますが、受給開始時期を60歳まで1か月単位で繰り下げたり、75歳まで繰り下げたりすることができます。
繰り下げ受給を行うと1ヶ月につき0.7%年金額が増えるため、繰り下げを使って最大84%年金額を上乗せすることができます。
一方、繰り上げ受給は1か月につき0.4%の減額になります。
長生きする可能性が高い女性は特に繰り下げが有効
額面だけ見れば75歳までの繰り下げ受給がベストのように思えますが、それは87歳以上生きた場合です。
長寿の可能性が高い女性のほうが繰り下げは有効です。
また、年金額が増えればその分税金や社会保険料が増えてしまうこともあります。
基礎年金部分だけ70歳から受け取るなど税金や社会保険料の負担増にも配慮した繰り下げ方法を検討する必要があるでしょう。
まとめ
この記事では年金や退職金の手取りを増やすポイントを紹介しました。
退職所得控除と公的年金等控除をフル活用して、手取りを増やしましょう!