不動産を購入する際に必要になるのが「登記」です。
一般的に司法書士に登記を代行してもらいます。
この記事では、登記に関する基礎知識や登記費用の節約方法について解説します!
登記とは
不動産登記とは、不動産の内容(所在地、面積、構造など)を法務局(登記所)の不動産登記記録(登記簿)に記載し、公示することをいいます。
言い換えると、自分の持ち物であることを第三者に対して客観的に証明できるようにするための手続きです。
登記記録の見本
不動産とは、土地と建物のことです。
そこで、一筆(一区画ということ)の土地、一個の建物ごとに、登記記録を作成することになっています。

登記記録は、登記簿という磁気ディスク上に電気的に記録されて登記所に保管されています。
以下が法務省のHPの登記記録の見本です。

二重譲渡の優劣は登記で決まる
不動産の登記をしないと、たとえ固定資産税などの税金を負担していたとしても「ここは自分の土地だ」と第三者に自分の土地であることを主張できません。
例えば、売主が二重譲渡をして第三者に譲渡し、その第三者が先に登記をすると、物件の所有権を失ってしまいます。
でも登記をしていれば、第三者に所有権を対抗することができ、権利を失う危険が生じません。
これが「第三者対抗要件」です。
多少お金がかかっても、登記をしないと大変なことになってしまうかもしれないので、不動産は必ず登記します。
不動産登記の種類
不動産の登記として代表的なものは以下の通りです。
- 所有権保存登記:新築などで最初の所有者が行う
- 所有権移転登記:所有者を変更するときに行う
- 抵当権設定登記:ローンで不動産を担保にするときに行う
抵当権とは、ローンが払えなくなったときの担保として、金融機関が土地と建物にかける権利のことです。
抵当権を設定しておくことによって、万が一、ローンが支払われなくなったときに、金融機関は物件を強制的に物件を売って返済してもらうことができます。
登記にかかる税金:不動産登録免許税
登記を行うときにかかる税金が「不動産登録免許税」です。
税額は、その不動産の固定資産評価額や借入金額に一定の税率を掛けて計算します。
固定資産税評価額とは、土地の場合は実際に売買される価格(実勢価格)の約7割です。
土地の値段についてはこちらの記事で解説しています▼
また、中古の建物は再建築価格の5~7割、新築時は請負金額の5~6割が固定資産税評価額になります。
不動産登録免許税の税額は以下の表の通りです。
土地の登記に関しては、令和5年3月31日までは軽減措置がありマイホーム問わず1.5%となります。
税額 | マイホームの軽減特例 | ||
所有権保存登記 | 新築の建物 | 固定資産税評価額×0.4% | 固定資産税評価額×0.15% |
所有権移転登記 | 中古の建物 | 固定資産税評価額×2.0% | 固定資産税評価額×0.3% |
土地 | 固定資産税評価額×1.5% | ||
抵当権設定登記 | 借入金額×0.4% | 借入金額×0.1% |
例えば、1,000万円で売買された区分マンションの固定資産税評価額が700万円だとします。
その内訳が土地が400万円、建物が300万円だった場合の登録免許税は以下のようになります。
- 土地:400万円×1.5%=6万円
- 建物:300万円×2.0%=6万円 合計12万円
また、1,000万円を借入した場合は1,000万円×0.4%=4万円がかかります。
登記には不動産登録免許税の他に
- 書類作成に必要な登記情報の取得費用
- 交通費や郵便代
などの実費が別途必要となります。
自分でも登記はできる
法務局のホームページに詳しい案内があり、個人での登記もハードルは低くなっています。
ざっくり言うと、必要書類を集めて登記申請書と一緒に法務局に提出するだけです。
司法書士に払う報酬は5万円程度と少なくないため、チャレンジする価値はあります。
素人が登記するのは不安なため売主や仲介業者の許可が出ないこともありますが、自分でやりたい人は相談してみましょう。
ここでは所有権移転登記の方法について紹介します。
1.登記事項証明書を取得する
所有権移転登記をする際には、現在どのような登記内容になっているのかを確認しなければなりません。
それには、登記情報が記載されている「登記事項証明書」を取得する必要があります。
登記上の所有者が何代も前の所有者のまま変更されていなかったり、知らない間に差し押さえられていたりする可能性もあります。
そうなれば手続きが複雑になるので、法務局の相談窓口や司法書士などの専門家に相談しましょう。
「登記事項証明書」は法務局の窓口やオンラインで480〜600円で取得できます。
また、登記情報提供サービスというサイトで登記情報を確認することもできます。
費用はどの情報が必要かによって異なりますが、「全部事項」で332円、「所有者事項」で142円です。
2.必要となる添付書類を集める
売主からもらう書類
- 登記済証または登記識別情報
- 印鑑証明書(発行から3ヶ月以内)
- 固定資産評価証明書
登記識別情報とは、従来の登記済証に代わるもので、売主が名義人になった際に法務局から発行された書類です。
12桁の英数字になっており、いわゆるパスワードのようなものです。
本人確認手段の一つでもあり、登記名義人本人による申請であることを確認するため、提出が必要になります。
固定資産評価証明書は
- 納税通知書で確認する
- 市区町村役場で固定資産評価証明書を取得する
- 市区町村役場にある固定資産課税台帳で確認する
のいずれかの方法で調べることができます。
また、登記の申請を売主と買主が共同で行わず、売主が買主に委任した場合、委任状(代理権限証明情報)が必要になります。
買主が準備する書類
- 住民票の写し(有効期限なし)
- 売買契約書
登記申請書に住民票コードを記載した場合、住民票の写しの提出は省略できます。
また、添付書類には「登記原因証明情報」とあるのですが、不動産売買の場合は、「売買契約書」がこれにあたります。
3.登記申請書を提出する
法務局のホームページから登記申請書をダウンロードし、集めた資料をもとに記入します。
不動産登録免許税も自分で計算し、その額の収入印紙を購入します。
書面申請でもオンライン申請でも構いません。
提出先は、自宅の最寄りの法務局ではなく、その不動産を管轄する法務局に提出します。
管轄の法務局は法務局のホームページの管轄の御案内で調べることができます。
申請後は、法務局で審査され、1~2週間程度で登記完了です。
司法書士への報酬は5〜10万円
登記を司法書士に代行してもらう場合、5万円〜10万円の費用が必要になります。
不動産仲介業者に司法書士を紹介してもらうと中間マージンをのせられていることもあります。
値段は決められているものではないため、自分で何人かの司法書士に連絡をとったほうが安く済みます。
司法書士の探し方はこちらの記事に書いています▼
まとめ
この記事では「登記」についてとその方法について紹介しました。
登記にかかる費用は以下の通りです。
- 登録免許税
- 登記事項証明書の取得費用
- 必要書類の取得費用
- 司法書士に依頼する場合の報酬
登記のハードルは下がっているので、チャレンジしてみましょう!